青き天体研究所

青き天体研究所

第十五話  謎の少女



「一意専心、狙いは一つ!ソニックジャベリン!!」

参式のドリルブーストナックルで直線上にいたガーリオンを一撃で薙ぎ払い、それを援護するかのように虎龍王のソニックジャベリンで参式の周りに敵を突き抜いた。

「エクセレン。タイミングを合わせろ。」

「あら?久々のラブラブアタック?じゃ派手に行きますか!!」

ヴァイスリッターの援護を受け、アルトアイゼンは一体一体確実に打ち抜いていく。

「今だ、エクセレンッ!!」

「ほい来た!Eモード、全開で発射ぁ♪」

キョウスケの指示を受け、エクセレンは敵の中枢部に向かってフルエネルギーのオクスタンランチャーEモードを撃つ。

それを追うようにアルトアイゼンのクレイモアから無数の弾丸が放たれる。

AIをつけていたガーリオンはそれに対応できず、すべて撃墜された。

「何とか終わりましたね。」

「ああ、何だかテスラ研を出てから機体の調子が良い様だ。」

「話はそこまでだ。全機クロガネに帰還しろ。帰還し次第、我々はブラジルへ向かう。」

「「「「「了解ッ!!」」」」」

テツヤから通信が入り各機体はクロガネに収容されていった。

テスラ=ライヒ研究所を出発して丸三日が経過していた。

その間、テスラ=ライヒ研究所を出るのを待ちわびていたかのように連合軍との戦闘が行われていたのである。

量産型ヒュッケバインMk-2やゲシュペンストと戦闘してきたにもかかわらず、彼らは今までの苦戦をもろともしないのであった。

「それにしてもまさにテスラ研様様だよね。」

「確かに・・・。最近機体の反応が早くなったため戦闘が楽にはなったな。」

セインが言うには全機体に気体の反応が良くなるようにとサーボモーターが付けられているようだ。

これにより善戦を繰り返してきているのである。

「そう言えば今回もセインは戦闘に参加していなかったよね。」

「何でも気分が悪いんだとよ。全く、少しは体に気を使えってんだ。」

「セイ兄・・・。どうしたんでしょうか。」

最近の戦闘にはセインは参加しておらず、部屋で何かをしている様であった。

「・・・・・・・・・。」

キョウスケは顎に手を当てながら何かを考え始めた。

「どうしたの?何か考え事でも?」

「・・・いや。」

エクセレンはキョウスケの様子に気付き尋ねるが、何事も無かったかのように何処かへ行こうとする。






10分後。何事も無くクロガネはブラジルに辿り着いた。

ブラジルに立ち寄った理由は幾つかあった。

まず武器以外の補給を済ますこと、そして・・・・。

「キョウスケ~♪一緒に泳がない?」

「今任務中だろ。何やっているんだ?」

「何って海水浴だけど?」

「・・・・・・・。」

そう、パイロット達の休暇を取るためである。

どうやらこの提案を出したのはレーツェルらしく、

「テスラ研で休んだものの制限され窮屈したものとなってしまった。ならここは一つ一週間ほど休むため何処かによった方がいい。」

との事であった。

その意見はクロガネのパイロットはもちろん、クルー全体にも賛成され仕方が無くブラジルで休憩することになったのだ。

エクセレン達はその特権を生かして海水浴をしているのである。

ちなみにいるメンバーはと言うとエクセレン、クスハ、フィス、ブリット、マサキの五人である。(ブリットに関しては倒れているようであったが)

「・・・エクセレン。俺達は連邦から見ればお尋ね者だぞ!こんな事していて見つかったら・・・。」

「大丈夫だってキョウスケ。いくら連邦でも追われているのに海水浴している敵がいるなんて思わないわよ。」

キョウスケは溜め息をつき、頭をかき始めた。

エクセレンの後ろではクスハ達がビーチバレーをしている。(未だに目覚めぬブリットがいるのだが)

