水ブロ

バフェットの厄払いに学ぶ



さて、現在世界で2番目のお金持ちであり、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット。
彼はその資産規模からいうとほとんど寄付をしてきていないことは有名です。ひたすら貯めこんでいるその姿勢をよく揶揄されています。
そんな彼にはひっきりなしに不幸が訪れているのでしょうか。

このへんのことを、相棒のチャーリー・マンガーさんが興味深い発言をされています。
まず、「ファンド・マネージャー」は歯医者とか、教師とかに比べて実際の価値を生み出さないのに、莫大な報酬を得ていることを危惧しています。
人類の偉大な才能が、目先の莫大な報酬につられて、本来できる技術の進歩や発展などの貢献にせずにスポイルされることへの危惧です。

つまりマンガーは、自分の仕事にたいして罪悪感があることを発言してるのです。「我々には呪われたように株の才能があるのです」とまで(笑)。
貢献以上にもうける、前に書いた「タダ儲け」に関してのうしろめたさです。そのへんからか、彼は多額の寄付をしてきているわけです。


そのチャーリーがバフェットについてはこういってます。
「ウォーレンは、皆の教師となることで罪滅ぼしをしている」

さあ、きましたよ。
バフェットはバークシャー・ハサウェイのアニュアルレポートを、株主のみならずすべての投資家に向けて書いています。
自分が得た知識をできるだけ広めようとしているのです。

お師匠さんのグレアムさん。彼は投資を知的ゲームと捉えていました。お金の増減にはさほど執着はなく「自分の知っていることは何でも惜しみなく教えた」とバフェットが語っています。バフェットはそれを見習っています。
つまり、知識を広めることによって罪滅ぼしをしているのです。
「こう儲けた」という知識を他人に提供することによって、現金によらない富を分配しているのです。タダ儲けはしていないのです。

グレアムは「我々がお金を持ってもせいぜい奥さんのタンスの肥やしが増えるだけだ」というようなことまで言っています。この執着のなさはすごいですね。

とはいえ、バフェットには執着があるんですね。実際のお金というよりは、それが増える様に。

自分のバフェット観というのも、2~3年の間にずいぶん変わってきました。
はじめは、バフェットの伝記本を読んだまま、素朴に「陽気なじいさん」なんだろうなーと思ってました。
そのうち「マネーマスターズ列伝」でジョン・トレインが「陽気なハゲタカ」という表現をしているのを読んで、「そういやバフェットのあの深い眉間のしわはただ陽気なだけでは刻まれないんじゃないか」と思いだし。

あれぐらいのお金持ちならメディア操作も余裕なんじゃないか?と思うに至って「邪悪なバフェット観」ができてきてしまいました。実は陰険なじーさんだ、とか。

まあ、今では「本当に好きなことだけをしている人」なんだなーと思うのですが、やっぱり世界一の投資家である、というのは陽気なじいさんというだけでは語りつくせないものがある気がします。
世界一であろうという強い意志が必ず存在してると思うのです。
で、そのための利益収集マシーンとしての集中力というのは凡人には計り知れないものがあるのでしょうね。

でも、そこに悲壮感的なものはない気がします。純粋に、小さな男の子が描くような楽しい夢を爺さんになっても追い続けているというような。
一人の生涯でいったいどこまで複利で資産を増やせるのかという壮大な実験を楽しんでいるんだと思います。

そうでもないとチェリーコークとかジャンクフードばっかり食べてて長生きできる説明がつきませんしね。

で、前回の続きとしてはですね、自分が儲けた情報を公開することでタダ儲けを防ぐことができるという話で。バフェットは、お金を溜め込んで使わないで世界一の投資家として君臨することで、世界の投資家の教師となることができ、単に寄付をするの何倍もの貢献を世の中にしているのです。

我々個人投資家もスケールの違いはあっても、そういうことは頭にいれておいてもいいのでは?と思うのです。
身近な相手の教師(半面であれ)となることで、世に貢献できるのです。

個人投資家がブログで投資法や所有銘柄を公開することは、やれ提灯だの、売名行為だのと中傷する人もいますが、自分は無意識的にタダ儲けをしないようにバランスをとっているとしか思えないのです。

もちろん自ら情報を発することによって、より良い情報が集まってくるからブログやってんだ、というのもあると思います。

でも意識的であるにしろ、無意識的であるにしろ情報を公開すること自体に意味がある気がしてならんのです。

そして、この世にタダ働きはないと考えたいのです。
面倒くさいHPやブログを書くという行為は、タダ働きじゃないと。


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: