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「クィーン」を観て


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観終わってこの作品の重さと複雑さ、エリザベス女王という王室であり英国の君主であることの立場、側近の者達の理解や対処と王室と国民の隔たり。そして数千年に渡る王室制度との軋轢や君主思想の歪曲など、大きく分ければ、英国の歴史の中に君臨する「クィーン」としての人間像と、亡き「ダイアナ妃」の世界に及ぼした影響感、そして同時期の「ブレア英国首相」の人間模様を端的にも複雑に絡む王室の立場や在り方、世論、メディアを通して伝わった表と裏を観た思いである。
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誰も知らないが、できれば知りたいダイアナに対するロイヤルファミリーの本音をダイアナの突然の悲劇からの約一週間の間を実話をもとにして描いている。ダイアナの死に対し、歯痒い王室の対応に、国民から怒りをぶつけられていることを知り、大きなショックを受ける女王。良き君主であろうとして人生を捧げてきた彼女の苦悩に、救いを差伸べ、国民と和解させようとするのが、就任したばかりのブレア首相。主観的で有りながら実に客観的なものの見方と道義性がとても良い。
普段威厳を称える女王だが、ユーモアを失わないチャーミングな女性としての一面もこの映画では強調している。鹿の悠然な姿を見た時の場面で、後姿に涙する女王の人柄、猟で撃たれたその鹿に対する心情は「可哀想に」と言いたいものを「苦しまなかったことを願います」と言わなければならない女王の立場。
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ロンドンに着いて献花の前での少女から花を受取るシーンで「ありがとう」というその表情は女王、そして国民的象徴としての姿が優しくも威厳に満ち、実に印象的だった。英国女王はイギリス国民全員の「愛すべき母」として映り、この映画を観た後は、誰もが女王を好きにならずにはいられないだろうと思えるくらい。アカデミー賞を始め、世界中の賞という賞を総なめにした理由が分かる気がした。素晴らしい映画だった。
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