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南の島、異国の子供たちと暮らすマリコ。研究者の僕に日本を脱け出し、彼女を追う生き方ができるだろうか(「マリコ/マリキータ」)?前人未踏の遺跡を探検した僕とピエールは、静謐のなか忘我の日々を過ごした。でも僕には、そこにとどまり現世と訣別する道は選べなかった(「帰ってきた男」)。夜に混じり合う情熱の記憶。肌にしみわたる旅の芳香。深く澄んだ水の味わい、5篇の珠玉の短篇集。
マリコ/マリキータ
池澤さん、 大好きな作家
です。
実は何冊も買いためているのですが楽しみは取っておくって
ことでまだ読んでいない本もたくさんあり。
ちなみに感想書き始めてからは何と 2冊目
ですね。
いくらなんでももう少し読んでいるんじゃないかと思ってたんですけど。
池澤さんの文章で何が好きってどこかの解説にもありましたが
理路整然とした“理系”の文章。
どんな超現象でもちゃんと納得させてくれる整理された文章。
なのに南国の湿度や尺度では測れない
人間の内面もしっかり描写されれている 奇跡みたいな文章。
コレははまります。
クセになります。
この本は5編からなる短編集ですが
一番すきなのは 「梯子の森と滑空する兄」
。
歯医者の待合というとてつもなく具体的で現実的な場所で
5年も行方不明の兄が(義兄、なんだけれど)雑誌に載っているのを
発見する主人公。
しかも雑誌には”僻村に青年村長誕生”として紹介されている。
そこからこの一風変わった飄々としている
義兄と主人公の親密だそうでもないかよくわからないような
エピソードが語られる、という短編。
この話のどこが好きって、このお兄さんみたいな
飄々とした人物に憧れる
から。
でも 自分はそうはなりえない
って主人公のように知っているから。
池澤さんの小説に出てくる人物はこの兄みたいなキャラが
結構多い。
何を考えているのか良くわからない不思議さんで
自分の”宇宙”(”世界”ではない)を持っているような。
一緒に居ても何万光年も離れているような。
本人も周りの人もどうしようもない距離を持っているような。
表題の「マリコ/マリキータ」も悪くないですけどね。
この小説では”マリコ”さんが不思議ちゃん。
不思議なだけじゃなくてちゃんと宇宙も持っていて、そして
強い。
自分の宇宙を守れる人っていうのは強くなくてはいけない
のかも。
だからこそ池澤作品は魅力的なのかも。
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