あんだんて

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幸せの構造(ロイエド)



その陽光は、この部屋の主人・・・ではなく、その隣で眠っていた少年を起こした。

少年・・・エドは、何度か瞬きをして ここが東方司令部の大佐の家であること、

昨夜はとてつもなく激しいSEXをしたこと、そして自分は今、その疲れや身体の

痛みにほんの少しだけ幸福を感じていることなどを思いつくままに考えだす。

何分間かそうして、やがてそれに飽きるとエドは身体を反転させてうつ伏せになった。

上半身だけ起こして、顔を右隣に向ける。

しばらくの間、そうして。

「・・・大佐って、結構キレ-な顔してんだよな・・・」

小さく呟いた。

 部屋の主人、ロイ・マスタング大佐。彼は今、少年の隣で健やかな眠りを貪って

いた。

優しい朝日が彼の漆黒の髪を縁取っている。普段見せる怜悧な瞳は、今は、けして

短くはない睫が覆い隠し、頬に影をつくっていた。

スッと筆で書いたような鼻筋。その下に、薄い、だが形の良い唇がある。

「・・・いつもこうしてりゃあカッコイイのに」

 エドは機械鎧の右腕を伸ばし、彼の頬を軽く引っ張る。それから、人差し指で

ツンツンと押す。

それでも起きないロイの頬を、エドは笑いを殺しながら引っ張ったり押したりを繰

り返した。

後もう一度、と手を伸ばした時。

「こら。いい加減止めなさい」

 まだ眠たさの残る声を出して、ロイはエドの機械鎧の手首をパシッと掴んだ。

「!? い・・・いつの間に起きてたんだよ!?」

 エドは慌てて手を戻す。

 もしかしたら、“キレーな顔”とか“カッコイイ”とか言うのを聞かれたかもし

れない。

エドの頬がぱぁぁッと赤くなる。

ロイは枕を背もたれにして起き、欠伸をかみ殺した。

「そうだな・・・、君が私にイタズラしだした時ぐらいだ」

 その答えに、エドはほッと息を吐いた。

あんな言葉を聞かれていたら、向こう3年間はそれをネタにからかわれていただろ

うことは容易に想像できる。

安心しきっているエドを気にせず、ロイは完全に覚めた顔でエドと自分をベッドに

沈めた。

驚くエドに、唇の端だけを上げて見せる。

「私よりも早く起きるとは、ヤり足らないのか?」

「な・・・ッ! んな訳ねぇだろ! 偶然だっつの!」

 早朝からそんな誤解をしてもらっては困る。

そう考えて、エドは言い返した。

だがロイは、またもや笑いながら口を開く。

「なら何故、眠っている私にイタズラをしたのかね?」

早く起きてほしくて、そんなコトをしたんだろう? と。

違う! と言いたかったが、エドは本当の理由を言えずに う・・・と口ごもる。

 その間に、自分の上に体重がかかってくるのを感じて、エドは諦めの息を吐い

た。

そして、ロイと顔を合わせる為に仰向けになる。

「・・・オレ、もう二度と大佐にイタズラしねー・・・」

 突き出した唇から本音が洩れた。

「そうかい? 私は何度してもらっても構わないが」

鋼のに朝から触ってもらえるらな、とロイは呟く。

 そして、二人は唇を合わせた。ゆっくりと、啄ばむように。

 真っ白なカーテンが柔らかい風を受けて、ひらひらと舞った。

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