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2013.01.08
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年末年始は、2012年に出版されたお茶の本を読みました。
少しずつ感想などをアップできればと思います。

さて、まずは第一弾です。

お茶のある暮らし


『お茶のある暮らし』


著者は谷本陽蔵先生。
1990年に『中国茶の魅力』を書かれており、ファンの方は多いと思います。

当時の中国は、まだまだ開放が進んでいなかった時代。
その状況下で中国茶に関する知識を網羅的に詳しく解説した、画期的な本であったと思います。

一方、こちらの『お茶のある暮らし』は、1993年11月に草思社から出版された同名本の文庫版です。
文庫版に当たっての解説を『茶の世界史』の角山榮先生が新たに書かれていますが、本編の改訂はされていないようです。



読み始めると、谷本先生の基本的な考え方は、「お茶を効能や形式にとらわれて飲むのではなく、日常生活に密着したものとして飲んでいくべき」というところにあると分かります。
こうした喫茶文化が現代では失われつつあるので、もう一度取り戻していくべきではないか、というお考えのようです。

そして、このへんが普通の日本のお茶屋さんらしくない?ところなのですが、その場合の「お茶」は、谷本先生の中では日本茶だけでなく、紅茶も中国茶も同じ土俵の上に乗っているようです。
諸手を挙げて大賛成です(^^)


お茶に関するエッセイですので、基本的には軽く読める内容です。
が、所々に、お茶の専門用語や歴史上重要な茶書の名前などがバンバン出てきます。
全く前提知識がないと、少しくじけてしまいそうです。

ある程度ご存じの方にとっては、スラスラ読めますし、知識の再整理になるのではと思います。
短い文章ながら、きわめて的確に本質を捉えているようなくだりも多く、このへんはやはりしっかり研究されている方ならではの内容だと感じます。
全般的に読み応えのある本だと思います。


ただ、やはり書かれたのが20年前なので、記述がかなり古く感じるところもあります。


が、最近の安渓鉄観音など高級茶に限っていえば、冷蔵庫で保存して販売するのが当たり前になっているなど、下手な日本茶販売店よりも厳重な鮮度管理をしています。
他にも、現在の認識とは若干ずれがありますね、という点がいくつかあります。

ここ20年ほどの間に中国茶は著しく変わっています。
教科書的に全てが正しいと思って読むのではなく、相応の批判精神を持って読まないといけない本だと思います。

また、後半には「それはやり過ぎですよね?」と思うようなエピソードもあり、賛否は分かれそうです。




各エピソードが10ページ前後にコンパクトにまとまっており、文庫本サイズ。

持ち歩いたり枕元に置いて少しずつ読み進めるのに良さそうな本だと思いました。


『お茶のある暮らし』
谷本 陽蔵 著
平凡社ライブラリー
ISBN:978-4-582-76765-0





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Last updated  2013.01.08 22:00:27
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