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教育基本法関連-2
★★
「教育基本法」今国会成立へ、野党きょう審議復帰
「教育基本法」今国会成立へ、野党きょう審議復帰
安倍内閣が最重要課題と位置づける教育基本法改正案は今国会での成立が確実な
情勢となった。
与野党の国会対策委員長らが21日、断続的に協議した結果、国会審議を拒否し
ていた野党が22日から審議に復帰することで合意した。
同改正案は参院教育基本法特別委員会で22日審議に入る。防衛庁の省昇格関連
法案は月内にも衆院を通過する公算だ。
与党は両法案を12月15日までの会期内に成立させたい意向だが、小幅の会期
延長も検討する構えだ。
21日の与野党国対委員長会談では、安倍首相が出席する衆院教育基本法特別委
員会を近く開き、野党の質問だけで3時間の審議を行うことで合意した。これを受
け、野党は国会審議への復帰を確約した。国会は7日ぶりに正常化する。
(読売新聞) - 11月22日3時5分更新
★★
高橋哲哉さんに聞いた番外編
「教育基本法改定についての意見陳述 名古屋地方公聴会より)
(マガジン9条 この人に聞きたい 11月22日)
今週は、教育基本法案審議が衆議院で山場をむかえています。
各地で公聴会が開かれ、市民によるデモ、国会前集会など反対運動も続けられてい
ます。高橋哲哉さんは、まさに今、法案可決を阻止するために、日々活動中です。
ということで、今週予定の(その3)は、来週に延期し、今週は公聴会での意見陳
述をされた、高橋哲哉さんの意見を紹介いたします。
<たかはし てつや>
東京大学大学院総合文化研究科教授。
20世紀西欧哲学を研究、哲学者として政治、社会、歴史の諸問題を論究している。
憲法、教育基本法、靖国問題、戦後補償問題などで市民運動にもコミット。
NPO「前夜」共同代表として雑誌『前夜』を創刊。
著書に『デリダ 脱構築』『戦後責任論』(講談社)、
『教育と国家』(講談社現代新書)、『靖国問題』(ちくま新書)など多数。
********** 高橋哲哉さんに聞いた番外編 **********
「教育基本法改定についての意見陳述 (名古屋地方公聴会より)」
私は政府提出の教育基本法案に反対する立場から、私見を述べさせていただきます。
安倍晋三首相は、今臨時国会の最大の課題にこの教育基本法改正を掲げておりますが、
今なぜ現行法を改正しなければならないのか、その理由は今もって不明です。教育に
関する基本法の改正であれば、本来、児童・生徒、教職員、保護者など教育現場の当事
者たちから求められ、その必要に応じて行なわれるのが筋ですが、今回はそうではあり
ません。最近発表された東京大学基礎学力研究センターの調査でも、全国の公立小中学
校の校長の66%が教育基本法改正に反対という結果が出ています。今回の教育基本法
改正は教育的理由からではなく、政治的意図から出ている点に大きな問題があります。
安倍首相は、「戦後体制(レジーム)からの脱却」という政権課題の柱の一つとして
教育基本法改正を掲げ、「占領時代の残滓を払拭することが必要です。占領時代につく
られた教育基本法、憲法をつくりかえていくこと、それは精神的にも占領を終わらせる
ことになる」(『自由新報』05年1月4・11日号)などと主張しています。しかし、
教育基本法があたかも占領軍の押し付けによって生まれたかのようなこの議論は、根拠
のない偏見にすぎません。
私はここで、教育基本法の生みの親に当たる政治哲学者、南原繁が1955年
に書いた「日本における教育改革」(『南原繁著作集・第8巻』)という文章を、安倍
首相のみならず、政府案に賛成するすべての皆さんにぜひ読んでいただきたいと思います。
南原繁は、東京帝国大学の最後の総長、新制東京大学の初代の総長であり、当時貴
族院議員を兼務し、「教育刷新委員会」委員長として教育基本法案作定の中心人物であ
りました。南原はこの文章で、教育基本法が「アメリカの強要によってつくられたもの
であるという臆説」が流布されており、「一部の人たちの間には、日本が独立した今日、
われわれの手によって自主的に再改革をなすべきであるという意見となって現われてい
る」が、これは「著しく真実を誤ったか、あるいは強いて偽った論議といわなければな
らない」と断じています。南原によれば、教育刷新委員会の六年間、「一回も総司令部
から指令や強制を受けたことはなかった」のであり、教育基本法もこの委員会で当時の
日本の指導的知識人たちが徹底した議論を行なってつくりあげられたものなのです。
安倍首相の、「教育基本法は占領時代の残滓だからつくりかえねばならない」という
主張は、すでに50年前、南原によって、「著しく真実を誤ったか、あるいは強いて偽
った論議」として斥けられたものにほかなりません。
南原によれば、教育基本法の根本理念は、「われわれが国民たる前に、ひとりびとり
が人間としての自律」(ママ)にあります。教育の目的が「人格の完成」に置かれてい
るのは、「国家の権力といえどももはや侵すことのできない自由の主体としての人間人
格の尊厳」が中心にあるからです。これは、安倍首相が「教育の目的」を「品格ある
国家をつくることだ」と言って、「国家のための教育」を打ち出しているのと反対です。
ここから南原は、国家を頂点とする教育行政権力の役割を教育条件の整備に限定し、
「不当な支配」を禁止した現行法第10条の意義を強調します。「戦前長い間、小学校
から大学に至るまで、文部省の完全な統制下にあり、中央集権主義と官僚的統制は、わ
が国教育行政の二大特色であった」。したがって、教育をそこから解放して自由清新の
雰囲気をつくり出すためには、「まず文部省が、これまでのごとき教育方針や内容につ
いて指示する代わりに、教育者の自主的精神を尊重し、むしろ教育者の自由を守り、さ
らに教育のため広汎な財政上あるいは技術上の援助奉仕に当たるという性格転換を行な
ったことは、特記されなければならない」。
ところが政府法案では、現行法第10条の教育行政の役割限定の部分が削除され、さ
らに教育が「国民全体に対し直接責任を負って行なわれるべきものである」という部分
も削除されて、教育は「国」と「地方公共団体」の「教育行政」が、「この法律及び他
の法律の定めるところにより」行なうべきものとなっています(第16条)。
第17条の「教育振興基本計画」と相まって、教育の主体をこの国の主権者である「国民」
から「国家」へと変えてしまう改正案です。政府法案では、教育の主体と教育の目的も
国家になる。国家による国家のための教育、国家の道具としての教育をつくりだそうと
する法案だと言わざるをえません。
法案の第2条「教育の目標」に「愛国心」が入ったのも、この枠組みの中にあります。
安倍首相は一貫して教育基本法に「愛国心」を入れたいと言ってきましたが、その安
倍氏が「国が危機に瀕したときに命を捧げるという人がいなければ、この国は成り立っ
ていかない」(2004年11月27日)と述べていることは何を意味するのでしょうか。
戦後の日本政府が教育と愛国心を初めて結びつけたのは、1953年の池田勇人・
ロバートソン会談のときでした。朝鮮戦争後の日本の再武装に当たって、日本国民の間
に「防衛のための自主的精神」を育てるために、「教育と広報」によって「愛国心」を
養う必要があるとされたのでした。今回も、六年の任期中に憲法9条を変えて「自衛軍」
を保持し、集団的自衛権の行使を認めていこうという安倍首相の下で、教育基本法に
「愛国心」が入れられようとしているのは偶然ではありません。安倍首相の認識は、
「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。(教育基本法改正の目的
は)これに尽きる」と述べた西村眞吾議員の認識と同じです。国家が愛国心をはじめ多
数の道徳規範を「教育の目標」として定めた法案第2条は、21世紀の教育勅語とも言
うべき趣があり、それによってこの法律は、「国家道徳洗脳基本法」と称されても仕方
のないものになってしまうでしょう。
南原は、1955年に、こうした動きに明確に反対していました。「近年、わが国
の政治は不幸にして、一旦定めた民族の新しい進路から、いつの間にか離れて、反対の
方向に動きつつある。その間、教育の分野においても、戦後に性格転換を遂げた筈の文
部省が、ふたたび往年の権威を取り戻そうとする傾向はないか。新しく設けられた地方
教育委員会すら、これと結びついて、文部省の連絡機関となる惧れはないか。[~]
全国多数のまじめな教師の間に、自由や平和がおのずからタブーとなりつつある事実は、
何を語るか。[~]このような状況のもとで、その意識していると否とを問わず、ふたた
び「国家道徳」や「愛国精神」を強調することが、いかなる意味と役割をもつものであ
るかは、およそ明らかであろう」。
じつは南原は、「国家道徳」や「愛国精神」によってではなく、現行の教育基本法の
理念によってこそ、真理と正義、自由と平和を希求する「真の愛国心」が呼び起こされ
る、と考えていました。そして、次のように述べていました。
「新しく定められた教育理念に、いささかの誤りもない。今後、いかなる反動の嵐の時
代が訪れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであ
ろう。なぜならば、それは真理であり、これを否定するのは歴史の流れをせき止めよう
とするに等しい」。
政府提出の教育基本法案は、現行法の精神をまさに「根本から書き換え」ようとして
います。主権者である「国民」による「子どもたち」のための教育を、「国家」による
「国家」のための教育に変えようとするものです。私たちは、「いかなる反動の嵐が訪
れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであろう」
と南原繁が述べた意味を、よくよく考え直してみる必要があります。教育は国家の道
具ではありません。子どもたちも国家の道具ではありません。
私は、教育と子どもたちを国家の道具にしてしまいかねない政府法案に反対します。
********************************************************
子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを
国民にアピールして覚悟してもらう
資料一覧
(
教育改革国民会議
~一人一人が取り組む人間性教育の具体策(委員発言の概要))より
<引用(様式を変えてあります)>
1.子どもへの方策
(
主体
、
対象者
)
家庭が行うこと
幼児 ~高校生 共通
[教育の原点で何をなすべきか]
* 挨拶をしっかりする
