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「芸妓娼妓紹介業」の看板をかかげ、次々と貰い子をする父と、迎え入れる家族の葛藤、そして貰われてきた娘たちの哀しみ。複雑な家庭で共に暮した人々の人生を描いた表題作のほか、処女作「村芝居」、連作「宿毛にて」など、初期と円熟期の名品八篇を収録。宮尾文学の源流ともいうべき、ファン必読の短篇集。
菊籬
以前読んだのですが感想を書いていなかったようです。
正に 宮尾ワールド
な短編集です。
前半はつながりのない短編ですが後半は主人公の名前こそ
“悦子”ですが著者の私小説という構成になっています。
前半小説「彫物」「金魚」はお人よしだったり
変に気が強くて不器用だったり
する貧しい女性たちが主人公。
「自害」「水の城」は自分自身はそこそこの出だけれど
高貴な身分の人に関わってしまった女性が語る物語。
なんとなくこの女性たちの何を伝えたかったかわかる
他の小説に比べ「村芝居」はなんだか内容がぼやけてしまって
結局なにがいいたかったのか良くわからないなぁと
思ったら処女作なんですね。
村芝居に没頭する妻のつかの間の 脳内ヨロメキ
と
やっぱりダンナが一番、とあきらめと共に目が覚めるだけの
話にしてはだらだらと長く、何より 主人公の妻が
ひねくれていて読後も嫌な感じ
が残りました。
後半は宮尾氏の実家の生業を軸にそこに関わった人たち
が登場する短編集。
離婚し誰も居ない実家に帰り実家にあるものを質に入れる生活を
する主人公の話、「千代丸」。
最後に父の形見の名器、三味線を
質に持って行くものの価値の分からない
質屋に拒否されて他人に渡すよりも自分で葬ったほうが
理にかなう、と主人公はその三味線を川に放り込みます。
が、水へは届かず洲に落ちたらしい音がするところで
お話が終わります。
三味線を川へ投げ込めばいずれ海に流れ着くだろう、という
主人公の勝手で 甘美な妄想
と、実際には水へ届かず
鈍い音を立てて洲に無残な姿をさらすことになる三味線の 現実。
この対比が主人公の甘さと勝手な残酷さを象徴しているように
感じました。
それほどすばらしい楽器ならば自分で葬るよりも
使ってくれるだれかに譲るほうがいいのに。
たとえ質で二束三文だとしても捨てる、ましてや壊すよりも
残酷なことではないと思うのですが。
全体に“貧乏”“過去の栄光”“寂寥”“退廃”という
素材で出来ているような
暗めの小説で後味は決してよくはないですが
読ませる力はやはり宮尾登美子。
苦労している女の話を読みたくなったら
迷わず宮尾登美子をどーぞ。
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