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小説 春の華
この小説は
海の華
の続編である
冬の華
の続編である。彷徨する省三の青春譚である。
ここに草稿として書き上げます。書き直し推敲は脱稿の後しばらく置いて行いますことをここに書き記します。
春の華
(省三の青春譚)
春の華は厳しい寒さを耐え忍んだ冬芽の開花である・・・。
1
水島にコンビーナートが出来る前は、水島灘に高梁川が流れ込む河口には干潟を埋め立てて造られた戦前の水島飛行機製作所がその目的を終わり放置され草の中に隠れていた。周囲の山肌には蜜柑や桃が栽培され、田地には稲が実り麦に藺草が植えられるという二毛作が行われていた。ビニールハウスの中にはぶどう棚が広がっていた。水島灘に面した半農半漁の小さな村が点在していた。高梁川が押し流す土砂で三角州が出来て一面に葦と芒が茂り、潮が引くと遠浅が広がり足の下で海老が跳ね、魚を手で掴まえる事が出来るほどの魚場だった。瀬戸内海の早い潮に揉まれた魚は脂が乗り、身がしまり大阪の料亭に人気があった。漁業権が買い取られ海は埋め立てられ、飛行機製作所跡地を中心にしてコンビーナートがそれらを呑み込み造られたのだった。企業誘致をするために向こう三十年間の固定資産税の免除が打ち出されていた。長閑だった田舎の村にダンプカーが土煙を上げて走り回り埋め立て造成をし、工場建設の槌音が響いた。村から町へと変わり、夜にはネオンが点滅するようになった。
水島の空は灰色の雲に覆われているように見えた。煙の帯が垂れ込め終日明かりの差さない町だった。煙突から炎があがり油田の様相を呈していた。夜になると何十本の煙突から五十メートルもあろうかと言う火焔が上がり、町全体を昼のように照らし、新聞が読めた。オレンジ色の火炎は水島の空を燃やし夜空を焦がしていた。
省三は倉敷支局の水島担当が記者となっての第一歩になった。水島警察署や倉敷市役所水島支所の記者クラブに詰めていた。大変な町に来たと省三は思った。
水島灘の東には呼松という漁師町があった。そこの漁師が揚げた魚が臭いと、工場廃水口へセメントをぶち込み、魚を工場の入り口へ、県庁の玄関へぶちまけると言う事件が起きた。工場が出す廃水が原因で魚が臭くなったので工場と県はその責任を取って保障しろというものであった。入浜権も漁業権も売り渡した漁師の最後の儚い抵抗であった。海を返せ、魚を返せと書いたむしろ旗を掲げてデモ行進をした。工場と県は態度をあいまいにし話し合いは平行線だった。走り回って漁師の話を取る、県の見解を聴くと忙しい時を過ごした。それは省三が記者になって一番大きな事件だった。時折工場が爆発をしたり、事故が起ったりで死傷者を出すという事件があったが、それ以外は仕事で来ている男たちの喧嘩を取材するくらいで暇だった。
省三は時に起きる事件以外は記者クラブで本を読んだり、外の記者仲間と囲碁将棋をしたりして時間を潰していた。
「今村の原稿料は松本清張より高いのう」
支局長の阿東がそう言ってからかった。実際一月に一度も記事を入稿しないことがあった。一文字も書かなくて給料を貰っているのだから、松本清張が一文字二十円の原稿料としても省三の方が高いことになるのだった。
「ドカンとスクープしますから」
省三が茶目て見せた。
「おいおい、物騒やのう。記事なんかないほうがええのや。暇なときは勉強しとけよ、記者は潰しが効かんからのう・・・野垂れ死にがええところやからのう」
鉛筆を耳に挟んだ阿東が顎鬚を撫でながら言った。この支局には阿東と省三の二人が在駐していた。阿東が外出をしているときは奥さんが電話番をするのだった。
警察官と新聞記者は辞めたら役に立たないと言われていた。大きな権力を背負い生きて、辞めてもその癖が抜けないから失敗することが多いと言うことだった。
省三は水島の街中にあるスナックの二階に部屋を借りていた。コンビナートで事故があると直ぐカメラを担いで駆けつける事が出来るように待機するというものだった。事故が起きると岡山や倉敷から真昼でもヘッドライトを点けクラクションを鳴らしながら駆けつけていた。ここなら一番に事故現場に走れるというものだった。毎朝、倉敷の支局に顔を出し阿東の指示を受けた。記事は電話で入れることが多かった。
