<cafe James>公式ブログ☆油井純一のリアルライフ!モダンライフ!

<cafe James>公式ブログ☆油井純一のリアルライフ!モダンライフ!

「秘密という名の嘘」中


僕に馬乗りになった美砂子の手が「僕」を掴む。

「ねぇ、抱いて...  他の男に抱かれて来た私を...」
「美砂子...もういいよ....」
「よくないわよ!」
「......」
「何がいいっていうのよ!私を失いたくないでしょ?
だったらいつものようにして...」
「美砂子」
「いつもじゃおかしいわね.....前みたいにして....お願いだから...」

僕は男である前に人間であるいう意思を優先して生きてきた。でも所詮男でしかない...。
硬質のゴムが熱を帯び、膨れ上がる。美砂子と僕は溶け出した。ふたりの冷静さがいつもより温度を下げ、乾いた大地にさらに大きな亀裂を広げていきながら...。

ニューヨーク、セントラルパーク 九月

美砂子と初めてあったのは朝の通勤列車だった。彼女は朝八時二十分に御影から、僕はもうひとつ前の駅からその電車に乗っていた。そしていつも同じように岡本で特急に乗り換える日常の中でいつしか顔見知りになった。
初めて会話を交わしたのは、本山のスターバックスだった。奥のソファ席で古いエラリークイーン・マガジンを読んでいた僕の前の席に美砂子が座ったのだ。先に声を掛けたのは僕だったけど、話が弾むのに時間は掛からなかった。 
そのまま山手幹線沿いのフレンチに流れ、しこたま飲んだ僕は御影のマンションで朝を迎えた。
最上のフレンチに、最良のフィーリング、そして最高のセックスに酔ったこと、その記憶は僕の中で色褪せない。

そんな僕と美砂子の二回目のデートは突然始まった。

「あれ?美砂子さんだよね???」
「あっ!」

七番街の五十一丁目の北西の角。そこで僕と美砂子はすれ違った瞬間に振り返り見つめ会った。

「恋をするなら永遠にずっと...こんなに忙しい世界では、恋は始まる前に終わっている...」

美砂子が婚約者とウェディングの打ち合わせを兼ねてフォーシーズンズに滞在していることを知ったのは、ルーズベルトホテルのバスルームを出たばかりの僕が放心状態でベッドにに腰掛けた時だった。
「クリスマスに結婚するの...わたし」
「えっ?」
「ごめんなさい...」
「え?謝んなんくてもいいと思うけど...」
「ねぇ、わたし結婚していいのかなぁ?」
「え?」
「聞いていい?」
「...何?」
「私とずっと一緒にいたいって思わなかったの?」
「....あの日?」
「そう、それに今も...」
「だって君は結婚するんだろ?」
「そうだよ...でも...じゃあこれって何なの?」
僕はズルイ男になる。ライティングデスクの上の小型のヒュミドールの中からダヴィドフの五番を取り出す。たっぷり時間を掛けて火をつけゆっくりと吐き出す。
「文明の衝突であり、融合....」
「私は...あなたの為に結婚するんだよ」
「.......ぇ...」
「あなたを一生手放さないために結婚するの」
「わかんないよ...わかんないぃ」
「あなたは結婚には不向きな人...でもそれがあなたの...私が大事にするところ...」
「大事?」
「好きなのよ...君が...」

目の前の緑に目眩を起こしそうな気がした。見上げた空の深さに息苦しさを覚える。
君は、自分の年齢以上の浅い皺を持っている。その聡明な額にも、長い指にも、白い脹ら脛にもその跡はないけれど...

本来、人間が老いるとは年齢とは関係のないものである。希望や理想を失ったとき、青春は青くなくなるのだ。時間、歳月は確かに皮膚に線を引いては行くけれど、その精神には何の変化ももたらさない。人生への興味、歓喜、渇望。それこそが青春を形作る「ピース」になる。
若さとは自信である。希望である。勇気である。
だからそれを失うまいとする。でもそれが本当に正しい事なのかどうか...君と僕、あなたとわたし...
それぞれの「ピース」である以上、同じ色形であるかどうかは定かではない。

自分の一歩一歩の重さ。その響きが脳内にこだまする。石の上、砂の上、アスファルトの上...

重く甘い鈍痛に君は立ち止まる。それを追いこしていく人の群れに、彼を探す君の...
赤いフェルト地の上に君のジル・サンダーが接地した。薄く入れてもらった緑茶で少し生き返る。
店に入ってきた時には、さすがに店子に声を掛けられた。

「どうかしはりましたか?」

君は人前でメイクを直すことなど普段は決してしない。でも今はそうも言ってられず...何せ手洗いまで辿りつけるのかどうかだからだ。
「彼」という呪縛の重さに立ちすくむ気持ちに変化はない。冷静になる余裕を失った君は絵の具の載っていないパレットにひとつついた水滴の主成分のような気分に陥っていた。

気を取り直した君はイル・ビゾンテのバッグの中へ手を伸ばす。取り出した革のフォトケース。その型押しの黄色のエルメスも彼からのプレゼントならば、その中に挟まれたのもその頃の彼のままだった。
少し左に傾いた鼻梁、薄い唇、大きな二重瞼。
そのフレームの中に収まった彼は永遠に色褪せない。その恋愛冩眞から香り立つ彼に、君はまた少しの目眩を感じる。

遠い日のイメージ、香り、影の長さ。
あのころ二人には花火も、葉巻もいらなかった。

その変わりに小さく僅かな傷、皺、波をお互いの心と体につけていることに無意識になっていた二人は、来るべき時への怯えを秘めたまま時間だけを消費していった。

愛はいろんな色がついている。でも恋をするといろんなもんが透明に見えるのは何故なんだろう...
君はふと視線を揺らせる。誰かが残していったであろう今日の新日本新聞。
自然と手が伸びる。君の中の何かがその力をスムーズに送り込む。一面に躍る白抜きの文字。

「小学5年生同級生殺害」


ネット掲示板でトラブルか? 女児家裁送致
 N県S市の市立О小学校(山崎博道校長、児童数259人)で、6年生のM・Iさん(11)が同級生の女児(10)に切りつけられ殺害された事件で、N県警の調べに対し、補導された女児が「インターネットの掲示板に自分の書き込みをされた」と動機につながる供述をしていたことが分かった。また、女児は殺害する際、現場の学習ルームで「カーテンを閉めて床に座らせて切りつけた」と話していることも判明。県警は女児が外から室内が見えないようにするためにカーテンを閉め、殺害したとみている。

 S児童相談所は女児を家裁送致した。県警は同所の委託を受けて、○日午前9時からS署で女児の事情聴取を再開。更に詳しい動機などを聴いている。

 市教委などによると、女児とIさんはいずれも自分のホームページを持っており、2人はパソコンでメッセージをやりとりするチャット仲間で、担任教諭も「仲が良かった」と話している。メールのやりとりもしていたとみられ、県警は掲示板の書き込み内容などの確認作業を進めている。

 殺害現場の学習ルームは広さ約62平方メートル。習熟度別学習や総合的な学習の時間など多目的に使用されるという。

 これまでの調べでは、女児は1日午後0時29分ごろ、5年生の教室に手などに血をつけて戻り、担任が学習ルームでIさんが首などを切られて倒れているのを確認。女児はIさんを持っていたカッターナイフで切りつけたことを認めた。救急隊員が駆けつけたときにはIさんは既に死亡していた。

 Iさんは小5としては大柄で、女児は比較的小柄だった。

想像力はいつも創造力を超えている。しかしそれが暗転するとき、僕たちは恐ろしいばかりの感情の爆発を引き起こす。その激情は、その直後の冷静さをもたらせることに僕らは気づいてはいるけれど、事実は真実よりも冷酷なものである。

その時、バッグの中の振動が君の脳を揺らせた。あわててバッグの中へ手を。

彼だ...

「はい.」動揺を深く沈める努力。
「もしもし」
「はい」
「今...どこ?」
「えっ?」
「今どこにいるの?」
「京都ですけど」
「京都?なんで?」
「...あなたに会えるかと思って」
「...昔一緒に行ったとこ?」
「そう」
「平安神宮?」
「ちがう...大原です」
「そっか...」
「行ったの覚えてる?」
「すっごい高い木がさ、ざわざわ揺れてた」
「   うん、さっきそこにいた」
「小さな女の子がさ、君にすごい懐いちゃってたよね」
「え?」
「覚えてない?」
「違う人じゃない?」
「え?うそ...」
「覚えてるよ...」
「え? なんだよそれ」
「懐かしい」
「そうだな、一緒に行ったな」
「違う、あなたの話し方、変わってない」
「そりゃあそうだよ、三年しか経ってないんだもん」
「三年も、じゃないの?」
「......」
「ずっと京都にいる?まだ」
「もう帰ります」
「え?どこ?」
「私、今東京に住んでるんだよ」
「え?  いつから」
「...いつから?いつだっていいじゃん」
「なんだよ、いつから?」
「でも行ったよ、あの日に、あなたの行ったとこに」
「ごめん」
「.....もういいけど」
「これからどうするの?東京帰るって今日じゃないよね?」
「今日にしようかな?」
「なあ、   会う? 会える?」
「.....なんで?」
「なんでって」
「いいよ、そのためにここまで来たんだから」
「どこに行ったらいい?どこまで行ったら」
「探しにきて....捕まえにきて」
「....どこま」
「私さ、あなたといったところに行ってるの。昨日から、だから....」
「賭けしようってことか?」
「今度は、あなたが私を見つけてよ」
「...」
「それまで私、帰らないから、ルールは時間無制限、関西限定  おにごっこ?」
「君が、鬼か?」
「どうかしら」
「いいよ、見つけるよ、で、そこで全部話すよ、なんで約束を守れなかったのかも」
「あ~ ゆ~ れでぃ~?」
「ひあ~ うぃ~ ご~ 」

そして何かが始まり、何かが終わった。
僕には美砂子の吐き出す一言一言の意味がわからなかった。

あなたを失わないために結婚する?

確かに僕はまだ若かった。今ではその意味を少し理解できる。美砂子の感性、それは彼女のプライドの防波堤の一部分であった。
美砂子の婚約者は、資産家だった。おまけに単なるボンボンではなく、実業家でもあるらしい。ただ、年がいくつかなのか、背格好はそうなのか、など具体的なことは何一つ話さなかった。

それでもニューヨークに滞在している間、僕と美砂子は毎日逢瀬を続けた。美砂子が、どんな理由で彼の元を離れて来たのか知る由もなかった。

僕の部屋のドアにノックがあったのは、美砂子が帰国する前の夜、午後十一時過ぎだった。美砂子が部屋を出てから多分一時間が過ぎた頃だった。
美砂子と日本での再会を約束し、最後の情を交わした僕は、怠惰な気分のままベッドに倒れこみ、バスタオルを胸元まで引きあげ眠りに落ちようとしたところだった。

「誰?」
「突然失礼します。美砂子の件で...」
「....」
「ちょっと話させてもらっていいですか?」
「ちょっと待って下さい、着替えますので」
「では下のロビーでお待ちしています」
「あのぉ、あなたは」
「赤いネクタイをした東洋人です。そんなに沢山いないでしょう?このホテルには」

不思議なほど落ち着いていた。望まない、臨まない対決なのに。

ゼニアのジャケットに、ニール・バレットのパンツ。ブルックスのボタンダウンにノータイ。トッズのスリッポンで...ザクロのパヒュームを纏って階下に降りた。
彼は完全にオンスタイルだった。おそらくブリオーニと思われるミッドナイトブルーのスーツにボレッリのシャツ、タイはどうみても僕には縁のないマリネッラ、靴はジョン・ロブのワンピース。なるほどこれがプレッピー、いやエグゼクティブのスタイルか。

「ヤンと申します。」
「どうも」
「結論から言いましょう、明日“われわれ”は日本に戻ります。」
「そうみたいですね」
「いろいろとあなたにはお世話になっているみたいで」

ロビー脇のバーからの黒い視線をチクチクと感じる。でも僕だってここで腰を抜かしている場合じゃあない。プライドなど微塵ももっていないが、自制心は溢れるほど醸し出す場面だろう。そう、平常心という仮面の下に。

「なるほどほれぼれとするほどいい男だ。僕と同い年とは思えない」
「えっ?」
「冗談ですよ。でも私とあなたは同じ空気を持っています」
「僕はその変のごろつきと同じですよ」
「あなたはピアニストですか?」
「え?どうして...」
「その指、あなたの中に流れる旋律を感じます。鮮烈にね」

黒い視線が、ニヤっと笑う。どこかにピンマイクでもついているのか...

「失礼ですが、あなたを応援させてもらいましょう」
「...そういう義理はありませんが、」
「まあそういわないで下さい。私はあなたに惚れたんですよ、あなたのその指と...その声にもね」
「よくわかりませんが」
「この街に知っているピアノバーがあります。いいえ、東京でもいい、これでビジネスを始めるのもいいし、元手に好きなピアノでも弾いて暮らしたらどうですか?」

足元のバーガンディのタイガのスーツケースを僕のほうに足で寄せる。その仕草に彼の不堅気性が滲み出した。

「失礼ですが、このバッグ毎お持ち帰りください。少ないかもしれませんが」
「...いくらですか?」
「おぉぉ!結構あなたも正直な人だ」
「不躾なことは誤りますが...」
「......なんだ、そういう意味ですか....100万あります。ダラーでね」
「そんなもんですか?」
「.....どういう意味ですか?、足らないとでも」
「美砂子とどうして一緒になるんですか?いや失礼は承知ですが」
「彼女の美は、私の富と幸せな化学反応を起こすんですよ」

僕はそのままそこを動けずにいた。

「化学反応」

結局僕は、金を無心する無気力な恐喝者に成り下がった。突き返すことも、席を蹴る事も出来ず...
そんな僕に一瞥も投げかけずに、「彼ら」は去っていた。あの黒い視線が、回転ドアの手前で一瞬のナイフのような視線を向けたことにも気付かない僕だった。
100マンダラー。100万ダラー。100万ダラー。
その後の足取りは、実ははっきり覚えていない。
でもヴィレッジのブラジリアンクラブ、タイムズスクエア裏のポルノショップ、そしてビルとビルの間での行きずりの交接、唾液と吐瀉物にまみれた路上での咆哮。
すべて僕であり、僕でない人間の仕業。
それでも僕はまだシャワーを浴びるという行為を忘れてはいなかった。
ブルックリンの向こうに太陽が上がるのと同時に僕は空港に行くことに決めていた。それは美砂子への感情なのか、自分自身の真実を隠蔽するためなのかわからずにいた。

午前八時二十八分。僕はホテルを出た。エントランスの前では車を拾わないこと。ドアマンにはいつもふらっと出て行く宿泊客だと思われること。そんなこだわりのピラミッドの上に所在投げに座り込んでいる物体。

それが僕。でもそれも僕。

マンハッタンは一方通行が多い。僕の生まれ育ったOSAKAと似ている。それが僕をこの街へと誘う一因であり、一員になったという錯覚を起こさせるものだった。

リプレイのデニムのポケットに突っ込んだクロムハーツのフォレットとビル・ウォール・レザーのチョーカー。そのシルバーの手触りが、心の扉の向こうの無限の景色につながる。

JFKは航空会社によってウィングが違う。でもUSエアーでもJALでもなくユナイテッドを好む美砂子の趣味を僕は知っていた。マイレージの都合もあるんだろうけれど。
長く続く出発ロビーのカウンターの前に立つ。トレンチコートを掻き合せつつ通り過ぎるヨーロッパ人、ルイ・ヴィトンをいくつも重ねたカーゴを押すアラブ人、小柄な背中を丸めて通りゆく東洋人。
マンハッタンでは出会わない人間たち。
僕はそこにいる意味を曖昧にしたまま立ち尽くしていた。

一時間、二時間   空腹を人間は忘れられる。いやそんなことは無理だと思っていた。満たされた生活。自力ではない幸せ。積み上げられた興奮の毛布に包まった僕が、何かを待っていた。
テレビジョンのメロドラマだと、きっと夜更けの最終便までその時は訪れないのだろう。
でも現実は、それなりの過程を経て、僕にチャンスを与えた。

見えないはずのの摩天楼の向こうに陽が落ち始める寸前に、その影が僕の視界に入ってきた。
一人、二人、三人...合計で八人の目指すべき生命体。

僕は、まっすぐにその中の中心にいる皮のコートに向かって歩きだした。
最初に気がついたのはヤンだった。
薄笑い。そこにはなんの驚きも困惑もなかった。まるで僕を待っていたかのように。
あわてて美砂子の前に立ちふさがる黒コートたち。ヤンはやんわりとそれを制止する。
一番最後に気がついたのが、美砂子だった。
その瞳、その首筋、コートに隠された平らな腹部、そして赤いヒールに収まる小さな足。

「ようこそ、遠かったでしょう、マンハッタンからは」
「.....」
「何も私は受け取りませんよ」
「美砂子と少しだけ話をしに来たんです」
「ミサコ?、あなたねぇ、私に恥かかさないで下さいよ。美砂子サンって呼んでほしいですね、せめて」
「...」
「いいでしょう、ミサコどうしますか?彼と話しますか?」
「....ええ」
「オーケイ!じゃあクラブラウンジに行きましょう、それでいいですか?」
「....」
「そうですか、じゃあ好きにしてください。我々は、シガーでも飲りましょう、じゃあミサコあとで迎えに来ますよ」

ヤンとそれに続く六つの足音が僕と美砂子を残して去っていく。そう、あの時と同じ黒い視線を残して...

「すわりましょう、ずっと待ってたの?」
「ここでいい」
「だって私疲れたわ、こんなとこに立ち尽くして話するのなんて...」
「美砂子」
「...何 で す か ?」
「これから俺たちどうする?」
「何?これから、私は彼と日本に帰って、椿山荘で式を挙げて、またこっちに帰ってきてフォーシーズンズでお披露目するわ、プラザでも良かったんだけどね、奇しくも日米共にフォーシーズンズだよ...」
「美砂子、俺とはもう終わりってこと?」
「.....あなた、私に何かしてくれるの?」
「何って?」
「ヤンは私をヴァージョンアップしてくれるわ、私の才能っていうか、可能性を信じてもくれるし、お互いをリスペクトしてるって...笑っちゃうでしょ?でもほんとそうなの」
「俺もそれを応援してやるべきなんだね?」
「あなたとは楽しかったわ、それにあなたはかわいいヒトだし」
「.....」
「あなたがこんなことまでしてくれるなんて思わなかった。今わたしね、すごい嬉しいのよ。女として...それに...」
「それに?」
「あなたのキスに私やられちゃったのよ」
「美砂子..」
「だからさ、うん...ありがとね」

僕は世界の中心に美砂子と立っていた。美砂子を抱きしめたい、美砂子を失いたくない、美砂子を...
でも僕の中にある一部分が、ほかの波を思い出していた。小さな小さな、でもかけがえのない約束を...

「わかった、うん、そうだよ、そうだよね」
僕は最後の言葉を美砂子に言おうと顔を上げた。うつむいていた僕の視界に彼女の「眼」がゆっくりとはっきりと飛び込んできた。

涙  涙  あふれる涙

美砂子は僕から一瞬も目を外さずにそのまま...

僕は逃げた...何をしにそこに来たのか?そこにいるのか?
視線を落とす。美砂子の赤いヒール、そこに伸びる...

僕の右の耳に美砂子の髪の匂いが乗り移った。
「ねえ、私のこと...愛してた?」
「?!!!」
「美砂子ってもう一度呼んで」
「え?」

今度はまっすぐに美砂子の瞳が僕の前に描かれた。

「美砂子」

世界中にこんなに甘美なキスがあるんだろうか?僕たちが、いや世界中の誰がこんなキスを知っているのか?
僕は膝から崩れ落ちた。それでも美砂子は僕を離さなかった。

僕は美砂子のものになった。多分、きっと...

タクシーはもうクイーンズに入っていた。
美砂子が囁いた、
「日本に帰っても、きっと君をみつけるわ」という桃色の台詞が僕の頭の中を駆け巡る。
僕は、このまま美砂子から離れられないのか?自分のとった情熱的な行動が、新しい渦を作り、薄曇りの結末への序曲を奏でるのか?

あれほど強烈な引力を放つキスをした後でも、彼女は僕を一度も振り返らずにずっと奥の世界に消えていった。立ち上がる事さえも忘れた僕をその場所に置き去りにして。
日本に帰ってからも僕と美砂子の物語は続いた。その連続性の中に二つのフォーシーズンズがあり、クリスマス、美砂子の誕生日があった。そのどれにも僕は参加しなかったけれど、それでも美砂子は僕のもとに通ってきた。
その度に僕の部屋に新しいスーツ、新しい靴、新しいパヒュームが増えていった。

美砂子と僕が共有する物。それは時間と物質主義、そして体温。それだけだった。
僕の部屋に残っていた夥しい「ひとみ」の跡を気にする風でもなく、美砂子はそこに「個」ではなく「類」なるものを積み上げていった。
オフホワイトのカーテン、オフホワイトのリネンのシーツ、オフホワイトのテーブルクロス。
美砂子のいる時間だけに活けられた花の匂いの通り道に、僕は新しい自分との対面と、過ぎ去った体面を気にする自身への猜疑心に苛まれつつ、甘い感触の午後と、朝を楽しんでいた。

永遠を感じるひまもなしに...
美砂子が、僕の家にいる時間はゆっくりとしかし確実に長くなっていった。毎晩抱き合ったり、飲み明かしたりしたり...
でも僕の一部分が強烈な熱を静かに点滅させていた。

大人になれば誰でも「幸福感」には終わりがいつか訪れる事を知っている。僕も例外ではなかったし、美砂子にだってそれはきっと変わらないはずだった。
そんな僕が、美砂子との生活に変化を感じ取ったのは街中でのある出会いだった。
街中というより、放送スタジオという個室でのことだった。僕はある音楽雑誌の対談で新進の女性ボーカリストと音楽談義を繰り広げた。彼女は流行のR&Bの歌い手ではなくボッサノッバを奏でるシンガー。3年のリオでの生活を経てソニーの系列のレコードカンパニーから2枚ドロップしていた。
友人の編集者との付き合いで二ヶ月一度、コーディネーターをしていた僕が、初めて音楽以外の部分で意気投合したのが彼女だった。
誌面に載る部分でも彼女の作るギターとボーカルのフィーリング、彼女の内面性を少しは伝えられたとは思う。
しかし、仕事が捌けてからの飲み会での彼女の言葉・佇まいに僕は魅了された。
それに彼女の温度、空気は、僕に「彼女」を思い起こさせた。

あの約束...

無意識に遠ざけていたあの約束は、有形の「期待感」を想起させていた。深い闇に光る「言霊」。

「僕と一緒に登りませんか...」
何かを想いだすとき、何かに傾くとき、僕らは何に触発されるのか?

