青き天体研究所

青き天体研究所

外伝-1



セイン、リュウセイ、ブリット、フィスは町を歩いていると、セインのコートの裾を引っ張る少年がいた。

少年はセインの顔を見るとにっこりと笑ってこう言った。

「お姉ちゃん・・・・・。」

少年の放った一言で話題は大きくなっていく。

「セイン。やっぱりお前女だったんだ。」

「誰が女だゴルァ!!俺は男だ!!!」

「そうだよな、年中そのコートと薄手の手袋しているもんな。」

「ブリット、それは関係ないだろ!自分が暑くないんだからいいだろう!!」

「セイ兄、何で言ってくれなかったの!?」

「フィス、お前は双子の兄妹だろ!!何混乱してるんだ!!!」

彼らは突然の事に混乱し、騒ぎ出すがセインの突っ込みで何とか収まっていく。

「何してんの、お姉ちゃん。家に帰ろうよ♪」

少年は裾を引っ張りながら何処かへ向かおうとする。

セインはコートの中からマグナムを取り出して少年の頭に突きつける。

「おい小僧・・・。今すぐ死にたいか?」

「ちょ、ちょっと待て!?何出してんだよお前は!!」

セインにとって禁断ワードである『女』と呼ばれることである為結構キレているのである。

「離せ!こんな馬鹿にはお仕置きが必要なんだよ!!」

「だからっていきなり『あの世』は無いだろ!」

「だぁ~!!離せ、離せって言っているだろう!!!」

リュウセイとブリットで何とか抑えているが今にも殺さんという勢いで暴れている。

「ねぇ君、何でそんなこと言ったんです。教えてくれませんか?」

フィスがなるべく驚かせないように少年に尋ねる。

「だってこの写真とそっくりなんだもん。」

少年はそう言って写真を渡した。

そこに映っていた姿は女物の服を着ているがセインにそっくりであった。

この写真を見て全員を驚く。

「本当にセインにそっくりですね。・・・・本当にセインじゃないですよね?」

「当たり前だろう!こんな女装趣味は無い!!!」

今だ暴れているセインをなだめながら再び少年に尋ねる。

「この写真は何時撮ったものなの?」

「僕が生まれる前だから20年前くらいだと思う。」

その言葉によりセインではないとのことが分かりホッとするフィスとブリット。

だが、リュウセイはというと・・・・。

「本当にセインじゃないのか?例えばセインが年齢を詐欺ってるとか・・・・。」

リュウセイの後ろでセインがメリケンサック(死語)をつけて殴ったのは言うまでも無い。








「あのな、俺は男だし16歳なの。だからお前のお姉さんじゃないの。分かった?」

少年を連れてカフェ『死ぬ前に一度・・・・。』という店に入ってお茶をする一同。

セインは少年に向かってそのことを言い聞かせる。

「だって似ていたんだもん・・・・。」

少年うつむいたままセインの話を聞いた。

それに付き合っているリュウセイとブリットは少年のほうを向き話を聞いている。

「お待たせしました。チョコジャンボデラックスパフェにミックスピザ、ビバ☆スパゲティに40経口マグナムにアイスティーです。」

メイドの格好をしたウェイトレスが頼んだものをテーブルに置いていく。

「・・・・とりあえず俺がおごるからこれ食って話せよ。」

そう言ってセインはチョコジャンボデラックスパフェを少年の前に差し出す。

リュウセイ達は自分達の頼んだものを食べ始め、少年も一口食べる。

「うめぇな。このビバ☆スパゲティ。」

「ミックスピザはもう少しサクサクしてた方が美味いがな。」

リュウセイとブリットは頼んだものの感想を述べ、フィスはアイスティーを口に含む。

「どうだ?いう気になったか、少年。」

セインが40経口マグナムを整備しながら尋ねる。

少年の口がゆっくりと動き出す。

「・・・・僕の名前はリック。お姉ちゃんに会いたかったんだ・・・・。」

少年がしゃべり始めたので食べるのを止め聞き始める。

「お母さんが殺されて行く当てが無くなったからお姉ちゃんに会いたかったんだ。」

「殺された・・・・?どう言う・・・。」

リュウセイが話そうとした瞬間、セインがテーブルを蹴り上げて盾にした。

いきなり弾丸が飛んできて、店中が大惨事となる。

「早く隠れろ!!死にたいのか!?」

セインがそう叫ぶと全員盾となったテーブルの中に入って縮こまっていた。

セインは手に持っていた40経口マグナムを撃ち応戦する。

「ち、これを持ってろ!!」

そう言ってリュウセイにそのマグナムを渡し、コートからグレネ-ドランチャーを取り出し撃ち始める。