漁場を取られた漁師はコンビナートの企業に勤めた。天気と相談しながらの不安定な収入の仕事より、毎日仕事があり月給のもらえるサラリーマンになる事を選んだ。企業としても優先して雇って口封じをした。金が入って先祖代々の家を壊して新築する家が多かった。農地も宅地に変更され会社の社宅や寮が建ち、田地が値上がりしそれを売った農家が借家を持ち、家も建て替えた。農家の子供たちは企業に職を求めた。娘がいれば喫茶店をやらせ、農繁期が終われば廃水の番や検査に雇われて勤めた。企業はあの手この手と次々と住民の懐柔に手を打っていた。企業の病院が次々と建ち医療環境も充実していった。コンビナートは大量の就労人員をつくり全国から人が集まった。企業の街づくりが着々と進んで、新しい町に生まれ変わり、住民の生活は一変して行った。
不動産屋が土地を買い漁っていた。
ある土地を狙ったら絶対落として買った。最初は坪二万円で売ってほしいと持ちかけ、売らないと言えば、別の不動産屋が一万五千円で売ってくれと持ち掛け、前に来た不動産屋は二万円で買うといったというと、よくもこの土地に二万円も出すものだとあきれたように言って帰り、前の不動産屋が一万八千円で買った。売らないと言えば別口の不動産屋が次々と来て値を下げた。段々と土地の値が下がり損をすると慌てた。農家はその手口にまんまと引っかかり簡単に土地を手放した。不動産屋の心理作戦は功を奏したのだった。
このようにして先祖からの土地を手放して大金をものにした人たちは、持ちなれない金をどのように使うかその術を知らず、中には湯水のようにネオンの巷にばら撒いた。挙句の果て夜逃げや女を殺して自殺ということも起こった。
省三はその様をつぶさに眺めていた。人間の愚かさと哀しみを見つめて、自戒にした。
省三は三ヶ月間あらゆる本を読んで勉強し、三ヶ月間は夜の街を彷徨った。映画を見て回った。記者は映画館へ出入り自由のパスを持っていたから無料だった。
「ブン屋を続けるんだったら、岩波の新書は全部読んどかんとのう・・・。それに遊ばんと人の心は分らんからのう」
阿東の言葉がその切っ掛けだった。
「例えば、凄惨な事件の記事を書き、終わりに野辺の健気に咲く一輪を添える・・・これは記者の心・・・ものの哀れ・・・雅性と言うもんや」
阿東は全国紙の記者生活をある事件の記事で棒に振り地方紙へ落ちてきていた。大きなところから小さなところへという流れは新聞業界にもあった。記者と言う特権階級から離れられず流れ落ちてきたのだった。
「ブン屋を辞めたら丘に上がった河童やからのう」
阿東はしみじみと言ったのだった。
時々、玉野にいる母のときの所へ顔を覗かせた。症状は変わらなかった。右手の麻痺、言葉の不自由さの改善はみられなかった。兄の久のところで生活し介護されていた。
製鉄所、石油精製所、自動車会社、電力会社、科学会社、造船所、そしてそれらの下請け会社が水島コンビナートを形成していた。企業は火災事故に備え科学消防施設を持っていた。
パトカーや救急車、消防車は終日サイレンを鳴らして走っていた。その都度省三は記者クラブから飛び出していた。
「また、事故でしょう」
他社の記者がうんざりする様に言った。
「記事にもなりませんからね。行っても仕方がないでしょう」
と続けた。椅子から立ち上がろうともしなかった。
実際、記事は水島で事故と言うだけだった。それが記者の務めだという風に省三は現場へ急いだ。
町医者は事故の怪我人を労災扱いにせずに済ますことで儲けが膨れ上がり病院へと大きくなっていった。企業病院は救急患者を扱わず一般の病院に任せた。それは操作をして発覚したときの社会的責任を追及されないようにする為だった。 企業は労災扱いになれば操業停止にあうことを恐れ病院に頼み込み、病院側も事故の怪我ではないと処理した。被害者には会社側から一時金が支払われ、それれを呑むしかない被害者は泣き寝入りしていた。
全国で廃坑になり職を失った石炭労働者が企業に殺到していた。町全体が全国からの人口流入で活況を呈していた。朝鮮戦争の軍需景気が終わり景気は冷えていた。コンビナートの労働者需要に明かりを見出しての転職が重なっていた。企業はそのために何十棟もの社宅を建てて受け入れた。それでも足らずに周囲の山肌は削り取られ次々と社宅が建てられていった。
海は埋め立てが続き拡張工事が行われていた。新しい企業の進出も盛んだった。土地は日に日に値を上げて土地持ちの人間の懐を膨れ上がらせ、情を狂わせて行った。
企業の廃水垂れ流しが行われ海は従来の色を失っていた。水島灘の魚は臭くて食べられなくなっていた。空は煙突の炎と煙が青空を奪い灰色に変わっていた。飛ぶ鳥の数が激減していった。農業用水は汚れ泡を吹きザリガニがいなくなり、鮒が消えた。藺草が先枯れし、蜜柑に桃が育たなくなっていた。
「今村、この記事は駄目だ。自分が通しても、本社のデスクもよう受けんで」
阿東が記事に目を通して省三に付き返した。
「どうしてですか」
省三は怪訝そうに言った。
「幼いのう・・・これを載せてみい・・・袋たたきや・・・この関連した会社の広告はみんなパーや」
