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築地4



2004.8
ケースワークとグループワークの歴史的発達過程の比較
ー援助技術の異文化導入に関わる「文化的障害」への視点
(modified version)

はじめに
 本論文では、まず、ケースワークの歴史的発達過程の考察として、「慈善組織協
会」(Charity Organization Society)誕生の社会的背景及びメアリー・リッチモン
ドによる「ケースワーク」の実践的基礎づけを概観し、さらに「医学モデル」から
「生活モデル」への転換の歴史をその理論的・実践的意味に即して論じる。その
上で、「エコロジカル・システム・アプローチ」の新たな潮流の展開へ向けた展望
を示す。次に、グループワークの歴史的発達過程を、グループワーク登場の背景及
び専門技術としての集団援助技術の展開という流れに沿って記述する。最後に、
援助技術の異文化導入に関わる「文化的障害」への視点というテーマを、事例と
しての「セルフヘルプグループ」の現代的意義を考察しながら論じる。
1.ケースワークの歴史的発達
(1)「慈善組織協会」(Charity Organization Society=COS)誕生の社会的背景
1834年イギリスでは、ワークハウスへの収容主義と劣等処遇の原則を基盤とし
た新救貧法が施行されたが、過酷な生活を強いることで見せしめとし、制度の利
用が恥であるというスティグマを植え付けることになった。援助を必要とする多
くの者は実際には救済から排除され、生活困難のまま放置された。資本主義の展
開過程において生じた深刻な社会問題、とりわけイギリス産業革命の進展により
生じた賃金労働者の窮乏問題に対応するため、19世紀なかばから宗教的実践とし
ての私的慈善活動が盛んに行われたが、19世紀後半にはかえって依存的な人々を
生み出すといった問題が批判を浴びることになり、活動は行き詰まった。
こうした批判に対応して、1869年ロンドンにおいて「慈善組織協会」(Charity
Organization Society=COS)が誕生した。これまでは慈善による「施し」であっ
たため、救済が偏り、援助を要する者に公平に行き渡らないといった事態が生じ
ていた。COSは、こうした問題に対応するために、無差別、無計画な施与に秩序
を与え、救済の合理化と組織化を図った。COSは貧困者を「救済に値する貧困者」
と「救済に値しない貧困者」に分け、道徳的に改善の見込みのある前者のみを救
済の対象とした。前者に対しては、友愛訪問員が家庭を訪問し、貧困の原因とさ
れた道徳的欠陥の発見に努め、友情に基づく適切な助言を与え、貧困者が貧困か
ら抜け出せるように援助した。   
COSのこうした活動は、貧困に陥るのは怠惰や飲酒癖など「個人の道徳的な欠
陥」(今日の用語でいえば、例えば「依存症」や「精神障害」全般が該当すると推
測される)によるという当時の考え方からまだ抜け出してはいなかった。しかし、
貧困者の調査や面接相談、家庭訪問という現在の社会福祉援助の原型となった点
で、社会福祉の近代化と職業化の歴史にとって極めて重要なものであった。
(2)メアリー・リッチモンドによる「ケースワーク」の実践的基礎づけ
 COSがアメリカに輸入されると、今日にいたるケースワーク発展の土台が築か
れることとなった。友愛訪問員と対象者との接触が増えるにしたがい、貧困が個
人の道徳的欠陥によるというそれまでの考え方に疑問が生じた。とくに、アメリ
カCOSの参加者・指導者であったメアリー・リッチモンドがケースワークの実
践的概念を創造・提案し、ケースワークを中心とした社会福祉は「ソーシャルワ
ーク」と名づけられ、実践的に体系化された専門技術としてアメリカから世界へ
と広がった。友愛訪問員も利用者からの報酬に対して責任を持って応える有給職
員になるなど、専門的職業としてのケースワークの構築へとつながっていく。リ
ッチモンドの「慈善(ケースワーク)とは、貧困家庭(クライエント)が持って
いる力を回復させることによって、貧困(生活問題)から抜け出せるように援助
することであり、ケースワークの最終目標は人格の発達(自立)におかれなけれ
ばならない」という理念は、現在、ソーシャルワークの重要な実践的原理へと発
展している。リッチモンドは1922年に『ソーシャル・ケースワークとは何か』
を著し、ケースワークを「人とその社会的環境との間の個別的な効果を意識して
