雪月花

砦







言い知れぬ この肌寒さを何と呼ぶ?
人知れず 流す涙はどこへ行く?

ぬくもりを求めては逃げ
失わず そして何も手にせず

砦とは 築くその人を皮肉にも
救いの手からも遠ざけるという
風を避けるあまり太陽を失おうとも
今は風さえなければいい

持つものが 少ないほどに苦しみも
少ないのだと 賢い人は言いました
手に入らないのか 失ったのか
何も持たない私は泣いているのに

手に入れてから失うことと
手に入れず失いもしないこと
一体どちらがいいのだろう
このままでは失うことすらできなくて

形あるものに終わりがあるのなら
形のないこの想いはなくならないね
傷のない この体のその中には
傷のない ところのない怯える心

冷たい風は何かを呼び覚ますのだろうけれど
今はもう少し この温かな涙に休んでいよう

言い知れぬ この肌寒さを寂しさという
人知れず 流す涙はまだ温かい










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