「それは・・・」
省三は口ごもった。新聞は広告収入でやっていることは分かるが、それでは何も書けないことになるではないかと言いたかった。
「新聞が真実を報道するという妄想は捨てたほうがええで・・・。これを載せてみい、広告も減るが、労働基準監督署が黙っとらんで・・・分かってお目こぼしてやつがばれるしな・・・本社は次の日から労働監査やのう・・・」
そう言う阿東の目には厳しい光があった。
水島の企業と病院の癒着を書いたのだった。労災を受けられずに途方にくれる人たちの取材も多く取り入れて書いたものだった。
省三の純真な正義心は社会の柵の中で砕けた。
省三はスナックの二階の窓から吹きあげる煙突の炎を見つめていた。省三の目に炎の灯かりが映り燃えていた。それは怒りの炎だったのか、情けなさに苛立つものがあったのか、その時省三には分からなかった。体は熱くなっていた。
「省三、ナニヲ悲シンデイルノカ、アナタワ間違ッテイナイ。イツマデモソノ綺麗ナ心ヲ大切ニシテ欲シイ。アノ夕日ノコト忘レナイデ欲シイ」
キャサリンの顔が浮かび声が聞こえたように思った。
省三が人としての苦しみを味わっているあいだもコンビナートは化け物のように拡大していった。
「今村、少し休暇を取ってどこぞへ行って見てはどうなんや」
阿東が省三の元気のなさを心配して言った。
「何処にも行きたくありませんから」
省三はきっぱりと言った。
「なんや・・・。一本気だけではこの世は渡れんぞ」
「それで良いと思っております」
「前のことで、おこっとんのか」
「いいえ、もう忘れました」
「わいのように成りたいんか・・・。政治部の記者として自由党の幹事長を追っていた・・・。雪国の選挙区にもしばしば足を向け取材を重ねた・・・。汚職を掴んでそれを書きデスクへ出した・・・。没だった・・・。噛み付いた・・・。
北海道へ転勤になった・・・。熊しかおらん土地だった・・・。
今村、どうする、熊に取材をするか・・・。わいは殺されたんや、怪物にな・・・前途を奪うことで殺したんや・・・。それがこの社会と言うものやと納得するまでには仰山の時間がいったがのう・・・行って来い・・・北海道の雪で分からず屋の頭を冷やして来い・・・」
阿東は煙草を吹かしながらとつとつと語った。省三は黙って聴いていた。
「そこの通信局でぎょうさん本を読んだ・・・。スキーも上手くなった・・・。女房もそこで調達した・・・。今ではそのことが有難かったと思える・・・考える時間を作ってくれたことが・・・。東京では考えられなかったことが分かるようになった・・・。だけど、生活になれると退屈になって・・・。記者として仕事がしたいと・・・ここの新聞社に流れてきた・・・」
「それなら・・・」
「判れと言うのじゃろうのう・・・。一人で通信局でいることの寂しさ辛さが・・・。何が辛さや寂しさじゃ、前の戦争でのうした命を・・・未だに後生大事に・・・」
阿東は言葉を呑んだ。そして、その思いを振り払うように続けた。
「記者は記事を書いて始めて記者じゃからのう・・・。何も書くものがない記者ほど惨めなことはねえ・・・。 あの記事を読んだとき、昔の自分を見ていた・・・。
新聞はいろいろな柵の中で出しとる・・・。記事は書いた、それで記者としての仕事は済んだ・・・記者としての限界がある・・・」
「それでは黙って見捨てろと・・・」
省三は咳き込みながら言った。
「今、新聞社をやめ一人で戦うべきだったと・・・。だが、新聞社の看板がなかったら簡単に葬られていたろう・・・。戦うときが必ず来る・・・。いや戦わなくてはならないときが必ず来る・・・その時のために・・・。記者として外に何か出来ることがあるはずだ・・・。それを探してくれ・・・」
阿東は苦しそうだった。重い響きの言葉だった。
「探す・・・」
「ああ、今村個人で何が出来るかを・・・」
「個人で・・・」
「ああ、人間としてだ」
「人間として・・・それは・・・」
「これから公害が人間を襲う・・・その時・・・社会の柵がどうのこうのと言っておられんようになる・・・。新聞の使命は・・・」
「分かりました。有難う御座いました」
水俣では猫が狂ったように飛び上がり死んでいた。川崎病、四日市喘息が時々報じられている時期であった。
「休みをいただきます」
「おいおい、短気はいかんでのう。自棄はなしやで」
阿東が笑いながら明るく言った。
「いって来い、今村のこっちゃ、北か南か・・・公害の先進地を見て来い・・・そこで起てることがここの何年か後だからのう」
省三はこころの曇りが晴れたようだった。清々しい気持ちで立ち上がった。外に出ると太陽の光が眩しくて手を額に翳して遮った。