行う調整によって、その人のパーソナリティーを発達させる諸過程からなる」と
定義した。社会関係のなかで、可能な限り個々の利用者・事例に合わせた援助を
実践していくものとしてのケースワークの基礎はここに確立した。
(3)「医学モデル」から「生活モデル」へ
ー「エコロジカル・システム・アプローチ」の新たな展開へ向けて 
1920年代から1940年代にかけてのケースワークの発展期において、フロイト
の精神分析の流れをくむ「診断派」とランクの意志心理学の流れをくむ「機能派」
が登場した。前者は、援助の利用者がどのような問題を抱えているのかを利用者
の生育過程の分析によって診断し、利用者を治療しようとした。この場合、ケース
ワークは、治療者としての援助者が治療対象(患者)としての利用者に働きかけ
るというスタイルを取る(「医学モデル」)。これに対して後者は、利用者を自ら援
助を求める主体として捉え、援助者の役割は利用者が安全で落ち着いた状態で援
助者や援助機関のサービス(機能)を利用できるように援助することであるとした。
1960年代までに診断派と機能派との統合が試みられた。1950年代から1960
年代初頭にかけては、黒人の公民権獲得をめぐる熾烈な社会的闘争や、第一次世界
大戦時以来の大規模な「戦争(外傷)神経症」患者を生み出したベトナム戦争とい
った深刻な社会問題がアメリカ社会を揺るがし始めた。このように社会的な問題
が複雑化する中で、統合期においては、地域のなかで孤立しながら例えば父親のア
ルコール依存と妻子への家庭内暴力、貧困、子どもの不登校などの多くの問題を
同時に抱え、援助者が容易には接近できない家族が「接近困難事例」として発見
された。こうした状況のもとで、ミルトン・エリクソン等による「家族を中心と
したケースワーク」など、さまざまな新たなアプローチが試みられた。
統合に先駆的な役割を果たした試みの一例として、パールマンの問題解決アプ
ローチは、個別援助を、援助者と利用者とがそれぞれの役割を演じる問題解決過
程としてとらえた。問題解決アプローチでは、4つのP、1.Person(利用者)、2.
Problem(問題)、3.Place(援助過程の具体的な場としての施設・機関)、4.
Process(援助過程)やワーカビリティー(利用者がサービスや援助を自分にとって
どれだけ役立てられるか)といった概念が重視される。
ケースワークの批判期と呼ばれる1970年代を経て、再編期の1980年代には、
ケースワークの機能の強化や、グループワーク、コミュニティーワークなどの方
法論や技能との統合がなされた。ケースワークの新しい機能として、さまざまな
社会資源を連携させ結びつけるネットワーク機能や、社会のなかで孤立し埋もれ
た人々の「声なき声」を発掘しそれら人々の権利を擁護するアドボカシー(代弁)
機能が重視されはじめた。
上述のように、これまでさまざまな「統合」の試みがなされたが、なかでも、ベ
ルタランフィなどの社会システム論やグレゴリー・ベイトソンの生態学的コミュ
ニケーション理論を基盤としたアプローチが、利用者を家族・近隣・地域といった
集団の一員として捉え利用者を援助する「エコロジカル・システム・アプローチ」
へと発展し実践されるようになった。「エコロジカル・システム・アプローチ」の
潮流により、ソーシャルワークは、かつての診断派に代表される「医学モデル」か
ら、状態=環境の中の人間という実践理念に立脚し、人と環境との関係や利用者
の生活実態に合わせた援助を目指す「生活モデル」へと変化することになった。
その特色は、(1)利用者の生活問題に援助の焦点をあてる、(2) 明確で検証可能な
「課題」を設定し、比較的短期間の介入で援助を終結させる、(3)さまざまな介入
の方法を利用者個々の生活実態に合わせて活用する、などである。
今後は、「エコロジカル・システム・アプローチ」の新たな展開へ向けて、マト
ゥラーナ・ヴァレラが創始したオートポイエーシス理論を基盤とした新たなシス
テム論の活用が期待される。援助者と利用者を取り巻く社会関係が極めて多様
化・複雑化するなかで、効果的な援助を実践するためには、さまざまな他者との
相互作用から絶えず学びとるためのシステマティックな訓練が一層不可欠となる。
2.グループワークの歴史的発達
(1)グループワーク登場の背景―「貧困(生活問題)」の社会的要因の発見
19世紀後半に慈善事業の近代化と社会化が本格的に始まった。それがCOSと
