青き天体研究所

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第二話  平和が崩れる日



「なんのだ?」

セインの家を覗いていたうちの一人が、ファイルを開いた。

「これは・・・。保護する人のプロフィールのようね。」

「そうか・・・。内容、言っていってくれないか。」

「分かった。じゃあ愛情をこめて・・・。」

「こめなくて良い。」

そういわれると不満そうな顔をして、

「も~。ま、らしいんだけどね。

『ファイルナンバー001 リュウセイ=ダテ  17歳

 父親:警察官だったもののある事件より殉職。

 母親:原因不明の病にかかり現在入院中。

 性格:熱血直情型で無鉄砲。・・・・』

『ファイルナンバー002 ブルックリン=ラックフィールド  17歳

 両親:不明。15年前より孤児院へ、5年ほど前から自立。

 性格:義理人情に厚い。真面目で正義感が強い。・・・・』

『ファイルナンバー003 クスハ=ミズハ  16歳

 両親:インスペクター戦線で衛生兵として参加。しかし巻き込まれて死亡。

 性格:心優しく大人しい。・・・・』っと。」

双眼鏡で覗き終わった後、コーヒーを一口含む。

今度のコーヒーは無糖だったらしく顔色変えずに飲み干す。

「・・・あとの二人に関しては。」

尋ねられたほうは首を横に振り、

「それが何もきていないのよ。まるで保護しないで良いって感じで。」

「・・・おかしいな。一応調べておいてくれ。」

「了解♪」

そう言って端末から検索しだした。



5分後・・・



「何とか名前は見つけたわ・・・。

『セイン=ブルースウェア  16歳

 フィリアス=ブルースウェア  16歳』これ以上のことは・・・。」

「どうした?」

急に話を止めたので尋ねる。

すると意外な言葉が返ってきた。

「どうやら、SSS(スリーエス)級のプロテクトがかかっているみたいで・・・」

「SSS級だと!?国家機密レベルじゃないか!」

プロテクトのレベルはDからSSSまであり、一般的に個人情報はAくらいである。

SSSになると政府、又は本人以外の解除はほぼ不可能なくらいのレベルであるのだが・・・

「しかも全員マグネイト=テンの学生・・・。何か裏があるような気がするわ」

マグネイト=テンとは幼稚園から大学院まであるマンモス校であり、ほとんどの学生にとって憧れのような学校である。

入学金なども公立より安く、エスカレーター式である。

学生寮もあり、何処の金持ちが建てたのか分からないある意味有名な場所でもある。

確かに、言われたとおり何か裏があるような感じであった。

「・・・俺はこのまま追跡を続けるが、お前はタウゼンフォスラーで待っててくれ。やな予感がする。」

「分かった・・・。気をつけてね、キョウスケ。」

そう言われた彼はは無言のまま首を縦に振り、彼らを追いかけていってしまった。





学校への通学路・・・友達と会って話をしたり、試験前なのか単語帳をめくって覚えていたりしている。若干を除けば・・・。

「「うおぉぉぉぉぉ!!!」」

100m走並みのスピードで学校へと向かう二人の影。

砂埃がたっており、目では誰が走っているのか分からない・・・

「今日こそ俺が勝つ!ブリット!!!」

「お前に勝ちを譲るわけにはいかない!リュウセイ!!!」

と、半径10m位まで聞こえてくる声の大きさでほとんどの人が分かってしまう。

ちなみに学校からセイン宅まで約20kmある。

それをフルスピードで走っている彼らは最早オリンピックで金メダルが取れるだろう。

ちなみに他の三人は・・・

「相変わらずだなぁ。あいつ等は(汗)」

「元気なことはいいことですよ♪」

「元気すぎるのもどうかと・・・(汗)」

と、自転車をこぎながら進んでいた。(クスハはフィスの自転車に二人乗りしている)



残り10mでもスピードを落とさない二人。

彼らの中で『スピードを落とす=負けを認める』という変な方程式が成り立っているため、落そうとはしない。

後、4・・・3・・・2mだが次の瞬間!

つるん♪ 「「!!」」 ドン! ゴロゴロゴロ ド~ン!!!

効果音では分からないのだが、バナナの皮を踏んで滑って転んでしまった。というところだ。

「何故・・・こんなところに・・・」

「バナナの・・・皮が・・・」

そう言って二人は気絶した。

「あ~あ。これで156戦中156分けですね。」

「ずっと引き分けてるのもある意味奇跡だな・・・。」

いつの間にか着いたセイン達は気絶した二人を運んでいった。

こうしてこの学校の一日が始まるのであった。



時は過ぎていき・・・




「腹減った~!」

「ちょうど昼休みですし屋上でいただきましょうか、セイ兄待っていますし。」

「そうですね、行こうか。ブリット君、リュウセイ君。」

二人とも「ああ」と答えて、屋上へと向かった。



屋上にはセインが大量のパンを持って、空を見上げていた。

「風が・・・気持ちいい・・・。もうすぐか・・・」

そうつぶやきながら少し考え事をしていると、

「セイ兄!みんなを連れてきましたよ。」

聞き覚えがある声が聞こえたのでそちらのほうへと振り向き、

「来たか。購買部のパン、すべて買い占めといたぞ!」

「買い占めるなよ!まぁうれしいけど・・・」

ここの購買部のパンは、すべてが手作りでプロ級のうまさなのだ。

ただし手作りなので個数が少ないという欠点がある。

「まさか、初等部と中等部のも・・・」

「もち!!人生はそう上手くいかないということを教えるためにな。」

セインの行動に集まったみんなは呆れてしまうが、せっかく買ってきてもらったパンを食べる。

「うまい!」「美味しい」など絶賛する声も出てくる。

なんとも学生らしい時間・・・。しかし、


ゴゴゴゴゴゴ・・・・・ドン!


急に襲われた振動に全員騒ぎ出す。

「な、何なんだ一体!?」

「始まったか・・・」

と、小さくつぶやくセイン。

そのことに気付かないリュウセイたちはフェンスの向こうを見た。

するとフェンスをから覗いていた彼らはみるみる顔色が変わっていった。

そこに見えたのは、数機の機体が町を壊していく姿であった。

「な・・・なんで・・・、なんで連合のパーソナルトルーパーが町を壊してんだよ!!」

リュウセイの叫び声は、空高く響いていった。

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