省三のもとにときが喘息で毎晩咳き込むという電話が久からあった。
省三が水島へ来て三年目を迎えようとしている、春まだ浅い日であった。
2
車窓に瀬戸内海の島影が流れていた。それが暮色の中に消え暗い海に変わっていった。寝台列車は西を目指していた。
ベトナムではアメリカがベトナム解放戦線と熾烈な戦いを続けていた。
新幹線開通、東京オリンピックの開催。東京の夢の島で大量にハエが発生。新潟大地震により二十六人の死者、二千二百五十戸の全壊が報じられた。そんな年を過ぎて新しい春が来ようとしていた。工業国日本の弊害が日本を深刻な公害に導き人間を襲おうとしていた。
水上勉が「海の牙」と言う推理小説で水俣病を書いたのはこのころのことである。
工場廃水が海を殺した!猫が狂い、鳥が墜ち、そして人が次々と…。
不知火の海を襲った戦後最大の惨劇を描く。
「海の牙」の腰巻(帯)にはこのように書かれてあった。
熊本県水潟市に発生した恐るべき「水潟病」。原因は工場廃水中の有機水銀と推定されたが、調査に訪れた東京の保健所員結城が行方不明に。大学教授とその助手と称する怪しい二人組と、結城の妻郁子の不審な行動…。探偵好きの医師が刑事とともに調べはじめる。問題作を再び。
省三は不知火の海が見たかった。どのように海は変わっているのか、その様を見て水島灘を推し量りたかった。海の自然浄化さえ許さない有機水銀の恐ろしさをこの目で確かめたかった。
「今村、水俣へ行くんやったら、石牟礼道子さんを紹介しょうか」
阿東がそう言ってくれたが、断った。取材で行くのではない、ただ不知火の海に尋ねたい事があるだけだった。
石牟礼道子は「苦界浄土」と言う本で水俣病を告発していた。
寝台列車は昼前に水俣駅へ着いた。この町はチッソ会社の城下町のようなものだった。市民は何らかの形で会社と関係があって、何も言えない立場にいた。会社に飯を食わせて貰っていると言うことだ。水島と一緒ではないか・・・。水島の公害で死者が出ても表ざたに出来ず一時金で済ますのか・・・。企業を県を国を訴えることすれ出来ない、そんな水島の人たちを思った。
不知火の海は穏やかに流れ、太陽の光を白く跳ね返していた。この海の底で何か異変が起こり、人間に復讐をしようとしているのだ。省三は立ち去り難くそこへ佇んで見つめていた。淀んだ海の底からぷつぷつと不気味にあがる気泡を見たように思った。なぜかわなわなと震えていた。
これから水島がどうなるのか・・・。魚は異臭を放っている、動物連鎖が人間にも・・・。川からザリガニが、鮒が、鯉がいなくなった・・・。空には飛ぶ鳥いなくなった。藺草が枯れ、蜜柑が桃が梅が育たなくなっている・・・。空気は化学薬品の臭いがしている・・・。今度は人間か・・・。どのように公害が人を襲うのか・・・。喘息の患者は増えているというが・・・。
省三は様々な思いに駆られていた。
公害阻止・・・その為になにをすれば良いのか・・・。新聞の使命・・・否、人間として・・・。新聞記者という身分でそれをすることが出来るのか・・・。記事として書くには地方紙ゆえに限界がある・・・。
良否を問いながら安保闘争をした人たちの思いが、切羽詰った行動が理解できるようであった。自分の将来のこと考えず、国の国民の将来を憂い行動していたのだ。それを善として・・・。事実、学生運動をした人たちには就職の門は狭かった。だが、人間としてそれをしなくてはならなかった大きな思いがあったのだと今の省三には理解することが出来た。ならばどうする・・・。省三は記者としての自分の限界と、人間としての良心の狭間にいた。
チッソ会社が廃水を垂れ流した不知火の海に夕陽が沈もうとしていた。明日のない夕陽・・・地獄の修羅場になった水俣に明日があるのだろうかと言う不安が省三の心を支配していた。
「喘息は確かに増えていますな、だが、それを大気汚染の所為だと断言するにはまだ早々ですな。急激に人口が増加し元々その因子を持っていた人、それから元炭鉱労働者の方たちの職業病である塵肺を持っている人も多くて・・・。因果関係がはっきりとしておりません」
省三が最近の喘息の増加をどのように思うかと言う問いに医者はこのように返した。医師たちの総ては断定を避け曖昧な態度を貫いていた。厚生省の、県医師会の通達かと省三は疑ってかかった。
省三は水俣から帰り精力的に取材をした。企業は丁寧に応対し、これも国の方針なのだと言う態度だった。国は戦後の立ち直しに躍起だった。明治維新と同じで追いつけ追い越せと焦っていた。そのためにはインフラとしての重工業が急務だった。その為に各地にコンビナートの建設が急がれていた。
