Will indication 意志の徴候

Will indication 意志の徴候

まず最初に、ここから始まった。


 まず始まりは、高校に入って。
 俺は、将棋部に入りたかった。その時はまだ将棋を趣味として楽しんでいたから。
 しかし、将棋部は存在だけは残っているが、部員は一人もいないという。顧問も囲碁部と兼ねていて、囲碁に集中しているらしい。部員希望の人間を集めてきたら部室を用意すると言われたが、そんな漫画みたいに上手く行くものかと、俺は諦めた。
 丁度その日の放課後、同級生が誰彼構わず部活に勧誘していた。
 俺もあのくらい出来たら将棋部とやらを再活性出来るだろうか、そんな事を思いながら席に戻ろうとすると、勧誘していた同級生三人が話しかけてきた。
「ねえ、ロック部入らな~い?」
 まず感じたのは、言葉が軽いと思った。それと、面倒くさいとも。
 うちの学校の軽音楽部は、何故かロック部という名称になっている。それは、新入生歓迎会の部活紹介の時に知っていた。
「俺何も出来ないよ」
「出来なくても良いから~」
 まあ、どうせ入ろうとしていた部活も、諦めたのだから、そんな理由で、俺はロック部こと、軽音楽部に入る事にした。
 四人で早速、入部届けを担任にもらい、記入をしてから顧問は誰なのだろうかと相談していた。
 俺のクラスの担任は、今年入ってきた教師だったので、顧問を問うても、俺に聞くな、と言うばかり。
「暇人だったら面白いよな」
 そう言って、四人で笑っていた。
 暇人と呼ばれるのは、ある教師。俺達の学年を受け持っているのだが、クラスの担任や副担任でもない。後からわかったのだが、その教師は学年主任だった。良く考えれば、学年主任以外の可能性は無かったのだが。
 その暇人こと学年主任は、体育の着替えの時や、集会の時に絶対顔を出した、しばらくその場で生徒を急かしていた。面白い教師だったが、けじめはつける、良い先生だ。その時はそう思っていた。今、といってもこの時から一年半後だが、その頃から学年主任を良い先生だとは思っていない。
 一年生になって最初の四月というのは、やたら集会等が多かった。にも関わらず、毎回学年主任がうちのクラスに来て俺達を急かしたり、場所を教えてくれたりしていた。
「する事が無くていつも来てんだよ」
 誰かが言ったこの発言が、暇人と呼ばれる所以だった。
 俺達、四人で暇人が顧問だったら、と笑っているところに丁度その暇人が教室に入ってきた。
 それだけで俺達は爆笑していたが、四人のうちの一人が、暇人に問うた。
「すみませーん、ロック部の顧問って誰ですか?」
 その間も笑いながらだったが、暇人は当然の様に答える。
「ああ、俺だよ」
 他の階や反対側の校舎にも聞こえるのではないだろうか、そう思える程に俺達は爆笑した。
 その後、暇人が去る前に入部届けを渡して、時が過ぎても俺達は笑い続けた。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: