旧天城トンネル


メンバーは、霊感のある親友S、河津の重鎮H(隔離病棟のHとは違います)、元剣道部のKの4人。
もちろん、車を運転できる人間がいないので4人で徒歩で行きました。
山を登ること30分以上、その時Hが
「あぁ、見えてきた!天トンのライトだ。」
見ると天城トンネル内部に点々とついている明かりが見えました。
「もうすぐだ…」

天城トンネルに着くと、トンネル入り口で気分を盛り上げるために怖い話…
しかし、「トンネル内で車のクラクションを三回鳴らすと…」ってうちら徒歩じゃん!!!怖い話が笑い話になったところで中に侵入。内部は3~4m間隔でライトがついていたのですが、全体がライトで照らされているわけではないので、ところどころに暗い部分が。かなり怖いです。

丁度真ん中まで来た頃Hが、
「クラクションの代わりに三回叫んでみる?」
と提案。
「いいね~」
Kも乗り気。
Sも
「まだ平気みたいだから」
「じゃあやろう!!!」

「うぁぁぁぁ!うぁぁぁぁ!うぁぁぁぁ!!!」

「…………」

なんの変化も無い。Hが、
「やっぱクラクションじゃないと出てくれないんだよ」
Kは
「心狭っ!!!出てこいや!!!!」

「やばい!外へ出るぞ!」
Sが突然叫びました。
「えっ?」
「なんだよ!」
自分は前の病棟のことがあったので、Sと一緒に猛ダッシュ。
「おい、待てよ!」
「ちょっと置いてくな!」
トンネル入り口まで戻り、4人いることを確認。みんなで振り返ると、なんか嫌な雰囲気が…トンネル内の明かりが点滅し始め、影のようなものが明らかに近づいてきていました。

「うわぁぁぁぁぁ」

皆で叫び、山を駆け下りて行きました。しかし、最悪なことに逃げるうちにみんなバラバラになり、気づくと自分とKしかいませんでした。しかも道を間違えてしまい、新天城トンネルへ続く山道を歩いていました。(河津とは逆方向)
「どうする…こんな暗い山道…」
Kが言っていると目の前に川が…
「この川沿いに行けば河津に帰れる。」
そう思い、行こうとすると、後ろに気配が。
振り向くと誰もいない。
でも確実に誰かが見ている気が…
「早く行こうぜ!」
自分がそういったその時、遠くのほうにライトが。
「向こうまで走るぞ!」
自分がそう言うと
「分かった。悪いがおまえより足は速いぞ!」
今思えば、なんであいつにそんなこと言う余裕があったのか不思議でなりませんが、ずっとこの言葉は記憶に残っていました。

そのライトの方へ向かうと、そこに車がありました。
「うわぁぁぁ!幽霊!」
そこにいた男の人が自分たちを見るなり、そう叫びました。
「幽霊じゃないです!実は…」
事情を説明すると男の人が、
「一緒に探してあげよう」
と言ってくれたのです。
「やったぜ!」
Kはそういいましたが自分は気乗りがしませんでした。なんでこんなところに一人で男の人がいたか…それが気になったからです。
「おい、ちょっと怪しくないか?だって、なんでこんなとこに一人でいるんだよ」
「なんでこんなとこに一人でいるんですか?」
Kは自分が言い終わる前に男の人に話しかけました。
「あぁ、ちょっと色々とね…」
自分は人間不信なのでそう易々とその人を信じられませんでしたが、とりあえず一緒に探すことにしました。

一緒に山道で探していると、SとHが小屋の中にいました。
「お前ら大丈夫だったか?」
自分がそういうと二人は
「お前らの方こそ大丈夫かよ?」
「何が?」
「あそこにいる人、やばそうだぜ。」
Sがそう言うのに対して、Kは、
「一緒に探してくれてんだから悪い人じゃないよ。」
の一点張り。
すると、さっきの男の人が
「見つかったみたいだね。」
と言ってきました。
「なんとか…ありがとうございました。」
「夜も遅いし、車で送ってあげよう。」
「本当ですか?ありがとうございます!」
Kが勝手にそう言ってしまい、車で帰ることに。
車に乗ると、
「河津でいいんだよね?」
「はい。」
Kと男の人が会話し、出発。

「トンネルにいたのはなんなの?」
「凄い怖い顔してたよね」
「えっ!顔?影じゃなくて?」
HとSには見えたみたいですが、どうやら男の人が凄い剣幕で向かってきていたらしい。そんな話をしていると、男の人が、
「幽霊も怖いが、本当に怖いのは人間だよ」
といきなり話に割って入ってきました。
それから色々話しているうちに河津の町に着きました。
「じゃあ俺はこれで…」
「ありがとうございました!」
男の人が去り、Hの家まで歩いて帰っているとき、Hが、
「あの人さ、ナイフ持ってたね。」
「!!!!」
皆びっくりしてHの方を見ました。
「気づかなかったの?腰のホルダーに入ってた。」
「マジかよ!」
Kがそういうと、Sも
「俺も最初に見たときに気づいてた…」
「じゃあ言えよ!」
「だから大丈夫かって言ったんだよ!」
「………」
Sが一言、
「やっぱり、人間のほうが怖いのかも…」
自分の人間不信が悪化したのは言うまでもありません。



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