大きな爆発音が響き、数秒後静かになっていった・・・。

「ふぅ。終わったみたいだな。」

どうやらテロリストは撤退したらしく今ここの店にいるのはセイン達でだけであった。

「なぁセイン。そのグレネードランチャー何処から・・・・。」

「企業秘密だ。」

そう言ってセインは辺りを見回した。

突然の襲撃だったのでほとんどの人が重傷、もしくは死亡しておりまさに血の海という表現であった。

「ひどいな・・・・。クスハを連れてこないでよかったかもな。」

ブリットの言うとおり彼女がいたら失神してしまうだろう。

フィスはしばらくの間口を押さえていたが、すぐに病院に連絡をし救急車を呼ぶ。

セインは警察が来る前に襲撃犯だと思われる死体から一枚のカードを拾ってポケットにしまう。

「とりあえず出来る限りの治療を。包帯の変わりにそこら辺にあるテーブルクロスを使って患部を抑えるんだ。早く!!」

セインの命令でリュウセイ、ブリット、フィスは何とか生きている人たちの治療を行った。

セインが何処から出したのか分からない救急箱を使いながら応急措置を行ったため、救急車が来る頃にはほとんどの人の応急措置を終えている状態であった。

「とりあえず後は救急車と警察に任せて・・・・・。リックどういう事だ。明らかに奴らはお前を狙っていたぞ。」

そのことを聞きフィス達はリックのほうへと向く。

リックはうつむいたまま口を開く。

「実は・・・・・・。!」

突然のことだった。

リックの体を凶弾が貫き、リックは倒れてしまった。

「リック!大丈夫か!?」

リュウセイが駆け寄るが、急所に当たっておりもう助からないことは明白であった。

「はぁはぁ・・・・・おそらく・・・・・・奴らは・・・僕に遺した・・・遺産が・・・・目的です・・・。」

「しゃべるな!今すぐ医者に見せれば!!」

リュウセイがリックを抱き、止ってる救急車の方へ行こうとする。

「もう・・・僕は・・・・・手遅れですよ・・・・。最後に・・・お姉・・・にそっ・・・な人・・・逢えて・・・かった・・・・・・・・。」

そうしてリックは息を引き取った。

・・・しょう。 ちくしょう!!」

冷たくなっていくリックの体を抱きながらリュウセイは叫んだ。

ブリットは壁を殴り、フィスは泣いていた。

セインはというと、こっそりと拾ったカードを見ていた。

黒く焦げていたが、何とか読める文字があった。

―イカゼ社―という文字が・・・・。








カイゼ社。

日用雑貨から自動車までを幅広く扱っており、この会社無くては生産が追いつかないほどの大企業である。

しかし良くない噂が多く金に目がくらんで殺人まで行うと言われているほどであった。

そのカイゼ社がこの惨劇を起こしリックを殺したのである。

「しかし分からないな。何故カイゼ社がリックを狙ったんだ?」

ブリットの疑問にセインが答える。

「リックはとある資産家の子供だったんだ。その資産家が死ぬ際に遺産をリックとその母親に残した物を狙ったんだろ。」

そう言っていつの間にか調べた書類を全員に渡す。

確かにセインの言ったとおり、リックは資産家の息子でその資産家はカイゼ社に融資を行っていたのだ。

「理不尽な・・・・。リックは関係ないだろう!」

「酷いですね。リックは遺産を継承してないから殺さなくても良いのに・・・・。」

ブリットが再び壁を殴る。その衝撃で壁が崩れた。

「さてと行きますか。」

「何処にですか?」

セインが何処かに行こうとしたのでフィスが尋ねる。

「俺を怒らせたらどうなるか・・・・教えてやらないとな!!」

セインの表情は明らかに怒りをあらわにしていた。





「どうだ?うまくやったか。」

「はい・・・。目撃者は何人かいましたが一応証拠は残さないようにしときました。」

ここはカイゼ社の社長室。男達がリックの殺害の件についた話していた。

「それにしてもまさか奴が遺産を家族に残すとは思わなかったな。」

「確かに・・・。奴は家族のことより仕事のことで一生懸命でしたから。」

「だが、家族は全員殺した。これで奴の遺産は・・・・・!」

そう言いかけたその時、会社中に警報がなった。

「! 何事だ!?」

「侵入者です!正面から堂々と入り一階を制圧していきます!!数は三人!!!」

「たかが三人に制圧されただと!?早く奴らを殺せ!!」

社長はそう叫び、特殊部隊を派遣した。



襲撃した三人とはセイン、リュウセイ、ブリットであった。