セツルメント活動、貧困調査活動である。COSが順調に活動を始めた頃、ロンド
ンのスラム街の教会に赴任した牧師が、地域の人々への友愛の精神の実践を出身
大学のオックスフォード大学の学生たちに訴えた。この友愛の精神は、学生たち
のリーダーとなったアーノルド・トインビーを通じて多くの学生たちへと受け継
がれ、後に、スラム街に住み込み、その地域の人々の友人となって社会福祉の実
践を行う「セツルメント活動」となった。こうした実践を続けるなかで、セツルメ
ント活動は、貧困を社会問題として分析する視点を確立させた。貧困は社会環境
の劣悪さ、とりわけ教育的環境の欠如により自立が損なわれているために生まれ
るとした。セツルメント活動は、こうした社会的要因を浮き彫りにして、社会改
良の必要性を社会に認識させようとした。
COSやセツルメントの活動が展開されるなかで、19世紀末から20世紀初頭に
かけて、ラウントリーらが初めて実証的な貧困調査活動を行った。イギリスヨー
ク市においてラウントリーが1899年に行った調査によれば、「怠惰である」とい
ったその当時道徳的欠陥と思われていた要因がなく、その収入がいかにつつまし
く使われても、賃金収入だけでは肉体的に必要なものすら充足できない世帯が総
人口の19.9%、労働階級人口の15.5%を占めることが明らかにされた。こうした
貧困調査活動は、不規則・不安定就労や低賃金などの雇用条件や劣悪な生活環境
といった、貧困の社会的要因の発見に寄与することになった。
このような活動のなかで、貧困についての考え方に変化が生じ、貧困問題の解
決には、国家による社会政策の一層の充実と、貧困者に対する科学的な援助技術
の方法が必要であることが認識された。したがって、COS、セツルメント活動お
よび貧困調査活動の意義は、国家による社会保障政策の必要性を認識させるとと
もに、専門的職業実践としてのグループワーク・ケースワーク・コミュニティー
ワークへの道筋をつけたことにある。
(2) 専門技術としての集団援助技術=グループワークの展開
以後の歴史の展開において、集団場面または集団関係を活用して社会福祉援助
を行う方法=専門技術としての集団援助技術(グループワーク)が確立していっ
た。それらさまざまな実践を統合し、当時の教育学や心理学等の知識を取り入れ
ながら1930年代のアメリカを舞台に発展したのが、「ソーシャルグループワー
ク」という実践的な知識と技術の体系である。シュワルツは、グループワーカー
はソーシャルワークの目的を果たすためにグループの状況を用いるという立場か
ら、社会と個人の相互依存性に着目して、ワーカーは社会と個人を媒介する機能
を果たすとした。シュワルツによれば、「相互作用モデル(the reciprocal model)」
とは、「メンバーたちが自分たちの目的を確立し、グループの多様性を体験できる
相互扶助システムがニーズを見定め明らかにしていくというグループプロセスを
強調するものであり、これらは広い分野に派生し、同時に社会的、教育的、臨床的
ゴールもしばしば含み得る」(注1)とされる。
 ソーシャルワーカーは、以上のようなさまざまな集団関係の可能性を、個別援
助の課題と結びつけて活用しようとする。とくに1950年代から盛んになった心理
療法的グループワークはこの側面を洗練して、その体系の中に取り入れている。
現在、各種障害者のための援助技術は、グループワークが主流となっている。また、
近年では、犯罪加害者と犯罪被害者との間を調停する「修復的(restorative)司法
プログラム」での応用や、少年院・少年刑務所などでのロールレタリングを活用し
たグループワーク等が効果的な試みとして注目されている。
なお、パペル(C.P.Pappell)とロスマン(B.Rothmon)が1988年にウィーン社会
福祉教育会議で発表した「相互作用モデル」は、「グループリーダーが指示的に
人々のあり方を操作することなく、集団の相互作用によって発達的に成員間のメ
インストリーミングがなされるよう、メンバーの発達を支え、それによってノー
マライゼーションに近づこうとする場合に用いられる方法」(注2)とされ、今日、
自立生活訓練や自助グループ活動などにおける身体障害児・者のノーマライゼー
ションを促進する技法や、精神障害者のためにグループホームを運営する技術と
して、地域ケアプログラムへの活用が期待されている。
3.援助技術の異文化導入に関わる「文化的障害」への視点―「セルフヘルプグ
ループ」の現代的意義
