それに比べると、私たちのロンドン・オフィスの方式はしょぼかった。 まあ、私たちボスは、実際には飲み物をキッチンで作るということはほとんどしなくて、秘書やアシスタントの女性がつくってくれた。 これは男女同権には反することなのかもしれないけれど、実態としてそうだった。 それに、キッチンは女性同士のおしゃべりの場でもあったようだ。 日本でもお茶くみ場は、男子禁制の talk of the town うわさ話の殿堂らしい。 嫌いな上司に、ぞうきんの絞り汁を入れたお茶が用意されるのも、この現場らしい。
私が英国の会社を訪問したり、会議に参加していると、飲み物が提供される。 英国は、セルフ中心の米国と違って、専門のお茶くみおばさんがいることが多い。 おばさんが入ってきて(秘書が来る時もあるが)、「How do you like it?」とたずねてくる。 「With or without Sugar?」と聞いてくることもある。 「With or without」と言う言い方が英国らしいと思う。
決まったら、給仕のおばさんに、例えば「Coffee, White, NO-Sugar」、つまり「ミルク入りだが砂糖なしのコーヒー」となる。 または「Tea, Black, Without sugar」、または「」などと言うように答える。 White というのは英国独特の言い回しで、「ミルク入り」ということ。 Blackはもちろん、「ミルクなし」である。