フィスにはタウゼンフォスラーで機体を持ってきてもらうように頼み、残りの彼らで襲撃を行ったのである。

彼らの手にはそれぞれサブマシンガンが二丁、マガジンが計20本持っており有無を言わさず攻撃していた。

「本当に大丈夫なのか!?これだけで。」

「武器ならまだ有る!心配するな!!」

そう言ってセインは二階に突入し攻撃を仕掛けたのである。

そこには人ではなくアンドロイドだけがおりセインたちを見つけて瞬間、攻撃を開始した。

だがセインは蝶が舞う様な動きをしながらサブマシンガンを連射し撃退する。

「どけどけ!破壊神のお通りだ!!!」

その姿はまさに破壊神のようであった。



「既に九階まで突破されました。ここまで後一階です!!」

「特殊部隊は何やってる!?」

「全滅です。侵入者は的確な射撃によって急所を捉えておりほとんどの人が死亡しています!」

「クソ!何が目的で・・・・!?」

社長は少し焦りを覚えていた。

「十階を突破!来ます!!」

そういった瞬間、ドアが蹴り飛ばされてセイン達が侵入して来た。

「見つけたぜ・・・・。カイゼ社社長、ブラッド!!!」

「その長い青い髪、その姿・・・・。まさか!『青い髪の堕天使』か!?」

「『青い髪の堕天使』。何だそれは?」

セインのことをそう言ったのでリュウセイは尋ねる。

「俺の二つ名だ。俺的には『青い髪の破壊神』のほうが良かったんだがな。」

「お前、影で何やってたんだよ・・・・。」

ブリットの突っ込みを無視しセインはブラッドの元へと近づいた。

「さてと、覚悟してもらう・・・・。」

セインは関節を鳴らしながらブラッドの首元を掴んだ。

「な、何を。私はお前達には何も・・・・!!」

「自分の胸に手ぇ当てて考えろ!!!」

セインが重い一撃をブラッドに向かって振るった。

その衝撃によりブラッドの体が吹っ飛び机にぶつかる。

「く。このままでは終わらんぞ!!」

ブラッドはそう言ってスイッチを押す。

すると会社が揺れ始めて立つのがやっとの状態になる。

「ハハハ、そのまま踏み潰されるんだな!青い髪の堕天使!!!」

そう言ってブラッドと側近は何処かに行ってしまった。

揺れは更に増していき、このままだと崩れるのは必死だった。

「どうするんだ、セイン!?」

「飛び降りる!!」

「「ハァ!!!」」

そう言うとセインは窓ガラスに何発か銃弾を撃ちガラスを割る。

そして窓に向かって走り出す。

リュウセイ達も不思議に思いながらも後をついて行く。

「フィス!頼むぞ!!」

そう言ってセイン達は飛び降りた。

その言葉に応じてか、タウゼンフォスラーが現れセイン達を回収した。

「大丈夫ですか?皆さん。」

「寿命が一年程縮んだけど大丈夫・・・・・。」

リュウセイの言葉を聞き苦笑するフィス。

そんなこんなしている内にカイゼ社が崩壊し、中から巨大ロボットが出てきたのである。

『青い髪の堕天使!このアールカイザーで潰してくれる!!!!』

「なんて安直はネーミング・・・・。」

「最低ですね。」

「か、かっこいい。」

それぞれ感想を述べていく中、リュウセイのみそのロボットに惚れこんでいた。

「デカいだけで決まると思うなよ!!」

タウゼンフォスラーからスレイヤーが飛び出してきてアールカイザーに斬りかかる。

いきなりの不意打ちに対処できなく右腕を破壊されるアールカイザー。

『ふ、不意打ちとは卑怯だぞ!!』

「うるせぇ。暗殺も卑怯だと思うぜ!!己の欲に目がくらみ他人を殺す・・・。人それを外道と言う。」

『黙れ!世の中は金がすべて。金が無くては何もで金ではないか!?』

「世の中金が全てではない!その悪に汚れた心、浄化してやる!!」

そう言ってスレイヤーは天高く飛びアールカイザーに向かって突っ込んでいく。

「スー○ーイナ○マ○ック!!!!!」

(((パクリだ~!!!)))

そう叫ぶとアールカイザーの中枢部を破壊し撃墜する。

「成敗!!!!!!!!!!」

(((またパクった~!!!)))

アールカイザーが燃え行く中、セインは一言呟く。

「天国で仲良くな・・・・。リック・・・・・。」









この事件をきっかけにカイゼ社は崩壊。

そしてこのことは政府によって永久に封印されたのである。

そのことについて不満を持っていた彼らだが後にそのことを考えられなくなってしまう。

これから起こる人類の運命をかけた戦いに巻き込まれるために・・

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