省三は取材したメモを大切に仕舞っていた。いつかこれが役に立つ、人間として使うときがくると思っていた。使わないで良い世の中が来ることを願っていた。
省三は水島の東にある喫茶店にいた。ここは記者のたまり場で、岡山や倉敷からここに来て情報の交換をしていた。商売敵の上辺だけの付き合いだった。外の記者は誰もいなかった。記者は事故がない限り倉敷市役所の記者クラブから出なかった。総ての情報は本庁に通達が来るのそれを取材すればよかった。それを待って記事にしていた。足で稼ぐ記事は殆どなかったのだ。あったとして記事に書いても新聞には載らないことを知っているからだった。
風がやむと周囲の山々が見えなくなり、百メートル先の人家が消えていた。 洗濯物は黒く色づいて、車には白い埃が積もっていた。
「いらっしゃいませ、どうぞ」
お茶をデーブルの上において女性の声がした。省三はちらりと見て、
「いただきます」と言った。
そこには見たことのない若い女性が立っていた。
「なにを、何をきょとんとしているの・・・。私の妹で手伝ってもらうことにしたのよ。宜しくね」
ママの房江が笑いながら言った。
この店も農家の父親が土地を売った金で、娘に喫茶店をやらせていた。ママの亭主はコンビーナートの中にある電力会社へ務めていた。
「今ちゃん、この子は育子。昨日までTデパートでネクタイを売っていたのよ。私に子供が生まれるのでそろそろ覚えてもらおうと思い辞めてもらって・・・。覚えたら選手交代です」
房江はコーヒーカップを洗いながら言った。
「そうですか・・・」
省三はどきまぎしていた。
「今村です、やくざな仕事をしています」
そう言うのが精一杯だった。
「こちらこそ、姉同様宜しくお願いいたします」
「それはそうと、今ちゃん・・・。どこか箪笥店を知りませんか」
房江がそう言いながらカウンターを出て来て言った。
「箪笥店ですか・・・」
省三は考えようとしたが、その前に房江が言葉を横取りして言った。
「今ちゃん、今度の休みにでもこの子連れて買い物をして来てくれないかしら」
「はあ・・・」
言葉を挟む隙を房江は与えてくれなかった。
「兄が・・・この子の兄が・・・私の弟が今度結婚することになって・・・船員をしていたのですけど結婚を契機に丘に上がることになって・・・長いあいだ外国航路に乗っていて・・・その祝いに応接セットとベッドをと思って・・・」
房江は早く喋ろうとしてつかえた。
「姉さん、そんなに言っては・・・ご迷惑でしょうね」
育子が困惑している省三を見て助け舟を出した。
省三は休みが何時だったかと考えをめぐらせていた。人の出会いはこんなものか・・・。記者連中が集まっていたらこうはいかなかったろうと思った。
キャサリンのときも偶然が仕組んだものだった。
「行きますか・・・安くて良いものを探しますか」
仕事に明け暮れ女性とお茶を飲むこともなかったことに気づいた。仕事は壁に突き当たっていた。気分転換も良いかと省三は快諾したのだった。
「どう、あの子どう・・・。あの子も気に入ったみたい」
房江がコーヒーを運んできて言った。
省三は育子を連れて買い物をし、本社の近くのレストランで食事をした。半田山の浄水場を散歩した。
育子は大人しい女性だった。この人がデパートでネクタイを売っていたとは思えなかった。
「休みのとき何所かえ連れてってください」
育子は車を降りるときに小さくそう言ったのだった。そのような言葉を言える人ではないと思っていただけに省三は驚いた。
「ああ、良いですよ」
省三は簡単に約束をしていた。楽しい一日であった。こんな気分になるのも良いなと思って返事をしたのだった。
「・・・」
省三は房江に笑いを返した。
「今ちゃんを見ていると肩が凝って・・・。一途な男も素敵ですけれど・・・疲れます・・・。女を知れば今まで見えなかったものが見えてきます・・・そう思って・・・。外の人は女にだらしがないし、ギャンブル狂いだし・・・あの子には今ちゃんが一番だと思って・・・。泣かしたら私が許しませんよ」
房江は真剣に言っていたが最後には頬を緩めていた。
「何をそわそわしているの・・・あの子は今日から運転免許を取りに行っています・・・。あの子に会いたいなら、朝か夜に来てください」
「今日のコーヒー美味しいですね」
「こら!」
省三はそんななんでもない会話に人の情けを感じていた。省三と育子は急速に近づいていった。房江の仕組んだお膳立てに感謝していた。
「灯かりは前から当てるだけが能じゃないぜ。横から当てるほうが人間の心を照らすこともあるんだぜ。踊り子も横サスの灯かりのときに総てが分かるもんだぜ。どんな過去を歩いたか・・・灯かりは正直だからな」
ストリップ劇場の照明さんの言葉が思い起こされた。
