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「脱ダム」宣言に関する知事県議会答弁
「脱ダム」宣言に関する知事県議会答弁
(3月2日(金) 社会県民連合代表質問に対する答弁から一部抜粋)
「日本の背骨に位置し、数多の水源を擁する長野県においてはでき得る限りコンクリート
のダムを造るべきではない」、誤解を恐れず申し上げれば、「脱ダム」宣言で申し述べた
治水の理念こそは21世紀の新しいテーゼ、私たち市民社会のミッションとも呼ぶべき究
極の代替案であります。
その上で、「計画段階からの住民参加により嵩上げ等で河川を改修し、あわせてきめ細か
い浚渫を常日頃から治水の原点として以前にも増して行う」という私の案に基づき、技術
的なバックボーンを持つ土木部で費用的検討も加え、大きく五つの手法、引堤案、嵩上げ
案、掘り下げ案、遊水池案、放水路案が考えられております。
下諏訪ダムを建設する場合においても、市街地部分に限っても1.2キロメートルにわ
たって河川の拡幅改修を必要としていた経過に鑑み、拡張案が有力ではありますが、複合
的に組み合わせ検討も進めて参ります。
「教育」というものが「家庭」、「地域」、「公教育」の三者で支え合うように、「治水」
においてもお一人おひとりの日頃からの備え、水防活動など地域の取り組み、そしてき
め細かい浚渫や護岸整備を基本とする行政が行う治水があり、三者が一体となって取り組
む必要があります。
更に、この行
政が行う治水、例えば「護岸の改修」や「浚渫」はその大元には環境への配慮も求められ
ております。
以上、申し上げた住民参加、環境への配慮は、平成9年の河川法改正の精神に即した考え
方でもあります。
全て河道に封じ込め、できるだけ早く海に流し込む河道主義治水からの脱却、すなわち
河川構造物が大規模化、高度化したため、その建設や維持管理を専門家に依存せざるを得
ず、その建造費や維持管理費も巨額にのぼり、それまで地域住民で長い間にわたって支え
られていた伝統的な技術が失われ、国民の共有財産たるべき川と市民が乖離してしまった
という反省に基づいてであろうと考えております。
一昨日お示しいたしました下諏訪ダムの治水代替案も、河川改修を基本とした多角的、複
合的な対策であります。
因みに下諏訪地区にとどまらず、「脱ダム」宣言に基づいてのこれからの治水のあり方の
方向を指し示せば、97年の河川法の改正では伝統的治水策でありました流域の水害防備
林が、樹林帯として河川施設を規定する第3条に条文化され、樹林帯と堤防のシステムで、
仮に越流しても破堤させない方式の導入が可能となってきております。
「浚渫」、「護岸の改修」といった常日頃から実行可能な計画とともに、河道処理能力を
越える洪水に対しましては、樹林帯を中心として超過洪水対策を行い、越流氾濫に対して
人命救助を第一に、被害を最小化する治水方式、すなわち氾濫受容型の治水を行われる流
れとなってきております。
なお、仮に私が出しました案がその場ですぐさまゴーサインがでるような形があるのであ
れば、それこそがまさに住民が参加をして合意形成を行うとした改正河川法に盛り込まれ
た民主主義の精神から逸脱をする性急なかたちでもあろうかと危惧いたします。
今後とも議員各位、県職員のみならず、多くの市民やジャーナリズムの現場でも治水の原
点に基づいて具体的提案を含む、広範なる論議が行われることこそは、田中県政の歩むべ
き道かと存じます。
(2001年3月15日掲載)
「脱ダム」宣言
県政会代表質問に対する答弁
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