精度や品質の規格について

1.C.O.S.C.クロノメーター
 一般的には高精度の時計のことを「クロノメーター」と言い、主に「C.O.S.C.クロノメーター」を指し、正確にはスイスクロノメーター検定協会の公式検定所の検査で認定基準を満たした時計(ムーブメント)ということになります。
 15日間かけて行われる精度測定の結果、平均日差で-4~+6秒に入れば合格というのが一般的に知られている内容で、この検査に合格したムーブメントを搭載した時計には「CHRONOMETER」と表記することができ、イコール高精度が証明された時計であるということになります。
 下に2007年現在の検査項目と認定基準を表にしてみたのでご参考までに(CHRONOS日本版No9号より)

COSC検査項目
COSC認定基準

 機械式時計にとってはなかなか厳しい認定基準で、確かに「CHRONOMETER」の文字は伊達じゃないと言えます。但しここで補足ですが、まず1つ目として、全ての検査は静的検査であるということです。検査中は基本的に静止した状態を保持するので、実際に腕に付けて使用した場合は必ずしも上表認定基準を満足する誤差に収まるとは限りません。二つ目は、検査はゼンマイを全巻きにした常態からスタートし、24時間後には再び全巻きまで巻上げる、ということを繰り返して検査します。つまり24時間後以降大きく精度が悪化するという特性があったとしても、この検査で表面化することはありません。また、これはあくまで新品に対しての検定結果であり、当たり前ですが未来永劫この精度を保障するものではありません。オーバーホール等を行うことで精度はがらっと変わってしまいますし、部品の磨耗等によりその精度は悪くなっていくものだと割り切りましょう。
 「CHRONOMETER」なんだから何がなでも「-4~+6秒」という訳ではないことを理解しておかないと、折角購入した「CHRONOMETER」に必要以上の期待をし、その結果持たなくて良い不満を持つことにもなってしまいます。
 また、この検定はケーシング前のムーブメント1個1個に対して行われるものです。自分の時計の文字盤に「CHRONOMETER」と記されていれば、そのムーブメントは実際に15日間の厳しい検査を受けて合格したムーブメントであり、そう考えれば一層愛着も沸くのではないでしょうか。

 現在ロレックスやオメガなど多くのブランドの時計が取得しており、2006年度は117万個以上のムーブメントが検査に合格しています。







(2008年作成)

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