You’s World

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【同じ空の下ならば】第1話


ただ

騒がしい教室の中で

飲み込まれず

そこだけ空気が違ってて。


だから なんとなくとかじゃなく。

目に入ったんだ。


ま。それだけだけどね。


【同じ空の下ならば】

「ねぇねぇ。ぁんたさぁ 今週の土曜とかってあいてる?? 」
机をくっつけて弁当と菓子を広げ
くっちゃべるのが いまどきの女子高生ってか。

「ぁ?? 土曜って今週じゃんね?? 」
「だからさっきからそぉ言ってるんだけど?? 」
聞いてなかったわけ?? と頬を膨らます。

こいつ。

その顔 別に可愛くないんだけど。

気づいてないんだなぁ。
お気の毒様。

「ん~...土曜かぁ。
 何すんの?? 」

「ん~。久しぶりだしぃ。遊びにでも行こうかなって思ってるんだけど。
 そだねぇ。カラオケにぃ・・・
 ぁ 最近できたっていう あのケーキ屋にも行ってみたくね??
・ ・・て考えると 土曜だけでたりるかなぁ」

あぁぁぁ。
始まった。
一人で暴走。はいご苦労様。

「俺 別に興味とかねぇんだけど」
「ぁんたねぇ。
 たまには遊ばないとっ!! 女子高生 全う しなさいょねぇ」
「そぉょぉ!! 深愛みたいな美人さんが遊ばなくてどぉすんのょ?? 」

何いってんだっつの。
美人さん??
俺が??

なわけねぇだろ。

「深愛ってさぁ。
 その男口調やめたらぁ?? いい加減。
 顔ゎかわいいし?? スタイルもいいし。文句のつけどころ 外見ゎないんだから」
ふぅっと盛大なため息をつく友人A。

「そぃぇばさぁ。
 こないだなんてさぁ。
 深愛の部活がないってんで 一緒に帰ってたらさぁ
 街で スカウトされてやんの」

「何?!どこの雑誌だった?!」

「それがさぁOCEAN’S BLUEだったのよぉ!!」

「は?? 何それ!! マヂかっ?!すごいぢゃん」

今 はやっている雑誌名なのか。
友人Aは一人 騒ぎ出した。

「深愛!! ぁんたやっぱすごいゎ!!
 その雑誌って すげぇ芸能人とかだしまくってる会社のだょ?!
 ぁんたもいよいよかぁ」

友人A は先ほどまで膨らましていた頬を赤らめ 瞳は潤んでいる。

「断ったけど?? 」

ははは。夢見がちな少女が突如 突きつけられた現実にショックを隠しきれないご様子。

「......何で?? 」

「は?? だから興味ないからにきまってんじゃんかょ」

「ぁんたって どこまでもぁんたょね・・・・」

「それはどぉも」

紙パックのジュースをすする。
ズズズーっと空気と一緒に中身の柑橘系のジュースを飲み干す。

「で?土曜 どうすんのょ?? 」

「俺 パスな」

「だと思った。でもまだ火曜だし。
 暇があればきなさいょ。考える時間を与えてあげるから」

「そぉよぉ。私もぉ 深愛と久しぶりにプリとかとりたいもんっ」

「あぁ さいですか。まぁ 考えるだけ無駄だと思うけどね」

「それでいいのょ。
 ま。あんたの気が向いたら メェルでもしなさいょ」

友人Aはそう言って俺の髪の毛をぐしゃっとなでた。


正直
迷惑ではない。

なぜか。

友人Aは少なからず 俺に気を使ってくれているのだろうとわかるから。

まぁ何気ないから周りは気づいちゃいねぇけど。

俺にはわかる。



ここの高校 入学前
俺の合格祝いだと称して 家族で旅行へ行った。


そこで

家族は家族でなくなったのだと思う。


ただ呆然と俺は見ていた。
燃える部屋を。

燃える旅館を。

燃える 家族を。

何??

星がきれいな夜だった。
俺は部屋から眺めるのでは飽き足らず
たまたま車で来る途中に見つけた公園のベンチへと移動した。


帰ってくると
この有様。

なんだ?? 何だ?? ナンダ….??

ただ

この火の中に 俺の家族がいるだなんて
実感すらわかずに
ただ 呆然と立ち尽くしていたんだ。

きれいな星空の下で。




「はぁ。それにしても惜しいことをしたわねぇ。
 OCEAN'S BLUEって稲葉君いるぢゃん?? せっかくお近づきになれるチャンスだったのに」

盛大なため息をありがとう 友人A。

「俺 興味ねぇし。
 てかお前 問題あたってんじゃんかょ。問い2。
 さっきから先生 呼んでっぞ?? 」

「ぁぁ はいはい。
 まったく流してくれてもいいのにね?伊庭ちゃんたら」

教卓の前の伊庭先生に 名簿で頭を小突かれ
なにやらぎゃぁぎゃぁと言い合いをし始めた友人A。

なんだょ。ちゃんとやってきてんじゃねぇか。問題。
だったらはじめっから黒板に書きにいけばよかったじゃねぇかょと
思ったりもするが 

あぁ 口にすることなかれ。

それはあいつのやる気の問題。

=伊庭先生にかまって欲しいからという
可愛い恋心。

『叶わぬ恋をして 悪いデスカ??』
いつか 友人Aは俺にそういった。

『叶わねぇなんて 誰が決めてんだょ。
 てめぇで諦めてるんなら 
 叶わねぇんじゃなくて
 諦めた恋だとかに言い換えろ 馬鹿が』

その後の
友人A
...基 鈴子の顔に
先ほどまでのどこか突き放したような表情は浮かんでいなかった。


そういえば
稲葉....??
つか 俺のクラスにいんじゃん??
稲葉って苗字のヤロウ。

「....深愛?? 」

「ぁ?? 」

「ぁんた どしたのさ?? らしくもなく ぼぉっとしたりして」

いつ戻ってきやがったんだ。鈴子。

「ほら そこ!! 鈴子 深愛!! ここは集中しとけょ?? 」
「何よぉ!! 問題といてあげたじゃないのよぉ!!伊庭ちゃんの馬鹿っ」
「何を言ってるんだ!! 解いてあげたじゃねぇだろぉがょ」