香り、手触り、佇まい、光

僕は、彼女とカウンターに座ってグラスを傾けながら、その眼の光に「彼女」を思い出していた。

約束を交わすときの、その重量感はそれぞれちがうけれど、根の短い自分自身の人生観と、その道程に対する嫌悪感は相当な勢いと憤りを持って僕を包み込み、そして押しつぶそうとしていた。

「おいくつなんですか?」
「今年30になる」
「そうなんだ、結婚してるんですか?」
「いや、まだだけど...そうして?」
「なんかそんな感じには見えないけど、そうなのかなって」
「.......結婚には向いてないって昔から言われてたもんで」
「えっ?なんで?」
「わかんないんだけど、いい加減そうに見えるんじゃないかな?」
「ふふふ... こういっちゃなんだけど誠実そうには見えないかも...」
「え?ひどいなぁ~ そうかな?」
「でもそれで彼女とかとか作ってるんじゃないんですか?」
「それって?」
「わかんないけど...」
「君はそうなの?」
「私はいますよ。ちゃんと」
「そうだろね」
「見えます?」
「なんかおちついてるっていうかさ、満たせれてる感じするし」
「そうですかねぇ...」

そんな他愛もない話の中で僕は、彼女に「ひとみ」を感じていた。きっとそのクリニークの「ハッピー」の香り、その話す速度、その美しい鼻梁に...

その夜、僕は美砂子と小さな諍い劇を演じ、翌日から家に戻らないようになった。実際は東京でのレコーディングの仕事が入っていたからだったのだけれど、これ幸いという感も十分にあった。

二週間ぶりに家に帰ってみると美砂子は、香港に発っていた。
テーブルの上の伊東屋の便箋にはには癖のある彼女の字でこう認めていた。

「彼について少し日本を離れます。ペニュンシラに滞在しています。またここに戻ってきたら、仲良くしてくれますか?
乙女ちっくな文章で恥ずかしいけど、これはほんとです。では」

美砂子と僕の中に介在するものは恐怖と融和のメリーゴーランドだった。それでも僕が僕自身と向き合う旅、そして度に美砂子との時間、それ以前に出会い触れあう事は、僕が欲した救いに違いなかった。それでも「彼女」を愛し続けられるのか、探し続けれるのか。
そんな誰も理解しえない僕だけの真実は、どんな「場面」にあっても自分だけの事実に違いなかった。

時間とともに恋は温度を下げるのか?視界は曇っていくのか?
そんな幼稚な実験、そしてそのノスタルジックな欺瞞。
僕達の生きるこの時代は、恐るべきスピードで次代を呼び込む。
吐き出した言の葉のレゾン・デートル。それは束の間の結合、つまりは約束の意味とは...

言葉も肉体も交わない、そこにあるのは「記憶」のみ...

それからの毎日を、僕はその日を待つ事に費やしていった。時間の経過が、二人を風化させることはないという強迫観念めいた実験の成否。まだ僕は若かった。誰かを失うことや傷つけることの意味、そしてダメージを知らずに生きて来てしまっていたから。

僕の頭の中を巡るメロディ。
すべてが移り変わる...すべてが...
真っ二つに切り分けられた未来。
赤 緑 青 橙 白
そっと見る ジッと見る
ダミアン・ハーストだったら命ある屍に息を吹き込めるけれど...

Daylight turns to moonlight - and I'm at my best
Praising the way it all works - gazing upon the rest
The cool before the warm
The calm after the storm
I wish to stay forever - letting this be my food
But I'm caught up in a whirlwind and my ever changing moods
Bitter turns to sugar - some call a passive tune
But the day things turn sweet - for me won't be too soon
The hush before the silence
The winds after the blast
I wish we'd move together - this time the bosses sued
But we're caught up in the wilderness and an ever changing mood
Teardrops turn to children - who've never had the time
To commit the sins they pay for through - another's evil mind
The love after the hate
The love we leave too late
I wish we'd wake up one day - an' everyone feel moved
But we're caught up in the dailies and an ever changing mood

Evil turns to statues - and masses form a line
But I know which way I'd run to if the choice was mine
The past is knowledge - the present our mistake
And the future we always leave too late
I wish we'd come to our senses and see there is no truth
In those who promote the confusion for this ever changing mood

響く音色、うねる空間 香るメロディ


美砂子からは連絡がなかった。何かを、誰かを求める時間経過の重さ。身勝手な彷徨と保身のランデヴーに身を浸し、何も手につかない毎日は、いつもの倍のスピードで秒針を進めていた。

そして窓の向こうの街路樹の影が長くなり始めた頃、僕は家を出た。新しくも懐かしい世界に向かって。

誰かを愛する行為は、自分を愛でることと密接に繋がっている。本当の自分を、あるいは自分の半身を探し、それを知るための足取りは思いのほか軽く、驚くべき生命力を持って僕を包みこんでいた。

そしてその日を明日に迎えるあの夜、僕は「ひとみ」に渡すあの光るものが、マリメッコのトートに入っていないことに気付き、二週間ぶりの我が家へと足を運んだ。ある予感と、恐怖心を持って...

エレベーターを五階でおりる。そこから僕は一番奥の部屋へ歩をすすめる。足音を忍ばせている自分自身を嘲笑しつつ...

ドアが自動的に開くのは、自動ドアを通る時と思っていた。しかもそれは左右に開く。
次の瞬間、視線の真ん前に美砂子が立っているのを感じた。
そしてそこに白い面長の顔、そして肩にかかる髪を見た。
細い鎖骨を覆うラメが鈍くきらめき...

僕はとっさに鞄を胸に抱いた。そして絶望した。

美しいものの前に僕たちはひれ伏す。歴史も現実も、そして未来も...
僕は特にその類の生き物だ。戦慄と共に。

そして次の朝、僕は僕自身を引きずるように家を出ると、黒いセダンに乗り込む。
絶望的に重い旋律がイグニッション・キーを廻す指を回転させる。
地球にしがみついている感覚と鈍く点滅する薄汚れた希望が僕を明日へと走らせる。

君に会うまであと五時間、いや六時間...永遠に似た焦燥感と渇望、憎むべきものは自分自身でしかなく、世界がまっ逆さまに落ちてこようともそれは不変で普遍なる僕自身の業に違いなく...

高速道路は予想より混んでいた。家路に向かうもの、誰かに会いにいくもの、あてもなく走るもの。
車という自由を得る移動体の中で、僕は未来を思い描いていた。

電子音...携帯電話がヴァン・マッコイの「ハッスル」を発する。そんなメロディを選んだ自分を嘲う。

僕は路肩のセーフティーエリアに車を強引に入れる。運転中には携帯電話を取らない主義。それが法制化される前からの掟にしているという矜持を誰も知らない。

一度切れた電話がもう一度鳴り出す。

「もしもし」
「草枕さんですか?」
「ええ、そうですが...」
「私、山崎と言います、美砂子さんの件で」
「......」
「実は、今ヤンさんから連絡がありまして、一度草枕さんにお会いしたいという旨を承っております」
「美砂子がどうかしたのですか?」
「失礼ですが、今どちらですか?」
「美砂子がどうしたんですか?」
「お電話では話さないように事使ってます」
「あなた、山崎さんでしたっけ?」
「申し送れましたが、私ヤン氏と美砂子さんの代理人をしております」
「....」
「美砂子がどうしたか教えてくれないんですね?」
「申し訳ありませんが...」

ヤンは僕が、美砂子を隠したと思っているらしい。彼ぐらいだと僕の携帯電話の番号を知っている確率は高い。そこに仲介人を立ててきたところに逆にヤンの抑圧された怒りの一端を感じた。

僕は山崎の電話を一方的に切ると、美砂子のメモリーを探す。

発信... ルルルル ルルルル... 親指がボタンを押す。
 ツー ツー ツー ッー

電話を掛けた事を後悔することがある。電話した相手が出なくて安堵することがある。

確かに僕は君に電話したよ...

折り返しの電話を期待することがある。それが掛かってこないことを意識的に察知し、墜落していく感情を傍目からみている感覚に陥ることがある。

果たして...

しかし僕はひとみへの感情を封印し、もういちど美砂子へのコールコールコール...

8回目のコールで留守電話センターに切り替わる。

僕は助手席に携帯電話を放りなげ、車を走行車線に...
左の視界の遥か彼方に点滅する通話ランプ...

Eメール受信中...

「1件のメールを受信しました」

Message from Skymail
From Misako

「こんな最後になるなんてね。どうもいろいろありがとね。わたしはあなたにとってどんな女だったのかな?あなたは最後までかわいい人だった。
ヤンがあなたをきっとさがすでしょうけど、もうわたしはだれにもしられないところにいきます。
さいごまでつまらないじぶんのプライドに囚われてしまうなんて。ああなんて最低の人生だったんだろ。
でもさいごまであなたはわたしのことをおぼえてくれてた。もうそれだけで胸がつぶれそうです。
ありがとうね  そして さよなら いつか   」

男は別れが決定的になってからしかそれに気付かないけれど、女はいつもその予感を胸に秘めている。

美砂子からのメールは僕をひどく揺さぶった。これをどううけとめればいいのか?

「新しい男が出来たのよ」

それが真実の欠片もないフェイクであることは分かっても、それを僕にあの場面で告げる美砂子の心の闇には届かない。

夢を見る。いつも目の前に山が聳え立っている。
でもその山に登ろうとする意思はなく、漠然とそして密かな余裕をもってそれを眺めるだけ。

僕とひとみのストーリーに美砂子がどう絡みつき、僕がそれをどう消化し、昇華していくのか、

傷付くことにも、傷つけることにも無防備で鈍感な生き方と思考回路を持つ人間が、自らの特異性に気がついた時の恐怖をずっと避けてきた。

「ひとみ」まであと15キロ。

その瞬間、ぼくはどこに視線を這わせるのか?

僕の残酷な賭けは、場所の特定だけで時間の約束のない明日への連続性をかけた軽薄なものだった。
3年間というモラトリアムに似た欺瞞を彼女がどこまで許容したのか?その重さと儚さがステアリングにどっしりと滑り込んできたことに一歩一歩気がつかされる路面飛行だった。

僕は再び車を右に出す。走り出したその物体の中で僕は、未来へ加速していく自分に少し酔い出す液体がポタポタと滴り落ちる音を聞いた。

その場所に近いインターで降りると、目の前にゆっくりと靄が掛かり始める外の天気を認める。
すぐ左手に見えたセブンイレブンに車を入れる。

口臭防止剤とヴォルヴィックを求め、ドアの外に出たところでヒップポケットの振動に気がついた。

「MISAKO」着信

「もしもし」
「ごめんね」
「え?いいんだけど」
「最後にもいっかいあなたとちゃんと話したかった」
「.......」
「あのさ、私ふたりでちゃんと生きていくから」
「...ふたり?」
「うん...あれ言わなかった?」
「何が?」
「何がって...」
「ふたりって....誰?新しい人のこと....かな?」
「ううん、私の中にいる子のこと」
「.......!」
「ベイビーちゃんだよ」
「ベイビー   ちゃん?」
「大丈夫だからさ、私にでも勤まるから...ママ」

こういう時、「オレの子?」って聞いて男を下げる、あるいは大人の男を放棄する「オトコ」がいる。

「.......」
「じゃあね... ツーツーツーツー」

放心という言葉はこんなときにこそ相応しい。
でももう一度電話を「折り返す」勇気。僕はいつだって逃げてきた。いつも「山」の麓でそれを見上げるだけだ...
いつだって...
予想もしないことが起こると、腰から下に力が入らなくなる。車まで戻れず、僕はその場に腰を落とした。

未来の生産か、過去の精算か...

口から溢れたヴォルヴィックが一滴、二滴...首を伝う。
二本の道筋、同じ速度で、同じ温度で...

匂ひ?

僕は世界の匂いを嗅ぎ分ける。果たすべき未来と現在の責任は過去に生産された「花」と「泥」の複合体なのだから。

呼吸。
蒼茫。
忘却。

エンジンを掛けると、僕の中に冷却水が流れ出した。
それでも僕は未来に向かって走り出そうとしていた。それが過去との決別ではなく、それと向き合うための儀式だと知っていても。

罪と罰

目をつぶり、通り過ぎる、忘れ去られるのをいつも待っていた。脆弱な精神、うすっぺらな信仰心。
すべてが欺瞞と猜疑心に違いない幸福への渇望。

前に進むことは、自分自身の歴史への決別と、世界中にまた一層の「罪」をばら撒く偽証行為に過ぎない。

走り出す。流れ出す。窓の外流れる僕自身の薄汚れたプライドという名の破壊衝動。

君まで何マイル?

国道沿いには懐かしい景色。僕を包み込み、そして優しく拒絶する。

午後三時五十分。

スピーカーから流れていたベベウ・ジルベルト。ボタンを押すと静寂の世界が訪れた。

もうあと十分か?そんなにかからない?
君はそこに立っているのか?僕を待っているのか?僕だけを、僕との未来を待ち望んでいるのか?

愛するもの。大事なもの。失いたくないもの。欠けてはいけないもの。

僕は奥底から零れ出した感情に気がつく。
それは突然溢れ出してきた。

僕は何かを守ること、自分を犠牲にしてまでも捧げるべきもの....

そんなものを持ち、燃やしたことはあったのか...

突然の疑問符は、僕を激しく揺さぶった。

僕は命をかけて守るべきものを持っているのか?

僕は何のために...いや「誰」のために生きているのか?

いや「何」に、「誰」に生かされているのか?

その時だった...

「ひとみ...」

右の瞳の奥に飛び込んだその姿。その立ち居、そしてあの長い髪...形のいい唇、細く白い首につながる白い鎖骨。

「オリスのアンティークウォッチ...」

でも...

僕は一瞬の「ひとみ」を瞳の奥に収めたままその前を通り過ぎた。三年という時間を、三秒のときめき、ひらめきに変えて。
僕は車を止めなかった。ひとみは来た、ひとみはそこにいた、ひとみを近くから見つめたい、ひとみを抱きしめたい。そして謝りたい、その髪を撫でたい、ずっとそのままでいたい。

僕は車を止めなかった。ゆるく踏んだアクセルはそのまま。
僕は「ひとみ」を求め、「ひとみ」から逃げ出した。
今なら間に合う。ひとみはバックミラーの中にすくっと立っている。

二年程前に見たあの映画のように。メリル・ストリープが車の中から雨の中のクリント・イーストウッドを...
僕は一体...
視界に映る彼女の全身からは、抑制された色香と懐かしさに満ちあふれた憧憬があった。
自分を待ってくれている、夢が目の前に舞っている。
僕は車のドアに手を掛けた。
僕の中の「とまどい」と「後悔」そして...
僕はその場所にとどまり、運命と僕自身を憎んだ。



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