読書と杉サマと浅井長政が好きです

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やっと帰ってこれました


「きっと、きっと、帰ってくるんだよ」
男の子と子牛は約束しました。
やがて、何年もたち、文明開化の世になりました。男の子は立派に成長しました。ある日、町へゆくと、「牛鍋を食べるのが流行っている」と聞きました。その子は「よし、一つ」と牛肉を買って帰りました。その日、家族みんなで牛肉をつついて食べました。
その夜のことです。その家の戸を叩くものがあります。こんな夜に誰だろうと思ってみるとそこには立派な牛がいました。
「私は、さっき、あなたたちに食べてもらった牛です。やっとここへ帰ってこれました。あなたとの約束を果たせなかったことだけが心残りだったのです」
ああ・・では・・子供の頃、ここで飼っていた牛だったのか・・・
その子がそう思い当たった時、牛はの姿は消えていました。


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