青い空と蒼い月

青い空と蒼い月

7話



「・・・。」

「・・・。」

ニコルとレオナルドは、しばらくその場に無言のまま立ちすくんでいた。

「なあ、レオ。」

「はい・・・。」

「お前は、何故、あいつが盗んでいないと分かったんだ?」

「それは・・・。あの人が・・・、真剣に謝っていたからです。」

レオナルドは、ニコルに申し訳なさそうに言葉を選びながら話した。

「そうか・・・。しかし、あいつは、幼い頃いつもあんな感じで俺を困らせていてな・・・。まあ、今は言うのはよそう。
俺もやり過ぎてしまったと後悔しているところだからな。レオに学んだ気がするよ。」

「そんな・・・。僕の方こそ、出しゃばったりしてすいませんでした。」

「いや、良いんだ。それより、もう少し歩こうか?今夜は星がよく見えるからな。」

そう言ってニコルは空を見上げた。レオナルドも見上げる。辺りの街灯の灯りで良くは見えないが、雲一つない

満天の星空だった。

「本当ですね。夜空なんて普段、見ないですから・・・。ニコルさん。もう少し、クラマさんを捜した後に、少し高
台に行きませんか?」

「そうだな。それなら、うちの建物の屋上に俺の部屋がある。そこで星空を見たら良い。」

「はい。ありがとうございます。」

二人は、その後も暫く夜道を歩き回った。その間、結局クラマらしい人には出会うことはなかった。

*          *          *

‘地下競技場’に戻り着いた二人は、勝手口から中に入り、通路を通って、‘事務所兼従業員室’のドアを開け
て中に入った。

「あ!ご両人の登場だわ!」

「お帰り。遅かったわね?」

「坊主。早速お手柄だったんだってな?たいしたヤツだぜ。」

二人が中に入っているなりの歓迎振りだった。レオナルドは、唖然として何がなんだか分からなかった。

「イルゥ!お前、あの時いたんだな?」

「へへ。悪いとは思ったけど、その坊主が気になったんで、付けてさせてもらったよ。何せ、爺さんが拾ってき
たヤツだからね。一応、どんなヤツか確認させてもらったのさ。へへ。」

「まったく・・・。お前というヤツは・・・。」

ニコルは、右腕に力を入れて、構えを取った。

「だ~!悪かったよ!これも、爺さんの言った事なんだから・・・。勘弁してくれよ。」

「そうか・・・。わかった。」

ニコルは納得して構えを解いた。
すると、レオナルドの前に1人の男がやってきた。

「私を捜していたそうだね。迷惑をかけて済まなかった・・・。」

「あなたは?」

「君が捜していたクラマだよ。宜しく。」

そう言って、クラマはレオナルドに握手を求めた。

「あ。あなたがクラマさんでしたか。レオナルドです。宜しくお願いします。」

握手をしながら、クラマを見た。背丈は175センチ程度で、服装は薄いグレーの動きやすい薄着の物を着てい
て、物静かそうな男だった。

「これで、全員揃ったというわけじゃなぁ?」

後ろから、聞き覚えのある声がした。

『爺さん』
『マルク爺さん』

ほとんど同時に、皆がマルクの登場に驚いた様子で声を上げた。

「ほっほっほ。ニコルや。悪気はなかったのだが、その子がどんな子なのか知りたかったんでなぁ、イルゥに頼
んで付けさせてもらったんだよ。その子は勘も良い、なかなか器量もある、それでいて礼儀も持ち合わせている。
にしちゃ身なりがちとお粗末じゃ・・・。イザベラんところで見かけた時に何かしら、理由があるとわしは踏んで、
ここへ連れて来たという訳なんじゃ。」

「なるほど、そうでしたか・・・。」

「・・・。」

「まあ、それはいずれ後々判るだろうて。それよりも今は全員が揃ったのじゃから、それぞれ自己紹介といこう
かのぉ?」

マルクは、端にいた者からレオナルドに自己紹介するように促した。

「さっきは悪かったな?いきなり変な質問をしたようでさ!改めて、アッシュ=コールだ。宜しく頼むぜ。」

「改めまして、宜しくね?リーナ=アイナリーゼンよ。」

「勝手口ではごめんなさい?スン=リンレイよ。宜しくね?」

「イルゥ。イルゥ=クライスだ。さっきは慣れない酒の匂い嗅がせちまってごめんな?今は反省してるよ。本当に
済まなかった。」

「クラマ。クラマ=ラウルという。改めて宜しく。レオナルド君。」

「そして、ニコル=アップショーだ。もう一番の友達になったみたいだな。はっはっは!」

「最後にわしか。マルク=ザンジベル。ここの支配人をしておる。まあ、改めて、これから宜しく頼むよ?レオ

ナルドや。」

「はい!僕は、レオナルド。レオナルド=アルバニアです。アルバニアは、一緒に住んでるミーヤおばさんの姓
です。僕は小さい頃、捨てられていた所をミーヤおばさんに拾われたので、アルバニアの姓を名乗っています。
正直、自分が何者なのか判りませんが、皆さん宜しくお願いします。」

レオナルドは、意を決して皆の前で自分の素性を話した。

「そっか、そういう訳があったのか・・・。でも、これからは俺らの仲間だ!言いたい事はどんどん言ってくれて
いいんだぜ?」

「そうそう!私達が力になるわよ?」

そう言って、皆が頷いた。

「ありがとうございます。僕、頑張ります!」

「そうだ。少しでも早く、一人前になって、みんなを見返す男になれ!な?」

ニコルが、レオナルドの背中をポンと叩いた。

「はい!」

今や、決意に満ちて晴れ晴れとした顔になっているレオナルドであった。

「よし。それでは、解散じゃ。」

マルクがそう言うと、皆、部屋を出て行くのであった。

「よし、俺と一緒に星空でも見るか?」

「そうですね?見ましょう。」

レオナルドとニコルは、約束した星空を見る為に、ニコルの部屋へと向かうのだった。

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