まず、我が国へのセツルメント活動の導入初期に絞って論じる。大正7年の米
騒動の発生時に、貧困者救済を目的として国や自治体が米の廉売を行った際、逆
に富裕階級に買い占められるという矛盾が発生した。こうした矛盾の解決を目指
す動きの中で、広く社会的連帯の意識が芽生え、1918年「方面委員制度」が生ま
れた。市民が参加する方面委員制度は、日本における自発的なソーシャルワーク
の出発点であり、戦後の社会福祉行政への協力機関としての民生委員へと継承さ
れることになった。その後大正期後半にはセツルメント活動が発生し、ボランテ
ィアという言葉も流入した。しかし、昭和に入り第二次世界大戦が始まると上述
のような思想と実践は戦後までその力を失った。
 戦後GHQによる民主化政策下のYMCA運動から、我が国におけるグループワ
ークの本格的導入が始まった。以後、1970年代以降の老人福祉・保健施設、保健
所や地域ケア施設におけるグループワークから、現在のさまざまなセルフヘルプ
グループ(NPO法人も多い)まで、活発な活動の展開が見られる。そこで、以下の
論述においては、「セルフヘルプグループ」を事例としたグループワークの異文化
導入に関わる文化的障害というテーマで問題提起を行いたい。
樫村によれば、現代では、各々の文化集団がそこに根をもつ生活世界が失われ、
集団自身の目的や安定した機能も失われつつある。集まっていることの意味も目
的ももたず、しかし一定のルールによって一緒にいる、または一緒になにかを行
うこと自体を楽しむような集団が構成される傾向がある。ここでは、生活世界が
消失している代わりに、ただ一緒にいる、またはそのつど一緒になにかを行うこ
とが人工的で代替的な生活世界の構成となっている。(注3)
こうした集団が、メンバーの匿名性やメンバーの発言に対する批判の排除とい
った一定のルールによって人工的で代替的な生活世界を構成する場合、それを「セ
ルフヘルプグループ」と呼ぶことができる。セルフヘルプグループのメンバーは、
成育過程のごく初期における他者関係(おもに養育者との関係)において外傷を
抱えていることが多い。グローバル化の潮流において、グループワークにとって極
めて現代的な課題となるのは、外傷的な感情のコントロールがなされうる場の構
築が、各々の文化間の障壁あるいは「文化的障害」をどのように超えられるのか、
ということである。
一例として、米国オハイオ州アクロンから始まり世界的に伝播したセルフヘル
プグループである「アルコホーリクス・アノニマス(AA:Alcoholics Anonymous)」
の受容を挙げることができる。ここには、AAにおける「自分で理解した神(ハイ
ヤー・パワー)」を、ユダヤ・キリスト教の文化的伝統を欠く文化集団(例えば「日
本社会」のメンバー)がどのように自分のものにしていくのか、というグローバ
ル化に固有な課題が存在する。この問題に関して、葛西賢太は、「「自分で理解し
た神」は、AAの諸文化の翻訳をもって移植されたのではなく、メンバー個人が
そのたびごとに獲得しわがものとすることが必要」であり、「個々のメンバー自身
が対話の努力を重ねて対話の力を鍛えるのが、セルフヘルプの長所と短所を踏ま
えた最善の道ということになろう」と述べている。(注4) 現代における「文化的
障害」は、以上のような問題設定において捉えられよう。
このような視点を踏まえて、最後に、グループワークの現代的な意義を論じてみ
たい。現代においては、感情がコントロールされるレベルが社会から個人へと移
動していく傾向があるため、人々は「自分の感情」についてかつてなく意識的で
操作的になる。そのため、人々は自分自身の問題解決の場を、人工的で代替的な
生活世界としての集団場面に求めることになる。そのような場でのグループワー
クにおいて、人は自分が思う通りには自分自身や他者を支配したりコントロール
できないということを学ぶことになる。多様で相互的な他者関係としてのグルー
プワークの現代的な意義は、そこにおいて他者の支配やコントロールへの欲望を
断念することを学び、他者に依存している自身のあり方を認識し受容することに
ある。(注5)

【注】
(注1) Catherine P.Pappell, Beulah Rothman 「メインストリームを目指すソーシャル・
グループワーク――その理論と実践技術」(解説・抄訳 小島蓉子)
「リハビリテーション研究」(財)日本障害者リハビリテーション協会 1990.(Nr.64.)
p.28-34.
