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ラフマニノフ ある愛の調べを観て



作品概要は、ロシアの天才作曲家兼ピアニスト、セルゲイ・ラフマニノフの波乱の生涯を映画化した音楽伝記ドラマである。1873年ロシアに生まれ、ロシア革命後は亡命先のアメリカで活動を続けたラフマニノフの創作の苦悩と、彼の人生に深く関わる3人の女性との愛の遍歴を美しい旋律とともに綴る。監督は「タクシー・ブルース」のパーヴェル・ルンギン。天才ピアニストにして作曲家のラフマニノフの生涯を名曲に乗せて綴り、裕福だった生家の没落、恩師との決別、作曲家生命の危機など、波乱万丈に見舞われた人生と、彼が生み出した数々の名曲にまつわる秘話が描かれていた。
1918年、ロシア革命に反対の立場をとるラフマニノフはアメリカに亡命、その後全米各地を演奏ツアーで巡り、大成功を収める。その一方で作曲活動は進まず、焦燥感に苛まれるラフマニノフ。祖国への望郷の念も募るばかりで、妻ナターシャの支えもむなしく彼の精神は安定を欠いてしまう。

ラフマニノフの人生は、地主貴族であった生家の没落、両親の離婚、恩師との辛い別れ、ロシア革命によるアメリカ亡命など、波瀾万丈である一方、私生活は謎が多く伝説的なエピソードが数多い。物語の中では、ライラックの花が象徴的に度々現れるが、実際、彼のコンサートには必ず、白いライラックの花束が誰からか届けられていたらしい。
ラフマニノフの繊細で複雑な心の内面を知り尽くし、そばで献身的に支え続けるナターシャの姿が印象的だ。アンナに捧げた「交響曲第1番」初演の失敗で自信をなくし、打ちひしがれたラフマニノフを抱きしめるナターシャ。(交響曲は3曲作曲。第3番はとてつもなく美しい)自信喪失から作曲ができなくなった彼を精神科医・ダール医師の催眠療法によって立ち直させるように取り計らう。しかもこのダール医師は、ナターシャの婚約者だったのだ。ラフマニノフは見事に回復し、その後名曲「ピアノ交響曲第2番」を作曲しダール医師に捧げた。(この後、第3番が書かれ、上空からマンハッタンを見下ろすかのようなあの歴史的名曲が誕生する。ピアノ協奏曲第3番。映画では室内で弾かれる独奏で奏でられている)
ナターシャの愛を受けながらも今度は自分がピアノを教える女子高の生徒、マリアに魅かれるラフマニノフ。革命を夢見る彼女の考えには共感できなかったものの、その情熱的で強い魂に引き付けられ関係を持つ。ナターシャの愛の大きさに気づき、戻ってきたラフマニノフを強く抱きしめ「ずっとそばにいる」と誓うナターシャ。2人は結ばれる。結婚後も彼がどんなに荒れようが、絶対に見捨てることなくナターシャは彼を支え続けた。

ラフマニノフは誰もが認める天才だが、彼女がいなかったら才能がこれほど見事に花開くことはなかったのではないだろうか。この映画は彼の才能をひたすら信じ、弱さを受け入れ、ひたすらそばで支え続けたナターシャの愛の物語でもあるといえた。

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