こんなお客さんがいた


こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

野菜を持ったおばあちゃん

 袋いっぱいにジャガイモや大根を持ったおばあちゃん。畑から掘って来たのでしょうか。荷物が重いために運賃を支払った後もすばやく降りることが出来ません。運行時間にも影響が出るほどの遅さだったので、私は運転席を立ってその荷物を持って外へ降ろしてあげました。おばあちゃんは 「いやいや、ありがとさん」 とお礼を言っていました。その光景を見ていた他のお客さんが、終点で降りた時にみかんを1つくれました。硬くて手ではむけないみかんだったと記憶しています。何とも微笑ましいこと。

夕張バス
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

足が悪いおばあちゃん

 杖をついて必死にバスに乗り込むおばあちゃん。乗るだけで1分くらいかかるんです。顔なじみのおばあちゃんなので 「今日も街中までお買い物なのかな」 って思っていたところ、な、なんと! その日は100mほど先に見えている次のバス停で降りられました。お年寄りや体の不自由な方は少しの距離でも歩くのが大変なんだと実感した瞬間でした。降りるのもやはり1分くらいかかりました。おばあちゃんは、いつも必ず 「すいません、すいません」 って謝るんです。謝らなくていいんだよ、おばあちゃん。

山形交通バス
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

運賃を払いたくないおばさん

 あるバス停で降りたおばさん。運賃箱へお金を入れたはいいが、230円のところ180円しか入れない。そのお客さんは 「これしかないからいいや」 といいながら私の顔を見て勝手に降りてしまった。これは許しがたいことなので呼び止めた。そしたら渋々ポケットから小銭を取り出し支払った。ドアを閉めて走り出すと近くに座っていたお客さんが 「あきれた人だね」 と感想をもらしていた。よく子供がバス停で降りる時に、迎えのお母さんが来てなくてお金を支払えない場合があるけど、その場合は 「今度乗った時に今日の分を支払ってね」 と言ったもんだが、勝手に運賃を決めてしまうおばさんは許せない。

富士急バス
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
異臭が漂うおじさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

異臭が漂うおじさん

 バス停から汚らしいおじさんが乗り込んで来た。しかも運転席の後ろに座った!その直後から 「うん○」 の臭いが漂い始めた。周りのお客さんの表情が変わるのも確認。「早く降りないかな~」 って思っていたところ、途中のバス停で降りた。何で臭いのかと見てみたら、買い物袋を持っていた。その袋には黒い物が。人間のものだったのだろうか。それとも猫や犬のものだったのだろうか。いずれにしても車内へ持ち込むなんて非常識極まりない。そのおじさんが降りた後は、みんなほっとしていたが、臭いはしばらく残っていた。「お○ら」 くらいなら仕方ないかもしれないが 「うん○(糞)」 は勘弁して下さい。

会津バス
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

必ずごみを置いていく会社員

 駅から毎日同じ時間のバスに乗る会社員。コンビニで買ったおにぎりを車内で食べるんです。しかも必ずごみを置いていく。時間のないときは座席の掃除ができないんだから人の迷惑考えろ!次に乗る人の邪魔になるでしょう。ごみのある席に快く座れますか。お年寄りならあまり気にしないかもしれませんが、通勤時間帯だから、学生や社会人の方が乗ってくるんですよ。いい大人が何を考えているんだろう。それから、ジュースが残っているのに缶を置いていく人。缶が倒れたらどうなりますか。あなたの車ではないんですよ。

石見交通
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

両替から戻らないおばさん

 始発から乗って終点で降りたおばさん。壱万円札しか持っていなかった。車内では両替できないので 「駅の売店でも行ってくずして来て下さい」 と言って待つことにした。しかし、なかなか帰って来ない。姿も見えなくなり、これは逃げられたかなと思っていた。しかし、もう回送して車庫へ帰るだけだったので辛抱強く待った。すると10分程して戻って来た。お客さんは笑いながら 「クリーニングがあったからついでに出してそこでくずして来ました」 だって! その一言だけ言って謝りもせず行ってしまいました。無神経極まりない!

豊橋鉄道
























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
変なチンピラ?
待ちくたびれたお客さん

変なチンピラ?