(注2) 同上
(注3) 樫村愛子「代替生活世界的コミュニケーションの展開―若者たちに見るポ
ストモダン的共同性」(『つながりの中の癒し―セラピー文化の展開』専修大学
出版局 2002所収)を参照。
(注4) 葛西賢太「「自分で理解した神」を受け入れる Alcoholics Anonymousに
おける宗教的文化資源とアイデンティティ」(『グローバル化とアイデンティテ
ィ・クライシス』 宮永国子編著 明石書店 2002所収) p.175,179.
(注5)援助技術の異文化導入(グローバル化)にともなう「文化的障害」に関わ
る他の事例として、「遺伝子レベルの障害」に関わる問題が挙げられる。着床前受
精卵の遺伝子診断や母体血清マーカーの遺伝子検査は、ハンチントン舞踏病やレ
ッシュナイハン症候群などの根治不可能な遺伝性疾患(単一遺伝子病)を発症す
ることが予測される子どもの出生を予防することにとどまらず、多因子遺伝病と
される生活習慣病の遺伝素因を持つ子どもを選別(スクリーニング)することを
事実上の目的としている。ことに、母体血清マーカーの遺伝子検査は、不特定多
数を対象とするマススクリーニング方式に適合する。このことは、仮にマススク
リーニングを実施しなかったとしても、検査に健康保険を適用するなら、国家政
策レベルで実施されることになり、国民全体を遺伝的リスクの確率分布に従って
スクリーニングしてしまうことを意味する。厚生労働省の「第4次保健事業計画」
と「健康日本21計画」に見られるように、生活習慣病が慢性疾患化する高齢社
会に対応して、近年の社会福祉政策は、国民全体を対象とした要介護状態への移
行の予防を目標にするようになってきた。こうした現状において、個人、カップ
ルの選択=自己決定による遺伝性疾患の診断、治療、予防という、WHO主導で
グローバル化した理念の実践が、遺伝子解析に基づき認定されたリスクグループ
の選別につながっていくのではないかという問題が浮上してくる。それとともに、
我が国においてはまだ全く未整備な「遺伝カウンセリング」を始めとする援助手
法の導入が、将来的に深刻な「文化的障害」に遭遇する可能性があるといえる。
なお、「母体血清マーカー検査」についての事例を踏まえた問題点の指摘を、
1998/10/23厚生省(当時)厚生科学審議会「先端医療技術評価部会出生前診断専
門委員会議事録」の28頁から30頁にかけて長谷川委員が行っている。

【主要参考文献】
『社会福祉実践の新潮流―エコロジカル・システム・アプローチ』 
平山尚他著 ミネルヴァ書房
『ソーシャル・ケースワーク論 社会福祉実践の基礎』 大塚達雄他編著 
ミネルヴァ書房 2000年
『グループワーク論』大塚達雄他編著 ミネルヴァ書房 1997年
『ケースワークと介護』丹野真紀子著 一橋出版 1998年
『リッチモンド ソーシャルケースワーク』小松源助他著 有斐閣 1979年
『ケースワークと介護』丹野真紀子著 一橋出版 1998年
『ソーシャル・ケースワークー問題解決の過程』H.H.パールマン著
全国社会福祉協議会 1967年
『課題中心ケースワーク』W.ライド/Lエプスタイン著 誠信書房 1979年
『介護支援専門員基本テキスト』第2巻(長寿社会開発センター)
『はじめて学ぶグループワーク』野村武夫著 ミネルヴァ書房 1999年
『グループワークの歴史』ケニス・リード 勁草書房 1999年
『精神の生態学(改訂第二版)』グレゴリー・ベイトソン 新思索社 2000年
『一般システム論』 ベルタランフィ著 みすず書房 1973年
『オートポイエーシスー第三世代システム』河本英夫著 青土社1995年
「「自分で理解した神」を受け入れる Alcoholics Anonymousにおける宗教的文
化資源とアイデンティティ」葛西賢太 
『グローバル化とアイデンティティ・クライシス』 宮永国子編著 
明石書店 2002 所収
「代替生活世界的コミュニケーションの展開―若者たちに見るポストモダン的共
同性」樫村愛子
『つながりの中の癒し―セラピー文化の展開』専修大学出版局 2002 所収
「制度とサービスをつなぐ医療ソーシャルワーカー」平山尚 アエラ(No未詳) 
朝日新聞社
「米国における社会福祉の現状とわが国の方向性」平山尚・石川和穂 「治療」
Vol.84,No.9.