「たく・・・。少しだけだからな。」

「やったね♪一人参加しました~。」

エクセレンの言い方が何と無く気に食わなかったもののキョウスケはエクセレン達の方へ向かった。








「これとこれとこれとこれを頂こうか。」

「お、結構な買いっぷりだねぇ。おまけにこれをサービスしとくよ。」

「有難う御座います。友よ、次行くぞ。」

「・・・・・・・。」

レーツェル、ゼンガーは買出しに出かけていた。

他にもいて良い筈なのだが、ほとんどのパイロットは逃げおおせてしまった為この2人だけになってしまった。

「それにしても大丈夫なのか?その量を一人で・・・。」

「これも修行の一環だと思えば何とも無い。」

レーツェルが心配するのも無理は無かった。

ゼンガーは今までレーツェルが買ったものを全て持っているのである。

その重さといったら約15~20キロ以上!それもかさばる物なのだから不安定なのである。

「それよりレーツェル。本当に彼を行かせて大丈夫だったのか。」

ゼンガーは何かを思い出したかのように尋ねる。

「彼なら大丈夫だろう。それにあいつもいるんだからな。」

「確かにお前の○がいれば安心だが、お前は・・・・。」

「大丈夫だ・・・。今なら分かってくれるだろう。」

そう言ってゼンガーを連れて再び買出しを始めた。








セインは鎮痛剤を山ほど買ったあと、フラフラとしていた。

やる事も別に無く、かと言って戦艦にずっといても気が滅入るだけであったからである。

ちなみに服装は変わりなく、長袖のコートに薄手の手袋、更にタートルネックのシャツを着ているため場違いな姿となっている。

「止めてください!」

「うるせぇ!さっさと金出しな!!」


「ん?あそこの路地からだ。」

セインは興味本位からその声の場所へと向かっていった。



「いい加減にしてください。私は何もしていませんよ!」

「何もしていないだと?ふざけるな!!こっちは肩があったて怪我したんだよ!!」

三流といってもいいほどの演技に圧倒され、女性の方はオロオロしていた。

「止めてください!さもないと・・・。」

「さもないと。どうするんだ?」

男達は段々近寄っていき、女性の手を掴もうとする。

女性の方は左手を後ろの回し、何かを掴み前へ出そうとした。

「止めろ・・・。その人が嫌がっているだろ。」

「誰だ?テメェは!!」

男達は声のして方に振り向くと、そこにはこの国と場違いな格好をした男―セイン―が立っていたのである。

女性は何かに気付き手に持っていた物をすぐに隠した。

「俺は今不機嫌なんだ。3秒やるからとっとと失せな!」

「生意気な・・・。やっちまえ!!」

そう言って男達はセインに飛び掛ってきた。

「たくド三流が!自分の実力をわきまえろ!!」

セインはまず近くにいる男の腹部を強打しその男を気絶させた。

驚いている隙を逃さずに顔面に向かってハイキックを繰り出した。

そのキックは男に直撃し、その衝撃で女性の方まで吹っ飛んでいった。

女性は何とか飛んできた男を避けて、その姿をただ呆然と見ていた。

「大丈夫でしたか?」

セインはその女性に近づき手を差し伸べる。

「ありがとうございます。私の名前はイリス。あなたは・・・。」

「俺か?俺はセイン=ブルースウェア。セインで良いぞ。」

イリスは差し伸べられた手を掴み起き上がる。

「セイン?もしかして反地球連合軍ディパインクルセイダーズの。」

「ああ、そうだが。」

セインの肩がピクリと動いたのだが気にしていない様子であった。

「よかった~。私参加しようと思っていたんですよ。これでやっと参加できます。」

「・・・・・・・」

「という訳でよろしくお願いします♪」

「・・・・・あ、ああ。」

セインは何か考えているようであったがイリスはお構い無しであった。







「「「「セイン。誰それ?」」」」

ホテルに集まったキョウスケ達はすぐにイリスのことを突っ込んだ。

「初めまして。イリスと言います。よろしくお願いします♪」

「・・・・・・どうやらDCに参加したいようだ。一応連れてきたんだが・・・。」

セインが話が終わる前に、エクセレン達はイリスを囲んで質問タイムを始めた。

レーツェル、ゼンガー、キョウスケはその様子をただ見ているだけであった。

「どうしたんですか、セイ兄?怖い顔をして・・・。」

「・・・ああ、何でも無い。」

そう言ってセインは寝室へと向かっていった。









深夜12時頃、ほとんどの人が疲れて寝静まっていた。

その時、セイン近くにフードを被った人が現れた。

ナイフを取り出し、セインの心臓付近に振り下ろそうとした次の瞬間―

「・・・・・・!」

何かを思い出したかのように寸前でナイフを止める。

「・・・この場で殺したら仲間にばれてしまう。しばらく様子を見るか。」

そう言ってフードを被った人は何処かへと行ってしまった。

(なるほど・・・。そういうことか。)

セインが狸寝入りしていたのも知らずに・・・。


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