おとぼけ香港生活から脱皮

【改造３】キッチン

そんな生活に私は劣等感の塊だった。
パパさんの住んでいる新しい家に行く度、
物が増えていたり、勝手に物が取り付けられて
いたりで私の苛立ちはストレスと変わり、
足を踏み入れるのを拒否していた。←（「知らぬが仏」です）

なので、パパさん達が香港に居ない時は
必然とあちらの家にも行かなくなり、
日々の洗濯もあちらの家でやらなくなり、
全ては何もないこの家でやっていた。
（あまりにも惨めなので詳細は書きませんが）

こんな生活を送っていることに
私の周りでは実親以外理解してくれる人がおらず、
益々惨めさが募っていった。

キッチンシンクを選ぶ。
こういう時でさえも豊は無関心だ。
なので、毎度のことパパさんにお願いして
一緒に探してもらった。

物置だったキッチンはほとんどがパパさんの
荷物だったのでパパさんに出してもらった。
そして、何年も物置として、いや、それ以前に
この家を購入した時に手直しはしなかったので
それはそれは古めかしい汚さだった。

壁や床の修理に業者を入れて
綺麗に直して欲しかった。
だが、パパさん、自分でやると聞かない。

仕方なく、崩れ落ちた壁をやってもらったら
それは見事な、でこぼこで無残な形になっている。
床は新しいタイルを自分達の手で
貼らざるを得なかった。←（パパさん、俄然やる気満々だったため）

やはり素人。平らではない・・・・

さて、キッチンシンクの取り付けの日がやってきた。
床や壁はこんなんだが、キッチンシンクは
私が設計したとあって、かなりの期待があった。
台は人工大理石ではあるが、
私が唯一こだわったＬ字型だ。
扉の色だっていっぱいいっぱい悩んだ末に決めたので
それはそれは非の打ちどころがないくらい
私の中では上出来だった。

取り付け業者が荷物を運んでくる。
まずは箱の取り付けからだ。
私はうれしくて、うれしくて彼らの作業中ずっと
眺めていた。

だが、胸糞悪いことに業者の一人が
タバコをずっとふかしている。
そのタバコの灰の行き場は「床」。

タイルを貼ってから綺麗に綺麗にしたのに
こんなザマか？

すぐさま灰皿を渡したが
吸殻は「床」

くぅぅぅぅ～～～～（青筋）

「出来上がりに吸殻があったら文句いってやろう」

そう、心に決めて彼らの作業を眺めていたのだった。

取り付けは順々に進んで行き、お昼休みになった。
まだ、運び上げていないＬ字型の台があったので
パパさんが業者に「手伝って上にあげるから」と
言葉を交わし、お昼休みに入ったのだった。