省三は頭を叩かれてように思った。正攻法だけが成功への道ではないのか・・・物事は上から下から横から見ることなのか・・・。照明さんの言葉で省三は新しい目を見つけたように小躍りをしていた。何か心に引っかかっていた思いが晴れたように思った。
3
水島の空を覆う煙がじわじわと人間の体を蝕んでいた。年寄りと子供たちに最初にその症状は現れた。
企業は脱硫装置を付け、煙突を高くして煙を拡散しだした。それは大気汚染地域を広めただけで、隣町で作物が枯れるという現象を齎した。浄化槽を設置し廃水浄化に努めこれほど綺麗な排水を流しているのだと金魚を泳がせて見せた。それは市民を納得させるパフォーマンスだった。
倉敷市公害センターが出来て光化学スモッグが出ると赤い風船を上げて外に出るなと警告した。海水と、空気を検査測定しppmが基準以下であるから心配はないと発表した。
「ppmかなんか知らんが、そんなものは信用してねえ・・・。海に魚が、空に鳥が、川に鮒が帰らんと信じねえ」
と公害反対の住民は叫んだ。
住民と企業のいざこざは尽きなかった。
小学生の少女が喘息で亡くなるという事件が起きた。
普段なら一行か二行の記事だが新聞は大きく取りあげた。少女は大気汚染による喘息に対して疑問を投げかけていた。優しい言葉で書かれてあったが痛烈な告発の手紙があった。それは弱弱しい崩れた字で書かれてあった。
―私が何か悪いことをしたのでしょうか・・・。なぜこのような病気になるのでしょう・・・。あの赤い風船が憎い・・・。―
関係者や住民はその事実に一様に戸惑いを見せていた。
「アホや、こんないたいけない子の命を犠牲にせんと分からんというのか」
省三の入稿を読んだ阿東が叫んだ。それは省三の遣り切れない怒りと同じであった。
省三は自分の非力を泣いた。胸は熱く背筋に冷たいものを感じていた。
「もう辞めたら・・・」
育子が見かねて言った。
「辞める」
省三は育子を見上げて言った。
「辛いわ・・・そんなあなたを見るのは・・・」
「辛いか・・・」
「記者を辞めても良いわよ・・・私が食べさせてあげる・・・お母さんに来てもらって一緒に暮らしましょう」
育子は省三の頭を抱いた。
「何時か言っていたわね・・・辞めたら色んなことが出来るって・・・」
育子は省三の苦しみをじっと見つめて来ていた。
「記者の限界があるって・・・。これから人間として生き、戦って欲しいの」
省三は育子を力強く抱き寄せた。
「結婚して勉強しながら戦って欲しいの・・・。私の用心棒・・・この町の監視役になって欲しいの」
育子は優しく言った。ジュークボックスから「さよならはダンスの後に」が流れていた。
新潟で有機水銀中毒患者の発生を告げていた。厚生省は企業の工場廃水が原因と発表した。
「新潟へ行きたいかのう」
阿東は記事を書きながら言った。
「はい、出来れば」
省三ははっきりと言った。
秋の台風シーズンだった。電線が風に泣いていた。雲が流れていた。
「反れてくれれば良いがのう」
「はあ」
省三は新潟大地震の復旧がまだ終わっていない新潟を思っていた。
「台風のことだ」
「はい」
省三は心に騒ぎを感じていた。
その時阿東の前の電話が鳴った。阿東は受話器を取り顎に挟んで聞き、書き取ろうとした。
「今村だ」
阿東は受話器を省三へ差し出した。
顔から血の気が引いた。
何処をどう走ったか覚えていなかった。病院に翔びこんだ。育子は頭に包帯をぐるぐると巻かれてベッドに横になり、点滴注射が腕にされていた。育子の両親と房江が取り巻いていた。
「大変なことになってしまって・・・。今ちゃんと結婚できるんだってあんなに喜んでいたのに・・・」
房江は省三を見て言った。省三はじっと育子を見つめ黙っていた。
海を彷徨う善さんを思っていた。今、育子は荒海にいる、どうする、育子が死んだら自分も死のうとふと思った。
その夜嵐が来た。病室の小さな明かりが雨と風に耐えていた。
意識不明が何日も続いていた。意識が戻らないと絶望だと医者は言った。省三は泊り込んで見守った。
「心配いりません、気がつきます・・・諦めないで下さい・・・。私は回復の治療をいたしますから」
岡大から来ている研修医の清水だけが治ると言った。(清水医師は後年臓器肺移植の権威になっている)
十五日間、死線を彷徨い意識が戻った。脳挫傷、左大腿骨骨折、アキレス腱裂傷。治療とリハビリーの日々が続くことになった。
水島の空は終日燃えていた。連日公害センターには赤い風船が上がっていた。
コスモスが風に揺れながら病院の隣にある公園に咲いていた。省三は育子の病室からそれを眺めていた。この公害の町に健気に咲いているコスモスにそっと笑顔を向けていた。それは育子の症状が好転した余裕か、張り詰めていた心の綻びであったのか省三には分からなかった。
