しらぬたの池


自分の友達が他の友達と一緒に「しらぬたの池」へ肝試しに行ってきた時、幽霊が出たらしく、逃げた時にそいつが財布を落とした(本人は財布をすられたと言い張る)らしいとのこと…
それでその財布の捜索隊として自分も招集されました。

パーティー編成は四人。
久々に中学の友達と会ったのですが、メンバーは霊感があるという親友S、中学の剣道部時代の同志K、財布をすられたOと一緒に行きました。
Oは最初に渋って「行きたくない」と言っていたのですが、一緒にいないと話にならないのでつれて来ました。

集合時間は午前10時。強風の吹く中駅に集合して向かいました。
しらぬたの池まではずっと上り坂なのでかなり行くだけでも疲れたのですが、ここで遭遇戦が…
自分が中学の時にしらぬたの池の近くに包丁を持ったおばさんが出るという話を聞いたことがあったのですが、今日出ました。
Sが「休もう」と言ったので道で座って休憩をしているとおばさんが遠くから見ていました。不思議に思っていると「あんたら何しに来た!!!」と言いながら包丁を持って後ろから追っかけて来ました。
「うぁぁぁ!!!」
自分たちは疲れているにもかかわらずダッシュで坂を駆け上がり橋の前までたどり着きました。
この橋が一つの目印となっていて、ここから10分掛かるかかからないかの場所に池があります。
「もうすぐだな…でたらどうする?」
「出たら異界送りにしてやるし!!」
「なめてたらやられんぞ」
このやりとりも相変わらず。懐かしんでいるとSが、
「ここってマジでやばいな…」
と一言。
「おいおい脅かすなよ。」
自分がそう言うと
「冗談は言わねーよ。まったく…さっさと済ますぞ。」
まるで戦争映画のクールな俳優のような台詞をいい、突入。

本当はOが陣頭指揮をとって場所まで行くはずだったのですが、OがびびってしまったのでSが先頭を歩き、次に自分、O、Kの順に歩きました。
歩いているとだんだん足元が泥のような感じになってきて足をとられるような感覚に陥り、これは万が一の時に困るなと思いながら向かいました。
そうしているうちに池に到着。
「どの辺に落としたんだよ」
「落としたとしたらこの辺。」
皆でOが指したところを探していると靴がありました。しかも片方だけ。
「何でこんなとこに靴があるんだよ」
「多分肝試しとかやった奴が逃げる時に落としたんだろ。Oの財布と一緒だよ」
Kの質問にSがクールに返す。このやり取りも全く変わっていなく、かなり楽しく過ごせました。
午後3時になったとき、Kが
「あった!!!」
と叫び、皆がKのもとへ行くとOの財布が中身も無事のまま落ちていました。
「ありがとう!K♪」
Oがお礼をいい、帰ろうとしたとき、辺りが暗いのに気づきました。
「暗くなったな…」
「でもまだ3時だぞ。」
「この辺は木ばっかりだし、日の光が届かないんだろ。」
「でもさっきまでは明るかったのに」
「とりあえず財布は見つかったんだから帰るぞ!!」
その時、Sが
「やばい!逃げるぞ。」
その言葉でKと自分はダッシュで逃げ、Sも続いて逃げました。
しかし、逃げている途中にOがいないことに気づき、自分は止まりました。
Oが逃げ遅れたと思い、自分が池へ引き返すとそこには誰もいませんでした。
そのかわり…さっきは無かった白いシャツが落ちていました。

そのシャツを持って帰ろうとしたとき、気のせいかもしれませんが視線を感じ、振り返ると誰かと目が合ったような気がしました。
気になったのでそっちの方へ向かおうとすると
「何やってるんだ!!さっさとこっち来い!」
と声がしました。Sが池まで戻ってきてくれたのです。
「行くぞ!!!」
腕をつかまれたのですが、自分が
「Oは??」
というと
「Oはもう戻ってる!いいから早く」
Sが言うままに池の入り口まで戻ると、そこにはOとKが…
「大丈夫か?」
「そっちこそ大丈夫なのか、O?逃げ遅れたんじゃ…」
「何言ってるんだ!一緒に逃げただろ。お前が池に戻ったからSが『連れ戻す!』って言って…」

「S、すまない…」
「いや、大丈夫だ。お前を誘わなきゃよかった」
「ほんと悪い…迷惑かけちゃったからな。」
「違う。ついて来てる。」
「何が…まさか。」
「お前に…」
「ふざけんなよ。冗談が過ぎるぞ」
「憑いてるんじゃない。後ろからついて来てるんだ。なんか変なことしなかったか?」
「…もしかしてこれか?」
自分がさっき持ってきたシャツを取り出すと、Sは
「バカか!なんでこんなもん持ってんだよ。さっさと捨てろ!」
そのシャツを近くの地面に置くと、
「やっぱりそれみたいだな…なんで持って帰るんだよ。」
「いや、なんか…」
「まぁ、いい。もう大丈夫だ。」

午後6時に駅に着き、解散しました。
その際にSが
「じゃあ、次会う時は八丁池で…」
といい、かなりウケましたが、いろいろあって思ったことは
『やっぱり幽霊も怖いが人間も怖い!!』
と言うことです。最初の包丁ババアがマジで怖かったので。

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