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岸谷五朗 & 寺脇康文
たしか、5000円くらいのチケットだったと思う。
高校生の自分には、ちょっと高めだったが、なぜかワクワクしたので行ってみた。
タイトルは「幕末・めりけん・じゃっぷ 」。
そのフとした誘いが、今後の僕の人生に大きく影響しようとは…。
その公演には、当時名前も売れていない彼がいた。
友人に「三宅祐司、小倉久寛が出るから」と言われ連れられて行ったが、僕が心を奪われたのは、名も知らぬ彼らであった。三宅&オグちゃんが脇役で岸谷が主役であった。
最初から最後まで、あきる場面はまったくなく、お腹を抱えて、涙を流すほど、笑った。そして、最後には、感動をくれた。
感動というか、今の僕の礎(いしずえ)となる、人間として、必須のテーマをいただいて、帰宅した。
そのとき、思った。「チケット代のもと以上のものをとった。」
それ以降の劇団スーパー・エキセントリック・シアター(S.E.T.)の公演を僕は、連れて行ってもらった友達よりも、必ず行くようになった。
しかも、その度に、感動を与えてもらった。
新しく誘って連れて行った友達も、みんな喜んでもらえた。安心して友人を誘い、はずれのないものを見せていただいた。
ある日、僕はTVのブラウン管を観て驚いた。
岸谷がドラマに出ていたのだ。しかも、シリアスな役だ。
「この愛に生きて」(94年安田成美、豊川悦司、嶋田久作、深津絵里)であった。
有名でないと思っていた彼が、いきなり準主役でブラウン管に映っていたから、かなり驚き、一緒に公演を観に行ったことのある友人に電話しまくった。
シリアスな役の中で、チョコっとだけ、僕が知っている、コミカルなキャラの彼を垣間見れると、僕はとても喜びを覚えた。
他の人は、彼がどんなにすごいのか、知らない。舞台をあれだけ観に行った僕だけが知っている。この、他の人が知らなくて、自分だけが知っていることを人に伝える喜びを、どうして抑えようか(笑)。
僕の中では、同時にストレスでもあった。彼の良さが、ほんの少ししか出ない。しかし、そんなストレスもあっという間に解決された。
「妹よ」(和久井映見、唐沢寿明、鶴田真由)がスタートした。このドラマはまさに岸谷ワールドであった。もちろん、ビデオは全回録画した。コケ方とか、和久井との間とか、最高なものが出来上がっていた。
しかし、岸谷がTVドラマに出まくる同時期、僕は、悲しい事実を知った。
それは、寺脇とのS.E.T.の退団である。
もう、三宅、、小倉、山田、寺脇、岸谷と豪華メンバーの舞台が観られないかと思うと、本当に貴重なものを観てきた気がする。(新日本プロレスのリングに関しても同じ思いだが…)
岸谷、寺脇は、新たに「地球ゴージャス」という劇団をプロデュースした。
地球ゴージャス第1回公演「瓶詰の地獄~いつまでもたえることなくともだちでいよう~」を天王洲アイルに観に行った。
思ったより、小さいスペースで、隣の人とぶつかるくらいのところで観た。
あまり明るい話でなかったが、ホンジャマカの石塚が特別出演し、まったくセリフのない役、しかも、お笑いのない役で、とても感動して帰宅したことを覚えている。
「紙のドレスを燃やす夜 -香港大夜総会-」では、小泉今日子を舞台に初めて引っぱり出したことが、すごかった。
僕は岸谷オタクなので、映画「香港大夜総会」(雀監督、香取慎吾)を観ていたから、よかったが、観てない人には意味不明な舞台だったかも…。
そして、何より最高傑作だと思うのが「さくらのうた~忘れさられた小さな心たちへのレクイエム~」でした。
3度も観に行ってしまった…。
そして、これを観て、僕の運は上昇しはじめたのだ!
フジCS放送に加入したら、たまたま、「さくらのうた」がやっていて、見事に録画に成功!!
なんと、その年の12月、衝撃的な事件が起きた!
下北沢の行きつけのパスタ屋「パンコントマテ」に行ったが、珍しく、店長に「火をおとしたら」という理由で、入店を断られた。普段、メニューを見ないでも、僕の好きなものを出してくれる店になっているぐらい、通いまくっているのに。
「?」が浮かんだ。
そして、なぜか、下北で違う店に入ればいいのに、僕は車に乗り込んだ。
数十メートル行くと…!!!
明らかに、岸谷五朗の背中と…もう一人は寺脇康文ではないか!!!
僕は車から飛び下り、大尊敬する彼らに近付いた。
心臓バクバクだが、思いきって声を掛けさせていただいた!
「プライベート中すみません。S.E.T.時代から15年の大ファンで、先日に『さくらのうた』も3度見させて頂きました…。」
そしたら…、もう僕は夢の中の世界にいた!
彼ら二人の間にはさむ形で、「え~!まじ!?」と岸谷さんが言い、
寺脇さんは「あれは、こいつは出番が少ないから楽だったんだよな。」とかいろいろ裏話をしてくれた。
およそ20分も立ち話をしてくれたのである。
S.E.T.時代から、彼ら二人のアドリブ場面が観たくて、何度も会場に足を運ぶ人いる、その場面の中に自分が置かれたような錯覚を起こした。
そう、この二人は、「人が何をされたら嬉しいのかわかっている」人達だった。
だから、あれだけ、感動できる内容をプロデュースできるのだ。
だから、岸谷はAIDS撲滅キャンペーンを自ら開催し、桑田佳祐、唐沢寿明、
石橋貴明らを引っ張り出すことができるのだ。
僕の中ですべての糸が一本につながった瞬間である。
「さくらのうた」は、僕のバイブルとなっている。
30才での、小学校の同窓会。
二十歳ではなく、なぜ30才でやるのか。
「夢」を忘れかけて、チャレンジをしなくなりかけた世代。
今年、僕は32歳。
「さくらのうた」がどれだけ、僕に勇気を与えてくれたことか。
「さくらのうた」があったから、僕は夢を叶えることができた。
いつか、岸谷&寺脇さんにそう言える日が来る。
それが、彼らに対する恩返し。
(本当は以下は書こうと思わなかった。僕の心の中にしまうつもりだった。けど書きます。)
岸谷さんは言ってくれた。
「次の公演、控え室、遊びに来いよ。」
僕は未だに行ってない。
行って、報告できる日を作るために。
17才のとき、あの誘いにのってよかった。
先日、プリプリのプロデューサーと知り合えた。
今の整体の先生が、寺脇さんの専属である。
いくつもかすっている。
いつでも、会えるかもしれないけど、最高の条件で会いたいと思います。
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