日日が薬というが育子は二年間入退院を繰り返した。額に十円玉の様な赤い痣が残り、左足がビッコという後遺症が残った。
「ごめんなさい、こんなことになって・・・。待たしたわね・・・私の杖になってくれる」
育子は潤んだ目で言った。
「結婚しょう」
省三はそう言って育子の手を握った。
「良いの、こんなになった私でも・・・」
「結婚したら記者は辞めるつりもりだったんだ。二人でコーヒーを淹れよう」
「うん」
育子は頷いた。頬に涙が流れていた。
「育子が言ったように、育子専属の用心棒になる・・・。そして、この町の監視役になる・・・。記者という身分がなくなれば色々な圧力がかかって来るぞ。それを覚悟してくれ」
「いいわ、一度死んだ体だもの、何が来ても怖くないわ」
「そうだったな」
省三は笑い、育子もつられて笑った。この笑いは二人を祝福するものだった。
後年省三は環境問題を台本に書いて風刺した。
戯曲 三太郎の記紀(クリック)宜しかったらどうぞ
4 川の心
三太郎が川を覗き込んで、
三太郎 川が可哀相でやす。櫻の花弁が切ないでやすニヤン・・・。
五右衛門 鼻がひん曲がりそうですワン。
主人 川の汚れと人間の心の汚れは比例するぞい。嗚呼、日本民族もここに極まれり。 三太郎 イリオモテヤマネコもあと百匹位になったニャン。
五右衛門 我々の先祖である日本狼も絶滅して久しいウーワン。
主人 なんだ、この匂いは。まるで糖尿病患者の病棟のトイレと同じでわないかいな。 三太郎 でやしょう。この前なんか臭気で涙が出てしょうがなかったでやすニャニャン 五右衛門 鼻水が垂れるワン、目が痒いやらで困ったですワン。
三太郎 この前なんか、魚の大群が川を逆登って行きやしたょ。こんな捨て台詞を残しやして。「おまえも人間に愛想をしへり下っていて人間と一緒に滅んでしまえ」と。ニャーン・・・
五右衛門 先だってザリガニのデモがあった時に「母を返せ父を返せ子供を返せ。綺麗な川を返せ」と、鋏を高々と挙げて行進して、川上へと移住しましたョ。クンクン。
主人 魚の、ザリガニの心はよく分かるぞい。この川で生きていると糖尿病になってしまうからして・・・。実に賢い選択であるぞい。
三太郎 あっしなんか、水道の水は信用していないもんね。汲み置きの水しか飲まないもののねゴロゴロ。
五右衛門 俺はどんな水でも濾過する装置がついているものねワンワン。
主人 その点、人間は情けないな。水が違えば下痢をし、食物が違えば腹を壊すぞい。 三太郎 下痢をするとどの草を食えば治るか知ってるものねニャニヤン。
五右衛門 便秘になればどの草を食えばいいか知ってるものねワワン。
主人 おまえらは、誰に教わることもなく自然に体が知っているのだなや。その点、人 間という動物はなんにも知らんぞい。腹一杯に食いすぎて、運動不足で糖尿持ちに。理 性と自制がままならなくて、ストレス溜まって鬱病に。半端な知識が讐となり、胃を病 み腸病み心病み。知ったかぶりと我儘が、馬鹿と阿呆と恥知らず。無知とやり過ぎやら れ過ぎ、体が腐るエイズ持ち。早期発見百パーセント、じっと我慢のガン患者・・・
三太郎 人間も楽じゃあありやせんねニャン。
五右衛門 糞は大地を肥やすため、種を運んで草花咲かす・・・自然の理を忘れたのが原因ですょキャンヤン。
主人 嘆かわしいぞい、呆れるぞい。日本人の愚か者、僅か一億二千万人でこの地球の 資源を使い果して食い荒らしておるぞい。糖尿病になるのは自業自得と言うもんだぞい 。人の事はどうでもいい、隣に腹を空かした人がいようと、寒空に裸で震えていようが 、見様としない無関心。心に糖が回ってしまっているぞい。
三太郎・五右衛門(交互に)先進国病・繁栄病・豊かさのツケ病・つける薬と飲む薬・馬 鹿と阿呆に付ける薬はありません・哀れ誘う合併症・腎臓機能の低下・眼底出血・神経 障害・・・ニャニヤン・・・
三太郎と五右衛門が唄う。
吠えながら、泣きながら、戯れながら、踊りながら唄う。
犬も歩けば棒にあたると言うけれど
猫に小判と言うけれど
匂いを嗅ぎ分け月に吠え 鼠を追い駆け天井へ
匂いを尋ねて三千里 夜目遠目は猫の目だ
犬はくわねど高楊子 猫の耳に念仏
犬の面に小便 猫も木から落ちる
犬も煽てりゃ木に登る 猫掘れニャンニャン
犬も鳴かずば打たれまい 猫撫で声の猫可愛がり
犬神様に犬公望 猫の手も借りたい招き猫
犬侍が犬死にか 猫が西向きゃ尾は東
犬に雷火事親父 猫が死んだら三味線の革
犬が死んだら太鼓の革よ 猫の鳴かぬ日があっても
犬の鳴かぬ日はない 猫は炬燵で丸くなり
犬は喜び庭駆け回り 猫ババ猫舌猫要らず
犬に鰹節犬被り 猫背猫耳猫柳
