坑道記



2005.08.19
神隠しって本当にあると思いますか?
今日は不思議な噂を…この間、自分の通っている高校の近くで昔、神隠しがあったという噂を聞きました。
自分はそういう噂を聞くとどこまでも調査したくなる性質♪たった一人で山へ出かけました。
その山は、金山で未だに閉鎖された坑道がぽっかり口を開けているような山なので、最初に坑道入り口に来たときは少し身がすくみましたが、意を決して中に侵入。
坑道の中はいくつもの道に枝分かれしていて、道に迷う可能性大。なので入り口にロープをくくりつけて迷わないようにしました。
しばらく進むと地面に不審な物が。よく見ると熊のぬいぐるみが…かなりびびりました。もう少し進むと広いスペースがあり、木製の椅子とテーブルがありました。そこにも子供のおもちゃが…
そこに張ってあった坑道の地図を見ると、自分のいるところはまだ全体の10分の1程度しか進んでないことに気づきました。ロープも残り少なくなったので今日は仕方なく引き返しましたが、また明日も行ってみようと思います。
自分なりの推測ですが、やっぱりその子供たちは坑道に迷い込んだと考えるのが自然ですかね…

2005.08.20
顔を蜂に刺されてしまった↓↓
今日はバイトでお給料を貰いました。その給料を大事にしまって今日も坑道の調査へ…
昨日、怖い目に何回も遭っていたので今日は友達一人を連れて中へ入りました。昨日のチェックポイントである、坑道の地図のあった場所へ行き、さらに奥へ向かいました。
しばらく進むと、地面にスコップが。その近くに手紙も。
手紙の内容は字がにじんで確認できませんでしたが、どうやら昔の坑夫の手紙らしく、なかなかすごいなぁと思いました。
スコップを装備してさらに奥へ行くと、目の前に大きな穴が…ロープがあるので下にくだると、ノートが落ちてました。開くと坑道の地図にバツが書いてあり、最初は意味が分かりませんでしたが、どうやらバツは通行禁止の場所らしく、かなりいい物を手に入れました。
今日は日が暮れそうだったので、もう帰ってきましたが、だんだん坑道の仕組みが分かってきたので、あともう一日あれば最下層へたどり着けると思います。

2005.08.22
長くなりましたが、本当はもっと語りたいくらいです。
今日はついに最下層まで行ってきました。最下層と言っても、たくさんある坑道のうちの一つなのですが…
最下層までは、なんとかたどり着いたのですが、そこにはたくさんのおもちゃと蝋燭が落ちていました。マジで怖くなりましたが、我慢して友達と二人で色々探っていると、コツコツ…と足音が…
こんなところに人が来るはず無いと思っていたので、逃げ出そうと思いましたが、来た道は途中まで一本道、自分らは追い詰められてしまいました。
こんなところで死ぬのか…と思ったとき、
「なんだ、お前らは?」
と言う声。その方向を向くと一人のおじいさんが立っていました。
「うわぁーー!!!」
自分たちが大声を上げて逃げようとすると、おじいさんは
「こんなところで何してるんだ!!!」
と一喝。自分らは完全に動けなくなってしまいました。
「とりあえず来なさい」
とおじいさんに言われたので着いて行くと、少し広いところに連れて行かれました。おじいさんに来た理由を話すと、
「そんな理由で来るなんてけしからん」
と言われましたが、そのおじいさんの手にはおもちゃが…
「そのおもちゃは?」
「これは供養の為だ。ここの坑道へはよく子供が忍びこんでな、行方不明になることが多かったんだ。きっとどこかにいるんだろうが、坑道もだいぶ崩れているし、見つけられんだろうなぁ」
どうやらおじいさんはその行方不明になった子供のために、今でもおもちゃをこうして持ってきてあげているらしく、さらにおじいさんが、
「自分はもうここに来るので精一杯、他の箇所も崩れつつある。もう君たちも来るのはやめなさい。どうしても調べたいというなら構わないが、どういう事が起こっても知らないぞ。」
と言ったので、今日はそこで帰りました。しかし、供養のためとはいえ、なんでこんな山奥におじいさんが一人で来ているのか、そして第一、なんでおじいさんが供養しに来ているのか、さらにおじいさんは迷いやすい坑道内で懐中電灯ではなく、ランプで歩き回っていた…
ますます謎が深まるばかり。探偵ごっこではありませんが、やはり気になります。もしかしたら、その行方不明になった子の親なのでは…?
自分なりの考察ですが、神隠しは坑道で行方不明になった子の話がだんだん変わって生まれた噂なのではないか?
とにかく、まだ最下層へ行ったのは何十もある坑道のうちのたった一本。まだまだ調べてみようと思います。