* 各家庭に「心の庭」(会話と笑いの場)をつくる
* 「しつけ3原則」の提唱・実施
甘えるな
他人に迷惑をかけるな
生かされて生きることを自覚せよ
* 団地、マンション等に「床の間」を作る
学校が行うこと
幼児 ~高校生 共通
[IT時代の学校と教員の在り方 -たかがIT、されどIT-]
* 挨拶をしっかりする
* 教師一人一人が信念を示す
* 教壇を復活させることなどにより、教師の人格的権威の確立させること
* 倫理、情操教育を行う
* 歴史教育を重視する
* 国語における古典の重視
* 敬語を使う時間を作る
* 体育活動、文化活動を教育の柱にすえる
* スポーツを通じて人間性を育む
* 夏休みなど長期休暇のあり方の見直し
* 自然体験、社会体験等の体験学習の義務化
* 青少年施設、自治公民館等での合宿
* 遠足でバスを使わせない、お寺で3~5時間座らせる等の「我慢の教育」をする
* 地域の偉人の副読本を作成・配布する
* 学校に畳の部屋を作る
* 学校に教育機関としてのシンボルを設ける
地域が行うこと
幼児 ~高校生 共通
[子どものしつけは親がする、大人のしつけは誰がする]
* 挨拶をしっかりする
* 「しつけ3原則」の提唱・実施
* 他人の子どもも誉めよう、叱ろう運動を国民的な運動として行う
* 通学合宿の実施
* 有害情報、玩具等へのNPOなどによるチェック、法令による規制
家庭が行うこと
<小学校高学年>
* 教育の責任は当人50%、親25%、教師12.5%、一般社会12.5%であることを自覚させる
学校が行うこと
<小学生>
* 小学校の学習内容を、知識半分、人格形成半分にし、特に人格教育を重視する
* 基本的な言葉(読む、書く、語る)、社会人が持つべき最低限の算数や理科の知識を教える
* 簡素な宿舎で約2週間共同生活を行い肉体労働をする
学校が行うこと
<中学生>
* 簡素な宿舎で約2週間共同生活を行い肉体労働をする
学校が行うこと
<高校生>
* 満18歳で全ての国民に1年ないし2年間の奉仕活動を義務づける
2.大人や行政が主体となって
家庭、学校、地域で取り組むべきこと
(
場所
、
主体
)
大人、企業
家庭(保護者)
* 大人自身が反省する
* 親の責任の自覚
* 親子関係は鑑と鏡の関係
* 家庭教育にもっと父親が参加する
* 親が人生の目的を持つ
* 「しつけ3原則」の提唱・実施
学校
* 地域の大人が道徳の授業をする
* 有識者ボランティアによる講演活動
地域
* 企業は1年間に5日程度父親が教育に関われるよう休暇を作る
* 企業は従業員に対して子育てやボランティアのための休暇を認める
* 企業は教育に関する書籍や地域の歴史文化に関する書籍を備えた父親文庫を設置する
* 各分野のプロが当該分野のノウハウを地域へ提供する
* 名刺に信念を書くなど、大人一人一人が座右の銘、信念を明示する
行政
家庭(保護者)
* 子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう
* 「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、
ショック療法を行う
* 国民会議の提言を広く国民に知らせるための積極的な活動
* 家庭教育について対話できる土壌をつくるため、企業やテレビと協力して
古来の諺などを呼びかける
* 子育てにおいて必要な事項を決めた育児憲章を作る
* 家庭教育手帳の年度毎の更新、配布
* 義務教育年限の子どもの扶養控除額を100万円に引き上げる
* 出産後の親業教育の義務化
* バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う
学校
* 芸術、宗教、文化の領域にかかわる教育を
(科学技術と社会科学に次ぐ)第3の教育軸として位置づけ、
教育システムの抜本的な再編成を早急に行う
* 義務教育を大幅に見直し、多様化を図る
* 一定レベルの家庭教育がなされていない子どもの就学を保留扱いする
* 他の子どもの学習する権利を妨げる子どもを排除する権限と義務を学校に付与する
* 問題を抱える学校に指導主事のチームを常駐させる
* トラブルの処理は学校だけでは無理であり、教育委員会が第3者機関を作り、
そこで引き受ける
* 警察OBを学校に常駐させる
* 子どもが生き生きと過ごしている学校の分析・検討と情報の提供
* 部活などが体験学習の妨げにならないよう、曜日時間を限定する
* 文部省、マスコミが1、2週間程度学校で過ごす
地域
* 「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、
ショック療法を行う
* 教育基本法を改正を提起し、従来の惰性的気風を打ち破るための社会的ショック療法とする
* スローガン、目標を作り大人一人一人の生涯徳育を助長する
* マスコミと協力したキャンペーンを行う
* 改革を受け入れる基本的土壌をつくる
* 中央からの文書は、簡潔・明瞭で官庁用語を使わず解りやすい言葉で住民一人一人に
伝わるよう工夫をする
* 社会教育委員会の開催頻度を増やすとともに、青壮年の男女を
バランスよく任命し、地域の教育力を回復する
* 自治公民館の機能の活性化
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