PERSONAL ENSIGN

松井秀喜にまつわるちょっといいお話し



ニューヨーク州に隣接するニュージャージー州の病院へ重病の日本人少年を見舞いに足を運んだ。

松井秀喜という野球選手だ。

4日に球団から

「時間があったら励ましてあげて欲しい」と打診され快諾。

「厳しい境地に立たされている人にとって少しでもエネルギーになれば」と引き受けた。

少年は日本から治療のため渡米した13歳の中学生。

難病の呼吸器疾患で、松井によると話すことも困難だったという。

そんな少年は大の松井ファンで病室は松井グッズで埋め尽くされていた。

足を踏み入れた松井は受け答えができない少年に優しく語りかけ互いの健闘を約束。

約15分間ほどの時間で、ありったけの激励をして写真撮影とサインに応じた。

夜の試合ではメジャー自己初の2打席連続本塁打など3安打、メジャー自己最多の6打点を記録。

「こういうことになるのなら『ホームランを打つよ』と言えば良かった。

『頑張るよ』しか言わなかったから。でも、喜んでくれたと思う。

家族の方が、今日の試合をテレビで見るとおっしゃっていたから、

結果を知って喜んでくれたと思う。それが嬉しい」

と闘病の力になれたことを喜んだ。



かつて、ヤンキースではベーブ・ルースが病気の少年と交わした約束通り、

本塁打を放った伝説的なエピソードがある。

まさに現代のルースとなった松井には有名野球選手としての使命感がある。

慈善活動の意義を問われると、

「それだけのパワー、エネルギーが(自分に)あると常に自覚していないといけないし、常に頭に入れておきたい。

同じ日本人がアメリカに来て病気と闘っているので、少しでもエネルギーになれば嬉しい」と繰り返した。

球場の自分のロッカーに少年の写真を貼って試合に臨んだ。

この夜、バットで果たした約束。

連続ホームランの後、

カーテンコールに応えたのではなく、少年の声援に応えたように見えたのは

僕だけだろうか?

人工呼吸器をつなぐ少年の胸の苦しさが少しでも和らげば、と思いつつ松井は球場を後にした。

日本が生んだ偉大なるスーパースターは、

その愛称とは違いとっても優しい紳士である。







なお、上記の文章はISMに加筆したものです

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