2005.08.24
坑道へGO♪
今日はまた懲りずに坑道へ行って来ました。
この間とは別な入り口から入り、進むこと数分、嫌なものを見ました。祠と包丁です。この妙な組み合わせを不気味に思いながらさらに先へ…
丁度坑道の真ん中くらいまでたどり着き、友達と休憩。その休憩中に缶を見つけました。なんとファンタの缶で古いものでしたが、ここ数年におそらく若者であろう誰か侵入したという形跡を発見することができたので、なぜか少し安心しました。
最下層までたどりつくとそこにもおもちゃが…またあのおじいさんに出会いそうな気がしたので急いで外へでました。しかし問題はこれから…
外に出るとそこの近くに警察が。見つかるとヤバイと思って避けたつもりが出てきたところが丁度警察官の前…
「何やってるんだ?」
もうアウトだと思ったその時、警察官の顔を見て神を信じました。
その警官は、自分がバイクにはねられて腕を骨折した時に調書を取ってくれた警官だったのです。
「あぁ!!君かぁ。一体どうしたんだい?こんな鉱山で」
事情を説明すると
「署まで来て」
と言われて(あぁ、死んだ)と思いました。しかし、警察署で
「これがその時の資料だから。図書館の方がもっと資料があるだろうけど…」
と言いながら警察署に現存していて、公開できる資料を見せてくれました。
(神は見捨てなかったんだ♪)
自分はその資料をまとめてノートに写し(コピーはダメでした)、今日はここでおしまい。結構膨大な資料数だったので、それを今、まとめ中です。
今日坑道で分かったことは、おじいさんはいろんな坑道の奥におもちゃを置いているということくらいですね。

2005,10,9
久々に坑道へ
今まで、色々な資料を整理していたので、中々探索できませんでしたが今日は久々に坑道へ行ってきました。
資料を整理してわかったことは

1、行方不明は戦時中から戦後にかけて起きている。
2、不明人数は20人ほどで、全員子供
3、いずれも捜索隊は編成されず、不明になるたびに地元の人間が二日間探している。
4、警察が動いたためしがない
5、警察からの書類はすべて鉱山閉鎖時に貰ったものであり、その時に警察  は事実を発覚
6、坑道関係者のほとんどが亡くなってる、あるいはこの土地から離れてい  る

まぁ、こんな感じです。
特に4、5が気になります。
普通は事実発覚後でも警察は動くものですし、なんで警察は知らなかったのか、なんで警察に知らせなかったのか…ってところが疑問点。ますます調べたくなりました。
今回の探索は何かあったら困るので男4人で行動。
中に入ってから、数本の坑道を探索。
でもあるものはおもちゃのみで何も見つかりませんでした。
2時間ほど探索すると珍しいものを発見。
なんとテルル鉱です。
テルル鉱は日本では、伊豆の鉱山と、四国にしか取れないという珍しい鉱物です。
しかもかなり大きいので皆でそれを眺めていると、外から笛の音が…
「あぁ~今日は祭りか!!」
地域の秋祭りが昨日、今日とあったので外から笛の音がするのは当たり前のこと。しかし、笛の音が近いのです。
「おかしいなぁ…ここは坑道の奥のほうなのに。」
すると友達が、
「ここ、なんか崩れる…」
スコップで掘るとなんと国道の真横に繋がっていました。
「ここに繋がってるのか~」
「っていうか、今、繋がったんじゃん」
「そっか」
そこで休んでいると一人の翁が近寄ってきました。
「何をやっているんだ?」
自分たちが事情を説明すると、翁が
「そんな昔のことを調べているのか?幽霊が出るから止めときなさい」
「幽霊?そんなものいませんよ。おじいさんならよくいますけど」
「あぁ、あの爺さんか。あの爺さんは昔ここで働いていた人らしいが、未だにここに来る変わり者、いや、ボケてるのかもしれないな」
「そんな言い方は…」
「ああ、悪い、でも悪いことは言わん。止めておけ。」
「はぁ、解かりました。」
まぁ、こんな忠告で止めるような輩ではないのですが、あのおじいさんがこの鉱山で働いていたとは…やっぱりあのおじいさんは何かを知っている。
自分たちはお祭りで買った綿菓子と焼きそば、あと、おもちゃを持って坑道へ引き返しました。
そして向かうは前におじいさんとあった入り口へ…
そこでしばらく(2時間ほど)待っていると、なんとあのおじいさんが来たのです。手におもちゃを持って…
「まだ来てたのか」
「お久しぶりです」
「何してるんだ?」
「いつもと同じ、けしからんことをしています。」
「そうか…」
「あの、よかったらこれ…」
「おもちゃか。」
「迷惑でしたか?」
「いや…」
「一緒に中に入ってもいいですか?」
「勝手にしろ」
一緒に中に入り、五人で坑道の奥へ。
皆でおもちゃと綿菓子を置き、前に行った少し広いところでおじいさんと一緒に焼きそばを食べました。
「お前らはもう祭りへいかんのか?」
「さっき行ったので…」
「せっかくなんだからもっと楽しんで来い、彼らの分まで」
「おじいさんは行かないんですか?」
「自分は、彼らに祭りのことを教えんとな。」

別れ際、おじいさんは
「お前らも物好きだな。楽しかったぞ。」
そう言ってもらいました。
そしておじいさんから
「坑道調査書」なるものを貰いました。
「この間、掃除してたら出てきたんだ」
と言いながら、何十年も経っているはずなのに色あせているだけの代物。
多分大切に持っていたと思われます。
「ありがとうございます!!」

今日はこの坑道調査書をよく読んで、今後の調査に役立てたいと思います。






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