青き天体研究所

青き天体研究所

最終話  戦いの果てに


収容されたクロガネ、そしてクロガネが収容した各機体の修理が一斉に行われた。
そんな中、SRXチームとスクールメンバー、そしてリューネ以外はテツヤに呼ばれブリッジへと集合した。

「嘘・・・嘘ですよね?セイ兄とリュウセイ君がMIAなんて。」
「残念だが真実だ。R-1の破壊は確認されてはいるが、スレイヤーは存在そのものが消えている。残念ながらそう考えるとしか・・・」

テツヤによって話された事が信じられないかのようにその場で崩れ落ちるフィス。
それらを聞いていた他の人達もその一言にショックを受けていた。
特にR-1、つまりリュウセイの死亡確定の事が・・・・

「クソッ!俺がもっとしっかりしていれば!!もっと強ければ!!」
あんな事、もう二度と起こさないと誓ったのに・・・ 畜生が!!」
「自分を責めるのは止めろ、ブリット。それにマサキもだ。」
「何平常心で居られるんだよ!テメェ等にはw・・・」
「平常心だと思っているのか?お前は・・・」

そう言われてマサキはハッと気付く。
マサキやブリットを止めるゼンガーの手がかすかに震えているのを。
その事に気付き、マサキとブリットは俯く。

「・・・・済みません。」「悪ぃ・・・・」
「まぁ気持ちは分かるしね。こんな悲しい事、八つ当たりしてられなきゃやっていられないわ。特に民間人なんだから。」
「そうだな・・・。」

その様子を遠くで見ているキョウスケとエクセレン。
何かしようにも何も浮かばない為、見ていることしか出来ない。
その話題によって周りの空気が何時もより暗くなっていた。
誰かが欠けるだけでここまで雰囲気が変わってしまう。
それを痛感するしか出来なかった。
そんな時レーツェルが今後の行動についての話を切り出した。

「さてこんな時に言うのも酷かも知れないが、恐らく副指令。セインが居なくなったと言う事でこのディバインクルセイダーズは解体と言う事になるだろう。」
「兄さん、今そんな話は・・・」
「今だから言う時なのだよ、ライ。・・・そこでだ、今後君達は如何するのか。それについて聞きたいのだが・・・」
「そんな事決まっている。私はセインを探すだけだ。」

レーツェルが話している間にイリスが割り込んできた。
その答えに驚きを隠せないが、そんな事など気にもしないで話し続ける。

「私の記憶を取り戻すと言ったんだ。簡単に死んでいる訳無いだろう。」
「イリスさん・・・。私も付いて行っても良いですか?」
「別に構わない。・・・では行くぞ。」

そう言ってイリスは部屋の戸を開け、外へ出ようとする。

「行くってもうですか!?」
「善は急げと言うしな。ではまた・・・」
「・・・そうですね。では失礼します。」

イリスに続くようにフィスは外へ出て行ってしまった。
その行動力にその場に居た全員が唖然としてしまった。

「・・・俺はシュウ探しに入ろうと思う。アイツ、結局何していかもわからねぇしな。」
「そうか・・・。ブリットとクスハは如何なんだ?」
「えっ?私達は・・・」

いきなり振られた為焦りを隠せない。
しかしすぐに呼吸を整え、その答えに返事をする。

「一度、私達が住んでいた街に戻ろうと思います。私達がした事が正しかった事なのか、整理したいから・・・」
「だな。レーツェルさん達は?」
「我々は軍人だからな。恐らく現状維持なのかもしれないな。」
「軍人って、私達反乱軍では・・・・」

クスハはすぐにレーツェルに尋ねる。
するとレーツェルは笑みを浮かべながら答えた。

「どうやら何者かが我々を連合軍の独立部隊として改ざんしたらしい。それで、な。」
「犯人は何となく分かるんだけどね。ま、私達は何とかなるって事かな?」
「そう言う事だ。」
「そうなんですか。」

その犯人の行動にすこし苦笑するしか無かった。
だがすぐに表情は変え、皆の方を向いた。

「お願いがあります。龍虎王の事なんですけど・・・・」
「分かっている。我々なりに管理しておく。だから心配するしないでくれ。」
「・・・・・・有難う御座います。」
「ではしばし待ちたまえ。すぐにタウゼンフォスラーを用意するのでな。」

