李里ちゃん日記

李里ちゃん日記

つれづれの うた

小さいねこ


夕ぐれにはつかに揺るる山ぼうし法師の頭巾にひらかるる夏

夕やみの迫れる庭にやまぼうし白く咲きたり触れ合いながら

夕庭に蝶かと紛うやまぼうしかなしきまでにその白き揺れ

さわさわとみどり振りまき来る風に再びさやぐ自律神経

アスパラガスするするすると伸びたる日朝掘り筍京より届く

えんどうの蔓のぼる天道虫ひとついずへにゆくやもう日は暮れる

七星のてんとう虫が現れて夕べゆうらり茄子は肥りぬ

はつなつの青葉の匂い従えて来る風を待つ美術館前

かがり火の映える水面に鵜は生きて魚を吐き出しまた水に入る

あかく暗く鵜匠の顔がうつる時水底の魚抗いはじむる




伊勢橋ゆ小路通りて後朝(きぬぎぬ)の使いかなしき大殿大路

染付けの豆皿ひとつ見つけたる石原小路骨董の店

丈低き大内塗りの人形が片岡小路に古りてありたり

人形がガラスケースに並びいる栗本小路をゆっくり歩く

竪小路、久保小路抜け伊勢大路、大路小路をめぐりてひとり

海の辺の空澄むあたりにくる風は肌なぞりて秋を連れ来る

夏休みも終わりとなれる丘の上木の間を埋めて鳴けるカナカナ

カーナビの喋るにまかせ走り行く車の前に蝶を行かせて

天王山トンネル抜ければ二十分ちちははの墓洛西にあり

遠き世の記憶思わる蓮咲く法金剛院の池の辺めぐる

気負うことなかれと朝の紅の色少し落して普段に戻る

耳底に虫鳴き初むる夏の朝君の風聞かすかに立てり

関りは淡きがよろし尾を揺らし隣の猫が帰りゆきたり

すんなりとゆかぬ話を咲き溢る芙蓉の花に問うてもみんか

夕映えの去らんとする間わが庭の芙蓉の花はほんのり染まる

ケータイを耳に惣菜売場にて栗南瓜買うおみな子のあり


小さいねこ






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