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2013.01.10

かんべえさんより　2013/1/04

(2)

カテゴリ： 🔴 Ｍ【メモ・サブノート】

＜1月4日＞（金）

○これも年末年始の読書から。『想定外　なぜ物事は思わぬところでうまくいくのか？』（ジョン・ケイ／ディスカヴァー・トゥエンティワン）

○名著というものは、部分的にはひとつの旋律が何度も繰り返され、全体としても同じトーンで貫かれているものなのだそうだ。それでいくと、本書は掛け値なしの名著であろう。題名"Obliquity"は「回り道」とでも訳した方がよかったような気がするが、本書の至るところで繰り返されているメッセージは、「直線的な行き方よりも、回り道の方が優れている」である。

○幸いなことに、われわれはその手の実例を豊富に知っている。なぜリーマンブラザーズが失敗して、ゴールドマンサックスは生き残っているのか。前者は利益を追うことを最優先し、後者はチームワークを称揚する企業文化を持っていた（p76）、というのはごく一例に過ぎない。利益追求を最重要視すると、それが実現されてしまったときに、あるいはそれが不可能になってしまったときに、目標が失われてしまう。だから企業は、非常に崇高な理念（ときには普通の人が理解しにくいようなもの）を掲げている方がいい。利益はその結果としてついてくる。

○こんな主旋律に乗って、ビジネスや人生に関するさまざまな「ちょっといい話」が紹介される。これが楽しい。思わずいくつか紹介したくなる。

●アメリカ内務省の国立公園管理局は、当初「山火事の撲滅」を目標とした。しかし火災をいちいち消火していると、かえって発生件数が増えてしまう。そこで目標を変えた。「山火事をコントロールすること」にしたのだ。具体的に言うと、「放火による火災は消火するが、自然発火によるものは放置する」。

●生物学者のダーウィンは、「結婚は大いなる時間のロスだ」と考えていた。そして結婚がもたらすメリットとデメリットを克明にノートに記し、「一生を家族のために働き蜂として過ごすなんてとんでもない」と書いた。しかし最後には、「結婚だ、やっぱり結婚だ。証明終わり」と書いた。その翌年に結婚し、夫妻は10人の子供に恵まれた。

●米海軍のストックデールは北ベトナムで捕虜になり、拷問に耐え抜いて7年後に生還した。生き残れたのは、「拷問に対する備え」「現実的な思考」「今日死ぬかもしれないという覚悟」の3つだが、彼はこう理解していた。「クリスマスには解放される、と期待する楽天家には死が待つだけ」。溺れる者が藁をつかんではいけないのは、藁だと分かった瞬間に諦めて沈んでしまうからであった。

●著名なビジネススクールで意思決定を教えている教授のところへ、転職の誘いがあった。さっそく、友人に相談した。友人曰く「それこそ君の専門だろう」。すると当人曰く、「いや、これは真面目な意思決定の問題なんだ」

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最終更新日 2013.01.11 01:18:35
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■コメント

Re:かんべえさんより　2013/1/04(01/10)

ナランハさん

人生の無駄を実感するだけの教授会から戻り、これを読んでたちまち回復。感謝です！ここに書かれていることは、まさに1970年代後半から日本の初等教育の図画工作科で実施されている「造形遊び」の根拠と重なります。初等教育担当の教師は大半が美術専攻出身者でないため、図工は一番苦手な教科。何をどう教えていいかわからない。そこで描いた絵がモデルと酷似している度合いを判別できる写実表現ばかりさせて美術嫌いを大量生産させてしまった。事態を改善させるために文部省が方向転換のために導入したのが「造形遊び」です。ちょうど大人の「造形思考」に該当する内容（造形を通じて素材と内面との対話を深めていくバウハウスの教育法）です。しかし「造形遊び」となると、これまたネーミングに問題があり、「遊び」という日本語の理解が表層レベルだと、自由と放縦の区別がつかない。加えて現場の教師が個々の子供の内面の洞察力が乏しい場合もあり、混乱状態を呈して今に至っています。要は「目的志向で効率主義を貫くと挫折する。展望が予測できない遠心的思考で豊かな人生を取り戻そう」という趣旨なんですが、本質が理解できない人間の手にかかると何でも換骨奪胎する。いたちごっこです。今回のデータは学生も参考にできると思います。 (2013.01.11 15:06:39)

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Re[1]:かんべえさんより　2013/1/04(01/10)

alex99

ナランハさん

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う～～ん
相変わらず難しい事をおっしゃる（笑）
バウハウスですか
造形などと言うと、すぐイタリアを考えてしまうんですが、ドイツの造形も素晴らしいですね

話がずれてしまいますが（いつもですが）（笑）
テレビで世界の旅番組の映像などがあると、私は、そのロケーションがどこか？わかります
民族によって、建築・街並って特徴的に異なりますね
印象的だったのは、ポーランドのある街を案内されて、ここがドイツとの第二次大戦勃発の原因となった地点だと説明されたのですが
道路を隔てると、今はポーランドですが、元はドイツだった街並み
一見してポーランドのスラブ的建築と大違いの大きな重厚な建築
私がインドネシアにはじめて行った時に見たオランダ風の建築物にも共通するゲルマン風でした

私が初めて駐在したのはベトナムですが、ベトナムに限らず、フランスの（元）植民地の街並みも、洒落ていて独特です

なんでも、目標が直截すぎるとだめですね
幅とか、含みとか、無駄とか、そんなものがある方がいい

まとまりが無くて、すみません

(2013.01.11 18:28:19)

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