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【存在理由】 第4話。
窓辺にたたずむ少女。
といっても自分とたいして年が変わらないはず。
「・・・・で? アンタゎ誰? 」
にっこりと微笑むその表情に
本当のやさしさなど浮かんではいない。
まして 微笑みとよべる表情でもないのかもしれない。
感情の消えうせた顔をゆがませた。
それが刹那には一瞬 微笑みに見えた。
「ご挨拶ねぇ。刹那?」
クスクスと 何がおかしいのか笑いがこぼれる。
「質問の答えになってないわ」
「ぁら それは失礼したわね。
ァタシゎ歩夢(あゆむ)ょ」
聞き覚えのない名前にほっとする。
なぜだか ほっとしたのだ。
「へぇ。で?
私はあんたなんか知らないのだけれど?」
「ぁら?そぉなの?
・ ・・・キーパ?いるんでしょう? 」
刹那は目を見開いた。
自分のことならまだしも
使え魔 キーパの存在まで知っているのだ。
すると刹那の背後の闇より
人の姿を模った使え魔 キーパの姿が現れた。
「我の存在を知る人ぞ いかなるものか」
「ぁぁら。貴方の主といい ずいぶんなご挨拶だこと」
クスクスと
不吉に笑うそいつは キーパに向かって何かをなげた。
「貴方ならわかるでしょう?」
後ろを振り向くと
月明かりに照らされたキーパの表情が曇った。
「何なの? それ」
キーパの手中にあるのは
指輪のようだった。
家紋が彫ってあるような いまどき見ないような指輪・・・
「貴様 これをどこで手に入れたんだ? 」
そう口にしたのは
刹那だった。
「ん?意外だぁわぁ。
貴方も知ってるの?刹那」
「これは元より 殺魔族の紋。
貴様が持っていて良いものではない」
「ほぉ。
それが殺魔族の目というものか」
興味ありげに瞳を大きくした歩夢は
つかつかと刹那に歩み寄ってくる。
「…..近づくな!!
近づくでない!!! 」
キーパが刹那の前に出る。
しかし歩夢は歩みをとめない。
それどころか先ほどより顔を歪ませている。
人差し指を体の前に突き出すとキーパに向けた。
刹那は一瞬 キーパの姿を見失った。
自分の幾分か前に立ちはだかっていたはずのキーパが・・・
「・・・ぐふっ」
目の前が暗くなった。
腹部に衝撃が走った。
そこに加わった衝撃が
キーパだとわかったのは
黒がさぁっと開けたときだった。
「ぐ・・・」
たたきつけられた壁に手で思いっきり力をこめる。
ふらふらと刹那は立ち上がった。
「なぁに?
大丈夫? 刹那」
歩夢は刹那の頬に触れた。
刹那が息をのむほど冷たかった。
「貴様
本当に血かよった人間か?」
少し驚いたように目が見開かれた。
「ぁら失礼ねぇ・・・」
否定はせず クスクスとまた笑い出した。
「先ほどから尋ねている。
貴様は何者だ」
「....何も知らないの?」
刹那の前でキーパがぐったりとしていた体を
力なく起こした。
「何のことを申しておる。
我は殺魔族に伝わることは」
「全て話していないから
刹那がァタシのことをしらないのでしょう?」
「....キーパ?」
キーパが目の前にいる歩夢を凝視していた。
何も言わずに。
「刹那。
逢いたかったのょ。
ァタシの 妹....」
刹那はその場に凍りついた。
動けなくなった。
まるで金縛りにでもあったかのように。
「妹?私が....?」
ドガッ!!!
部屋のドアが蹴破られる鈍い音が響いた。
「「刹那様!!ご無事ですかっ?!」」
華月と夢乃が部屋に飛び込んでくるのと同時に
「何のまね?」
歩夢ののど元にナイフが押し付けられていた。
「紫遠?」
口の端を少しあげて 歩夢は名前をつむいだ。
「我らが姫様に手を出すという無礼極まりない行為を
貴方と言えど許すわけにはまいりませんね」
にっこりと微笑むが
そこに優しさは微塵もない。
相変わらず 広がる
黒。
「ぁら。
今日はもう帰るわょぉ。
そんな冷たくされちゃぁね」
降参と言うように両手を挙げた。
すると それが合図だったかのように背後から闇が現れた。
「エル・ディオン....」
闇に名前があったと教えてくれたのは
キーパだった。
人間の姿のキーパは
華月に支えられて立っていた。
『久しゅうございます。
キープ・アレイス・エア・メトノス様』
闇が言葉を発した。
名前を呼ばれたキーパの眼光は鋭く 闇を凝視していた。
「貴様・・・・
本来 殺魔族に使えるであろう使え魔が
何故 そちら側についているのだ」
すると
闇が動いた。
闇がゆれた。
まるで
クスクスと笑っているかのように。
『何をおっしゃいますやら。キープ・アレイス・エア・メトノス様。
貴方様は私に殺魔族に立派に使えられるよう いろいろとお教えくださったではありませんか。
それを今 こうして ここにおられる殺魔族の方のためにお役立てしているのです』
闇はキーパの手中から指輪を取り去った。
「愛しいわが妹よ。
愚かなるかな わが妹よ。
また 逢いにくるわ」
そして
歩夢と名乗った殺魔族は
闇とともに 消えた。
「私が妹??
あいつが殺魔族?? 」
うわごとのようにつぶやいた。
では
私は何なの??
殺魔族の末裔は私ではないということ??
床に座り込んだまま
混乱していた。
「。。。刹那様。
このような場所に座っておいでですと風邪をひくやもしれません。
どうぞ 階下のほうにおいでください」
華月が声をかけるが
刹那は 反応すらしない。
「華月。よい。
我が連れて行こうぞ。
先に階下へ行っておれ」
「キーパ様....」
肩を貸してくれていた夢乃にキーパは例を言うと
刹那の前に方膝をついた。
「刹那 聞こえておるか??」
キーパは何の反応もしめさない刹那の顔を覗き込んだ。
そして 無言で刹那の額に手を当てた。
「さぁ 華月 夢乃 紫遠。
階下へ向かうが良いぞ」
3人は顔を見合わせると一礼して 下がった。
「刹那」
キーパがもう一度その名を口にすると
刹那は驚いたように顔を上げた。
「キーパ・・・・??? 」
「ずっとここにいたのがわからなかったのか??」
刹那は首を横にふった。
「仕方のないことだ。
混乱していたのだろう」
キーパは不器用に笑った。
「混乱....?? 私が?? 」
「あぁ。」
キーパは刹那を助け起こしながら
短く答えた。
混乱など
刹那が今まで一度もしたことがないのだ。
いつも迅速に行動し
殺魔族の本能にしたがっていたのだから。
混乱など どうしておきようか。
「私は殺魔族末裔よね??」
だったら….今のは誰なの??
私は??
どうしてここに存在しているの??
殺すために生きているのに
それが私に流れる殺魔族の血だと
唯一の存在理由だと思っていたのに
見知らぬ人に
否定された。
それも
姉という。
刹那の目の前に
再び 黒が広がった。
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