Pay It Forward  < alfa146ti >

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その1 


おまけに外国語なんて英語さえろくに話せない。
トレーニングもアルバイトで忙しくほとんどゼロ。 タバコを吸っている始末である。
「こんな状態で出発して大丈夫だろうか」ほとんどの人はそう思うだろう。 しかし、「ノープロブレム」なのである。
なぜなら.僕は生まれつき「ラッキー・ボーイ」という必殺技を持っているからである。
それにどうせやるなら気楽に考えた方楽しい。
登坂があれば、下り坂があるのだ。 「ピンチはチャンス」という格言もある。(実は自作)

というわけで大きな期待と少々の不安を心に6月5日、ロサンゼルスのボイルハイツのアパートを出発。
破裂した車のタイヤがちらばる路肩を、馴れない大量荷物にフラフラしながら走り出す。

日本ではサイクリストやモーターサイクリスト同志がお互いすれ違う時に手を振ったり、サインを出し合ったりするので
アメリカも同じだろうと手を振ってみる。 すかさず「ニコッ」と笑ってサインを返してくれる。 言葉に出来ないような気持ちよさだ。

 6月9日、走り出して5日目、とうとう灼熱の岩石砂漠突入。 おまけに長い峠越えで途中から押して歩くはめになる。
約6KM、2時間歩いて頂上にたどり着く。 休もうと思うが、当然のごとく陰はない。
「ええい、どうせ下りや行ってしまえ」と下り出したのが間違い。
ドライヤーのような熱風が吹き上げてくる。 下りなのにペダルをこがなければならない。
喉はカラカラ、ハンドルを握っていることさえだるくなってくる。
「次の村まで20数キロメートル。陽が沈むまでテントを張って休もう」そう決断した瞬間、ジープが止まり
「次の村まで行くから乗れよ」と言ってくれる。
ラッキー!何度も礼を言い、ふと温度計に目をやると45℃。 走っている車の中でだから外はそれ以上だったかも知れない。
明日のために今日は十分休もうとモーテルに泊まる。(15ドル)

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 6月15日、キャンプしていると2人のアメリカ人サイクリストがやってきた。彼らもキャンプするようなので声をかける。
彼らの名前はヘンリーとダンといい、二つ年上の23歳で6週間の大陸横断ツアー(西海岸→東海岸)だという。
ここから先、しばらくコースが同じということなので、走るのはペースの問題で別々としてキャンプは一緒にしていくことにする。
面白くなりそうだ。

 6月16日、グランドキャニオン。 さすがに規模は大きいが、思ったほど感動しなかった。
ここを見るためにオレゴン経由コースを諦めたのに少々残念だ。 友人へ数枚絵ハガキを書きヘンリーらと合流。 
明日の打ち合わせをして寝る。

 6月17日、抜きつ抜かれつ打ち合わせの村に到着。着いたはいいがキャンプ場がない。
次の村まではかなりあるので三人で野宿することにする。 いっしょにラーメンなど夕食を作り、
経済や社会、生活、自分自身のことなど辞書をはさんで語り合う。
「僕の目的は、走ることではなく、まず人に会うことから始まるんだ」というと
「ちょうど今のようにだね」とヘンリーは答えてくれた。

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