ロックの部屋

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E・L&P




プログレのアルバムの中では、このELPの『恐怖の頭脳改革』とイエスの『危機』、ピンク・フロイドの『狂気』は嫌になるくらい良く聴きました。

しかし、この邦題、原題は『Brain Salad Sugery』と言いますが、傑作だ。たまにとんでもない邦題もあるようだけど、命名した人は凄いです。

ロックミュージシャンの演奏力に疑問を抱いていた60年代から一変、発想力と演奏力に驚愕させられたのがELPやイエスらのプログレ勢で、シンセサイザー等のエレクトロニクスの開発も同時進行していったわけです。『恐怖の頭脳改革』では開発されたばかりのムーグ・シンセサイザーが使用されたらしいです。

キース・エマーソンも可能性を追求するべく実に生き生きと演奏しまくっています。テクニックも超一流、当時はキース・エマーソンとリック・ウェイクマンはどちらが上手なんだろうと真剣に考えていました。持ち味が違うので比較にはならなかったんですけどね。

アナログ盤でいうA面には4曲、B面には組曲1曲の構成。

Aサイドも素晴らしい出来。1曲目「エルサレム」はキース・エマーソンのシンセを背景にグレグ・レイクの崇高なヴォーカルが唄われる。出だしとしては期待を抱かせてくれる曲。

続く2曲目の「トッカータ」のスリルといったら…シンセサイザーの洪水です。ドラムスの高鳴りにも……ハラハラドキドキしまくりです。当時のシンセサイザーは単音が主だったろうから、かなりの種類のシンセを使用していただろうと思われるだけに、速弾きは必至で操作の面でも体力は相当使っただろうなと思われます。そこがステージなどでは軽業師みたいで凄かったんですけどね。

3曲目の「スティル・ユー・ターン・ミー・オン」ではホッとするような美しいアコースティック・ナンバーに様変わりと思ったら、4曲目の「Benny The Bouncer」ではデキシー・ジャズに。見事!としかいいようがない構成。これが聞き手を飽きさせず緊迫感を持続させるのです。

Bサイドは「悪の教典#9」クラシックの組曲形式を導入。ただただ聞き惚れまくる構成の美。グレグ・レイクのヴォーカルとキース・エマーソンのキーボード、カール・パーマーのドラムスどれもが突出することなく、アンサンブルを奏でる。盛り上がったところで、純クラシックピアノとジャズ曲風の「2nd Impression」で余韻に浸ったところで、「3rd Impression」で締め。締めはグレグ・レイクのヴォーカルできまり、キース・エマーソンのシンセサイザーも音色はトランペット、ファンファーレが高らかに鳴る。

『恐怖の頭脳改革』はプログレッシヴ・ロックの代表作で名作の一つ。プログレ好きには70年代の前期は薔薇色の年代たったのですが、からきし駄目だった人もいたようです。元々クラシック好きだったので、私は何の抵抗もなかったし、第一にアートロックからのオルガンの音が大好きでした。だからシンセサイザーの音色も何の違和感も無しでした。後、文学的な所も興味を誘いました。




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