その間、パパさんは自分の家に戻ると言って帰って行った。

それから、しばらくして、業者が戻ってきた。
入り口のベルが鳴ったので扉を開ける。

だが、私の目に信じられない物が入ってきた。

Ｌ字型の台が2つに割れてる～～～～～！！！！！！！！！！

午前中に見た台は確かにＬ字型でしかも木箱に
入っていた。
なのに彼らがお昼から戻って運んで来たら
２つになってるだとぉ？？？

慌てて近寄って見てみると、
故意にバキッと割ったのであろう
割れ目がギザギザだった。

パパさんが来ない。どうしよう。

すぐさま、私は豊に電話をし事情を説明した。
業者と変わって話してもらう。

すると、

なんと、

この業者

「最初から割れている」

とぬかしやがった。

ふざけるなよ！Ｌ字型を2つに頼んだ覚えはない！

しかも木箱に入っているときはちゃんと1つの台だったんだ！！！

長々と、私に代わり、業者に代わりと
豊に通訳してもらった。

豊の考えは「今日はもう帰ってもらえ」だ。
私もそれには同意だった。
私の唯一の満足であり自慢であったＬ字台が割れたまま
事を済ましたくなかった。

そして、電話を切ると、
この、タバコをふかした
いけすかないヤツが

「モウマンタイ」「モウマンタイ」（問題ない）
と言って作業を進めようとする。

また、豊に電話をして
通訳してもらわないかんのかっ！

また、豊に電話をし帰るように言ってもらった。

電話を切ると

「モウマンタイ」

ふざけるなよ！このあんぽんたん！！！！！

こんなことを何度か繰り返した頃、
ようやくパパさん登場。

遅いよ・・・パパさん・・・・（涙）

事情を知るとパパさんも怒っている。
当たり前だ。台を運ぶのに手伝うから（階段で）って
言っておいたのに、無様な形になってしまったのだから。

業者の言うのにはエレベーターに乗らないから
でも、最初から2つだったと
訳の判らないことを抜かし続けている。

この取り付け業者は雇われ業者なので
家が頼んだ会社とはまた違うのだ。
自分達の過失で物を壊したとなると
きっと自分達が弁償しなくてはならないと考え
自分達には非がないと言い訳している。

この日はとりあえずかえってもらい、
パパさんはこの割れた台の写真をカメラに
収めた。

次の日にもやつらは来た。
相変わらず土足でズカズカと
我が物顔で入ってくる。
そして、くわえタバコにポイ捨てだ。

私はこのいけ好かないタバコ野郎が
とてつもなく大嫌いだ。←（言葉が段々荒々しくてすみません）
これだけは確かなことだ。

「モウマンタイ」と言っていた台は
パテを着けて研磨すれば綺麗になるという。

「ね？綺麗になったでしょ？」

当然、綺麗にはなっておらず、割れた線は
肉眼でも見て取れるほどで
私は顔を横に振った。

相手も弁償はしたくないので
私に首を縦に頷いてもらいたいが為に
懸命である。

何度やっても同じだった。
線は残ったまま、しかもやればやるほど
線は浮き彫りになるのだった。
研磨された部分が増えるたび
綺麗で真っ白なつやつやの台はキズでくすみだし、
研磨され続けた場所はへこみだした。

最悪だ・・・
全て自分の思い通りにして作った
キッチンシンクが滅茶苦茶になろうとしている
しかも、使う前から
キッチンを嫌いにさせるのか？

彼らが研磨をすればするほど
どツボにはまり
彼らが研磨すればするほど
白い粉が家中立ちこめ
私はどん底へと落ちるのだった。

こうしている間、パパさんは
購入した店へと行ってくれていた。
注文書と写真を持って
「台は2つではなくＬ字型だ」と
言いに行ってくれたのだった。

店から戻ったパパさん、
私にある提案をしてきた。

「負けさせればいいよ」

私とすれば是非とも交換してもらいたかった。

私のお気に入りのキッチンは
使う前から見るも無残な形となり
私の中では拒否反応さえ起こそうとしていた。

「一応、最後までやらせてみたらいいよ」

パパさんがこう言ってくれた。

真っ白になりながらでも研磨し続ける彼らの
「モウマンタイ」を信じてみようか。

強引にやり続けた所為か
肉眼で見えるか見えないかまで
仕上がっていた。
でも、割れてしまったこと自体に私は
ショックでなかなか喜べない。

そして、ショックすぎて
作業を眺めるのをやめてしまった為、
設計通りと思っていた蛇口の場所が
気がついた時には別の場所に
取り付けられていた・・・・

無力です

全て仕上がり、チェックをする。
「台を交換してくれ」とまず言いたかったが
パパさんが提案した「値切り」を
言った。

結局、

10,000ドルのキッチンシンクが
9,000ドルで出来たのだった。

そして、使ってみると
研磨されすぎて、凹んだ方へと
水が流れてしまうという
なんとも納得できない形で終わった。

そして、取り付けられた扉の
一つの金具が取れてしまうことも
判明した。
仕方がないので私自身が再び取り付けたものの
暫くすると外れてしまう。
そして、こうなる度に
あのいけ好かないタバコ野郎の
顔が思い出され、憎むのであった。

＊これと同時期に洗濯機入れました！
　乾燥機付ドラム式です♪
　乾燥機使ったことありませんが
　どうも壊れてるみたい？？

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