犬も杓子も犬の額 猫と犬の中猫車
犬掻き犬子ろ犬張り子 猫畜生で恩知らず
主人 (二匹に)もういい加減にしてはどうかいな。何も訳の分からん事をほざいて人 間の真似をすることもあるまいぞい。
三太郎 なぁーに、チョツトした発声練習でやすょニャニャンノニャン。
五右衛門 そうさ、馬鹿にでもならなきゃ生きてはいけませんからねワン。
主人 それにしても、この川の汚れと匂いは非度いものだぞい。
三太郎 空き缶、ポリ缶、アルミ缶、洗濯水に風呂の水、家庭排水に屎尿水、燃えない 塵残飯、燃える塵、残飯落葉要らぬ物、何でも川に流しましょう。それでは川が可哀相でやすーニーャン。
五右衛門 合併漕に下水道、奨励完備を怠った、行政サイドの手落ちもあって、汚れに 任せてどぶ川になった流れが痛々しいワーンー。
主人 表面ばかりよそ装って、何がいまさら環境だぞい。
三太郎 顔に化粧をぬたくっていても、心の化粧を忘れていやすょニヤーン。
五右衛門 車をせつせと研いても、心を研くことを忘れていますワワーン。
主人 人間と言う奴は際限もなく馬鹿で阿呆であるらしいぞい。塵と真心の選別も出来 ないとは人間は粗大塵かも知れないぞい。
三太郎 最近は名を残しやすお人が少なくなりやしたニーヤン。
五右衛門 色々と好きな方が多くなりましたねワワワワーン。わのいろ賄賂、女の好き な助けべはピンク、やくざが好む黒のスーツ、戦争大好きカーキ色、ナースは清潔白の 色、灰色高官やべえ色、使い古した土留め色、腎臓病みの顔はどす黒の、皺に似合うは 赤色か、主人の一物黒光り、金髪銀髪目はブルー、白胡麻黒胡麻中は白色・・・ワン
主人 (五右衛門に)おまえは一体何が言いたいのだや。
五右衛門 ワンワンワンワワン。
主人 都合が悪くなると犬語で言いおって・・・。三太郎、通訳をいたせや。
三太郎 分からん、何を言ったか忘れた・・・と言ってやすニヤーン。
五右衛門 ワワワン。
主人 どうせ人間を小馬鹿にしたのであろうわいな。
三太郎 その通りでやすニャワン。
主人 昔の人間は中々味なことをしておったぞい。漁師が山の木を守り、山に神社を造っていたぞい。
三太郎 山の樹木が雨水を綺麗に変えて海に流すって奴でやすね。山土で汚れたの水で はプランクトン、も魚の寝床も荒らされるって事を知っていたて訳でやすねニャン。
主人 うむ、うむ。おまえもなかなか造詣が深いぞい。
五右衛門 この俺だって知っていますよ。琴平さんは海の神様、どうしてかと言います と「こんぴら」とは鰐と言う意味でしょう。だから・・・ワン・・・
主人 ワンワンニヤーンニヤーン。お前達はどうしてそんな事を知っているのぞい。
三太郎 新聞紙の上の染みから拾いやしたニャン。
五右衛門 道行く人の立ち話から覚えましたワンワン。
主人 そんなご仁がこの近所にいるのかいなや。だが、お前達は賢いぞい。木をいとも 容易く伐採することが、魚の漁獲量を減らしている事を知っているだけでもたいしたも んだぞい。環境問題を公害闘争をしている奴らに、爪の垢でも飲ませたいものぞい。
三太郎 そいつらには効きやせん。金と言う物しか目に映りませんでやすょニヤン。
五右衛門 女しか目にありませんワン。
主人 ニヤニヤンニャンニャンニャニャニヤン。ワワワワワンワンワンワンワ・・・
三太郎 旦那どういたしやしたニャーン。
五右衛門 春が旦那を狂わしたのですかワン。
主人 私はいっそ猫になりたい、犬になりたいぞい。
三太郎 猫になるより、マントヒヒに・・・ニヤン・・・
五右衛門 オランウータンに・・・ワワワンワンワン・・・
主人は卒倒した。FOして、
この年、国は公害対策基本法を公布した。が、企業の過失責任なく、曖昧なものだった。
富山県の奇病、イタイイタイ病を企業の廃水が原因と岡大教授が発表した。
四日市ぜんそく患者が石油コンビナート六社を相手に慰謝料請求訴訟を起こした。これはわが国初の大気汚染公害訴訟であった。
佐藤首相は非核三原則を言明したのはこの年の終わり十二月だった。
「核を製造しない、持たない、持ち込ませない」と言うものだった。
「春の華」はここで終わらせていただきます。ご愛読有難う御座いました。
しばらく置いて推敲いたし完成作を載させて頂きます。
2005/11/06 草稿脱稿
この小説は
海の華
の続編である
冬の華
の続編である
春の華
の続編である
夏の華
の続編である彷徨する省三の青春譚である。
ここに草稿として書き上げます。書き直し推敲は脱稿の後しばらく置いて行いますことをここに書き記します。
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