宵闇姫

宵闇姫

線香花火


ぎりぎりまで大きく太って、力を蓄えたような。
そんな姿はワクワクを誘ってくれたけれど、
冬の夕日は同じような姿で、色で、でも物悲しいような。

鉛色の雲間から、鈍い光を孕んだ鉄錆色が、じりじりと焼けている。

じりじりと。

あとすこし。

もう少し。

今日という日を惜しむように
明日という日に耐えるように
じりじりと。



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