「新しいソーシャルワークの考え方―Evidence based practice(EBP)」平山尚
(講演草稿)
「児童虐待 福祉専門職の責任重大」平山尚 「視点 オピニオン21」
上毛新聞 2001.2.23
「ソーシャルワーカー 幸せづくりを手助け」同上2001.1.1
William J.Reid & Anne E.Fortune.The Task-Centered Model In A.Roberts
and G.Greene,Social Workers'Desk Reference,Oxford U.Press.2002,101-104.
Alex Gitterman.The Life Model In A.Roberts and G.Greene,Social
Workers'Desk Reference,Oxford U.Press.2002, 105-108.
Bruce A.Thyer.Principles of Evidence-Based Practice and Treatment
Development. In A.Roberts and G.Greene,Social Workers'Desk
Reference,Oxford U.Press.2002, 739-742..
Aaron Rosen & Enola K.Procter.The Role of Replicable and Appropriate
Interventions,Outcomes,and Practice Guidelines. In A.Roberts and
G.Greene,Social Workers'Desk Reference,Oxford U.Press.2002, 743-747.
Catherine P.Pappell, Beulah Rothman 「メインストリームを目指すソーシャル・グルー
プワーク――その理論と実践技術」(解説・抄訳 小島蓉子)「リハビリテーション研究」(財)
日本障害者リハビリテーション協会 1990.(Nr.64.) p.28-34.
「福祉実践における危機介入」新保祐元 『精神医学』Vol.46.No.6.2004.
「社会的なものの概念と生命―福祉国家と優生学―」市野川容孝
『思想』 2000年.No.908. 岩波書店
『精神療法』vol.29-6,30-2, 2004年. 金剛出版
「出生前診断・選択的中絶と障害受容・治療拒否」玉野井真理子
『臨床心理学』Jan 2004 vol.4 No.1 金剛出版
『ジュリスト』2003.6.15.No.1247. 有斐閣 特集「医学研究の進歩と法」
厚生労働省ホームページ資料
http://www.mhlw.go.jp/cgi-bin/ezsearch.cgi/contents/jtopic/colls/mhlwj
1997/07/10 第1回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録
1998/01/29 第5回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録
1998/10/23 厚生省(当時)厚生科学審議会先端医療技術評価部会出生前診断専
門委員会議事録
1999/02/04 厚生省(当時)厚生科学審議会先端医療技術評価部会生殖補助医療
技術に関する専門委員会議事録
2000/12/05 同上
*以下は「遺伝子レベルの障害」のテーマに関する主な単著のみ挙げる。
『死は共鳴する』 小松美彦著 勁草書房1996年
『脳死・臓器移植の本当の話』 小松美彦著 PHP新書 2004年
『ルポルタージュ 出生前診断』 坂井律子著 NHK出版 1999年
『遺伝管理社会』 米本昌平著 弘文堂 1991年
『出生前診断』 佐藤孝道著 有斐閣 1999年
『思考のフロンティア 身体/生命』 市野川容孝著 岩波書店2000年
『優生学と人間社会』 米本昌平・市野川容孝・松原洋子他著 講談社 2000年
『母体保護法とわたしたちー中絶・多胎減数・不妊手術をめぐる制度と社会―』
齋藤有紀子編著 明石書店2002年
『生殖医療と生命倫理』 吉川裕之・金岡祐一・吉岡修他著
財団法人日本学術協力財団 1999年
『人体部品ビジネス』 粟谷剛著 講談社 1999年
『遺伝子で診断する』中村祐輔著 PHP新書1996年
『生命倫理とは何か』市野川容孝編 平凡社 2002年
『生活習慣病を防ぐ』香川靖雄著 岩波書店 2000年
『操作される生命 科学的言説の政治学』林真理著 NTT出版 2002年
『ヒトゲノムと遺伝子治療』本橋登著 丸善 2002年
『人の体はどこまで再生できるか』小野繁著 講談社1999年
『生殖医療のすべて』堤治著 丸善1999年
『生命操作事典』 生命操作事典編集委員会編 緑風出版 1998年


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