そう言ってレーツェルはすぐに連絡を取り、タウゼンフォスラーの準備を命令した。
他でもない友を送る為に・・・・








同時刻、薄暗い通路を女性が一人歩いていた。
手にはパン等の食べ物が置いてあり、まるで何処かへ運んでいるようである。
そしてとある部屋の一角で足が止まった。

(一応伝えた方が良いわね。酷な事かも知れないけど・・・)

女性はそのような事を少し考えた後、部屋の中へと入っていった。
部屋の中は先程通った通路より暗く、目が慣れなければ何処に何があるのかすら分からない状態であった。
しかし女性はまるでそんな事など気にしていないかのように持っていた食べ物を置き、その暗闇の部屋の中に話しかけた。

「起きてる?起きてるなら返事をして。」
「・・・・・・・何?私はもう嫌だよ、あんな事をするのは。」

その暗闇から幼げな声が聞こえてきた。
その声からして女の子なのだろうが、何分部屋の中が暗い為姿まで確認する事が出来ない。

「そうじゃないわ。聞いていると思うけど、先程四大天使達と人間・・・セイン=ブルースウェア達との戦争があったわ。それについての報告をと思ってね。」
「えっ?如何なったの?」

中に居る声は女性のある一言に反応し尋ねる。
尋ねられた女性は簡単に今までの事を説明し始めた。

「結果としては四大天使が全滅したわ。つまり人間側が勝ったって事ね。ただしこちらもサイコドライバーのサンプルを手に入れたんだけど。」
「・・・・・・・・」
「後私達の天敵、セイン=ブルースウェアは行方不明って事になっているわ。まぁ恐らく死んでいr」
「死んでいないよ。」

女性が言ってる事を否定するかの様にその話の間に入った。

「だって分かるんだもん。お・・・さんが生きているって!」
「そう・・・。ならそうなんでしょうね。あなたが言うんですから。」

その自信に満ちた声は何故かは知らないが説得力すら感じさせる。
理由が無いにも係わら無いのに・・・・・・。

「・・・・何で私の言葉を信じるの?天敵なんでしょ?」
「天敵、ねぇ。そんな事関係無いのよ。私にはあの方との約束が果たせれば良いのだから。その為には彼には生きていて欲しいのよ。」

そう言って女性は部屋の戸を閉めて、再び薄暗い廊下を歩いて行った。










【生命活動に何ら支障は見られぬ。恐らく眠っているだけだろう。】
「そう、良かったわ。まだ完全には喜べないけど・・・」

そう言って白衣を着た女性は胸を撫で下ろした。
周りには見た事も無い機器類が光りを発光しながら何か動いていた。
その中央に何者かが寝ている。
女性はその寝ている人物に頬に触れ、笑みを浮かべる。
そんなときであった。

「どうやら無事のようでしたね。やれやれ、助けた甲斐がありましたよ。」
「・・・・・・貴方には礼を言わなきゃならないわね、シュウ=シラカワ。」

その声の主、シュウは不敵な笑みを浮かべつつ女性の近くへと近寄ってきた。
近寄ってくるシュウに対して女性は警戒を怠らない。

「別に何もしませんよ。ただ聞きたい事があるだけですから・・・。」
「その前に聞きたいわね。何故この子を助けたの?」
「人助けするのは当然の事かと。」
「貴方がそう言う人間では無いと思ったけど?」
「酷い言われようですね。本当の事を言いますと彼はまだ死ぬべきでは無い。そう思っただけですよ。」

そう言ってシュウは寝ている人物の顔を見下ろすように眺めた。
一応生きている事に対して安堵したのか、溜め息を付く。
そして女性の方を振り向いた。

「他にも理由はありますが、まぁ良いでしょう。さて次は私の番ですね。」
「・・・・・・納得いかない部分もあるけどまぁ良いわ。で聞きたいことって何?」
「決まっていますよ、FATESの事です。」

シュウのその一言を聞き、眉をひそめる女性。
その様子など動じずにシュウは話を続けた。

「一応彼の話も聞きましたが納得いかない部分がありましてね。それについて聞きたいんですよ。」
「まぁあの子も分かっていないからね。正体を・・・。まぁ良いわ、教えてあげる。」
「それは助かります。では話して貰いましょうか。時間はまだありますしね。」
「それほど無いわよ。彼らの本格的な行動の開始は後半年後なのだから・・・。」

そう言って女性は話し始めた。
全ては半年後・・・・その言葉が異様にその場で響いてきた。

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