 始発の駅を発車してすぐの出来事でした。ひとりの男性客が 「学校!学校!」 とおたけびをあげた。 走行中にも関わらず立ちあがって運転席へ詰め寄ってきた。
 私は 「お客さん、危ないですからお座り下さい!」 と言った。しかし、言うことを聞いてくれない。かなり興奮している様子。運転に集中できないので黙っていたら、また 「おい学校だよ。学校!」と繰り返す。 学校で降りたいということはわかったのだが、どこの学校かわからない。しばらく考えながら走っていたら絡んできた。「こら運転手! 学校って言ってるだろ! 聞いてるのか。 お前みたいな運転手を辞めさせることは簡単だぞ!」 と脅してきた。
 その頃、車内が静まり返っていた。みんなチンピラだと思ったようだ。私は仕方なく走りながらだが対応した。「学校ってどこの学校ですか。○○小学校のことでしょうか?」 そしたら、男性は 「学校っていたら学校だよ。学校がいくつもあるのか!」 と怒ってきた。
そうしているうちに警察署前のバス停でお客さんが降りた。怖くなったのか用事があったのかはわからないけれど。
 さらにバスを走らせ再び男性に聞いてみた。すると、今度は 「自動車学校だ」 と言った。それで私はわかった。自動車学校前のバス停で停まったところ、男性は1000円札を手にして 「これどうやって両替するんだ?」 っと穏やかな口調で尋ねてきた。そして、車内のお客さんに 「どうもみなさんご迷惑をおかけしました!」 と言って降りて行った。
 その後の車内は開放感にあふれた。約7分の監禁状態だった。その間、バスジャックのマニュアルを思い出しながら実行するべきかどうか考えていた。しかし、男性は危害を加えず運賃を支払い降りたので終点まで問題なく走った。
終点では警察から連絡があったことを知らされた。警察署前で降りたお客さんが通報したようだ。刑事課の係りの方へ電話して事情を説明した。会社へ帰って上司にも説明したが、会社の人間はそれほど心配していなかった。
 いろいろなお客さんがいるものだ。あの人は何物だったんだろう。酔っ払いはよくいるがそういった感じではなかった。薬物中毒だろうか。運転士に絡むのはやめて欲しい。とにかく運転に集中できないのは危ない。


























こんなお客さんがいた
野菜を持ったおばあちゃん 足が悪いおばあちゃん 運賃を払いたくないおばさん
必ずごみを置いていく会社員 両替から戻らないおばさん
待ちくたびれたお客さん

待ちくたびれたお客さん

 路線バスの運転士は、安全運転に努めながらも、各バス停へ定時に到着できるよう心掛けています。道が混雑するとしばしば遅れが生じるのですが、お客さんはそんなことは関係ありません。待たせられたらいらいらされます。これは人間なら仕方のないことですが、さすがにひどい文句を言われると、いくら穏やかな性格の運転士でも腹を立てたりします。
 街中を走る路線では、年末のお歳暮の時期になると、買い物客の車で混雑します。通常は43分で走る区間を1時間半かかったことがありました。すると、次の運行に間に合わず、どんどん遅れていきます。休憩も取ることができず走り続け、ある始発駅にバスを着けたとき 「これはやばいな~」 と思いました。お客さんのいらいらする姿が見えたんです。それはそうです。冬の北風が吹く寒い中を待っているのですから。20分遅れくらいだったでしょうか。扉を開けてお客さんが乗って来たとたん、おじさんが 「何やってたんだ! この寒い中何分待たせるんだよ」 と怒鳴ってきました。自分はいい訳をする事もなく謝りました。誰もが混雑の道路状況を把握している中でしたが、頭にくれば怒りたくもなります。しかし、あるおばさんは 「運転士さんに怒ったって仕方ないじゃんね~」 と言ってくれました。この言葉は少しだけ自分の気分を和らげてくれたような気がします。文句を言ってきたおじさんは、バス停を降りてもこちらをにらんでいました。
 こんなとき、会社へ戻って仮に苦情の電話が来ていたとしても、運行管理者には笑われるだけで済みます。「どうだ、お客さん怒ってただろう(笑)」。混雑する時期はどの運転士も同じ目に遭っているのです。このようなことは落ち着いた気持ちで対処していればいいのです。運転士がいらいらしてもどうにもできません。ただし、円滑な運転ができない運転士は、このような時に差が出ます。プロの技術の見せ所です。


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