ってか

俺まで巻き込むな。伊庭先生ょ。

そうして
結局 鈴子と伊庭先生の喧嘩でその日の授業も終わった。


「で?? あんた 気になることでもあるんでしょうょ?? 」

「ぁ?? 何のことだ?? 」

「伊庭ちゃんの授業の時ょぉ!! 
 アンタ ぼぉっとしてたじゃない?? 何かあったんじゃないの?? 」

こいつ 記憶力いいょなぁ。
絶対 日本史とかで苦労しないタイプだわ。

「お前 さっきOCEAN’SBLUEの話してただろ?? 」

「してたっつうか・・・アンタについてのね?? 」

「で。稲葉って....」

「あぁ。稲葉君??
 稲葉 遼君のことっしょ?? 」

「あぁ。たぶんそれ。
 それってさ うちのクラスのさ稲葉ってやつじゃねぇの??」

鈴子の目が見開かれた。

「へぇ。アンタ クラスの男子の名前 覚えていたんだね??
 今まで そんなこともなかったじゃない」

物珍しそうに俺の顔を覗き込んでくる。

「うっせぇな。基本的にめんどくせぇことゎしねぇタイプだっつの。
 てめぇも知ってんだろぉがょ。
 で?? どぉなんだょ」

「あぁ うちのクラスの稲葉君もイケメンょねぇ。
 でも 違うと思うょ??
 だって 何か雰囲気違うしね。
 あぁ 確か兄弟だとかっては聞いたことあるけど
 本人からはまだ聞いたことないわねぇ。
 だって あの人 近寄りがたいんだもん」

友人Bが鈴子の代弁をかってでた。

「稲葉....零か。」

「へぇ。アンタ 下の名前まで覚えてたんだ?? 」

「鈴子 うっせ」

俺はそういって鞄を持った。

「情報提供に感謝イタシマス。
 そんじゃな」

「何?? 今日 部活なわけ??」

「ん。まぁな」

ひらひらと手を振って教室を出た。


稲葉 零。
そいつだけ 唯一 俺の目を引いた奴。

クラスの雰囲気に流されず
そこだけ 空気が違って見えて。

とても

輝いて見えたってだけ。

話しかけたことも 話しかけられたこともねぇし。

まぁ。 
このまま あと2ヶ月っていう短い期間を
ただのクラスメイトとして終わるんだろうなって
なんとなく 時の流れるままに思ってた。


「うぃっす。」

「ぁぁ?? 何だ 深愛か。
 今日はずいぶんと早いんじゃねぇの??
 まぁ ちょうどいいか。
 お前 今日からこいつの指導やれや」

胴着の先輩。
この先輩とは小学校からの家族がらみで仲が良かった。
もちろん俺の事情を知っている。

「は?? 指導って何すか?? 」

「進入部員だ。
 珍しいょなぁ。
 この時期に。
 まぁ 男だけどさ。お前が一番教えるのにはふさわしいと思ったんだ。
 できるな?? 」

「はぁ。意味がわかんないっすけど。
 俺でいいんすか?? 」

「お前だから頼んでるんだ」

そこで初めて顔をあげて
“こいつ”の顔をみた。

「......稲葉???」

「なんだ。お前ら顔見知りか。
 なら指導はお前適任だな。深愛。
 じゃ 俺も指導にもどっから。
 軽く 型から教えてやれな」

千鶴先輩は昔っから何考えてんだかわかんない先輩だったけど
兄貴肌っての?? そんな感じで慕ってた。

だけど。

今日ほど 何を考えてんだかわかんない日はなかった。

と思う。

「....稲葉・・・零??」

「何だ。自己紹介 いらねぇんじゃんかょ」

「ぁ....あぁ。同クラだろぉがょ。そりゃ知ってるって」

「そぉか?? お前に告ったって奴が
 同クラにも関わらず『あんた 誰?? 』とか言われたって言ってたけど」

言葉に詰まった。
男なんて興味ねぇんだょ。悪かったな。

なんて目の前の奴に言えるわけもなく。

「ぁ。あぁ。俺 人の名前 覚えるの苦手なもんでな」

「まぁ 俺の名前は覚えてくれていたってわけか。
 そりゃどぉも。理由は聞かねぇことにしとくょ。
 じゃ よろしく」

「へぇへぇ。どぉもご丁寧にぃ」

「.....深愛」

凛と澄んだ声。
凛と澄んだ空気。

俺の名前だょな??

誰かに確認したくなった。

なんだか俺の名前じゃないような気がしたんだ。
本当 何でだろ。

「馬鹿。
 俺の貴重な練習時間 割いて教えてやるんだ。師範って呼べ。師範」

きょとんとした顔の稲葉の顔。

それからふきだすように笑う。

「何だそりゃ」

「考えなくとも解るだろぉょ。
 教えるってんだから師範だ」

「だな」

それから何がおかしいのか 俺もつられて笑った。


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