Aug 29, 2004
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参加者は500名を越す、年に一度のヒルクライムイベント、 ワイルド・ウェールズ・チャレンジ 。21回目の今回、クラブからは10名の参加である。
「レースじゃないんだ。ま、お祭りみたいなもんだね。」とのWillの言葉に惑わされ、参加表明。

朝6時、暗闇の中、店の前に集合。皆の自転車を積み込み、スタート地点のBalaへ向かう。予定走行距離、89マイル(142.4Km)、 Mouth to Mouth で泣きながら登ったBwlch-y-Groesで幕を閉じるという劇的なコース選択だ。当日渡されたブックレットの裏表紙には、出発地点と終着地点の他、4ヶ所のチェックポイントの欄があり、完走者には記念品が出るという。
夏休み中に子供達が競っていた、電車のスタンプラリーを思い出す。

この日の天気予報は「曇りのち雨、時々晴れ間、そしてにわか雨」という典型的な英国天気。しかもウェールズ地方はさらに天気が変わりやすい。

小降りの雨の中、スタート。バラ湖を見ながら、皆で進んでいく。湖の中心からくっきりと虹が出ている。とても美しい光景だ。自分が濡れていなければもっと美しく思った事だろう。

最初のチェックポイントはDolgellau、サインを貰い、温かい紅茶で暖を取り、再スタート。ここから手応えのある登坂が始まった。



そのすぐ後、最大勾配14%プラス。路面が濡れている為グリップは良くないが、ガソリンでてかっている場所もあまり無く、さくっと登る。

いつの間にか雨は止み、ウィンドブレーカーもその下のジャージーも乾きはじめている。気温17度。濡れていなければサイクリングには快適温度なのだが。

頂上での抜きうちチェックポイントを通過し、散りぢりになっていた仲間と合流。丘を越える度に散らばっては合流を繰り返し、昼食はTywynのチェックポイントの後、海のみえるカフェで。どんよりと灰色に曇った空の下にあるのは、凍り付きそうな黒い海。何時大雨が降ってきても不思議はない空模様である。大量のホットコーヒーで体を暖め、たった一つ切実に祈るのは「雨よ、降らないで」。

そして雨は降るのだ、大量に。

目を開けていられない位の大粒の雨は、私をずぶ濡れにするまでに何分もかからなかった。木陰で雨宿りをしたり、ケープを羽織ったりしているライダーも見かけたが、既に手遅れ状態の私はそのまま進むことにする。ペダルを踏む度に感じる、靴の中の水。しかも寒い。

5つ目のチェックポイントはDinas Mawddwy。この先には、あの Bwlch-y-Groes を残すのみだ。約8Kmにわたっての登坂は徐々にその勾配を増し、頂上手前の500mは20%、しかも急カーブという心臓破りの坂である。ちなみにこの「丘」の標高は546m。 Col du Tourmalet の標高が2115mだった事から考えると、約4分の1の高さで距離は半分だが、勾配は2倍である。
英国は丘ばかりだが、急勾配が多いのだ。

雨は止み、太陽がのほほんと顔を覗かせている。幸いな事に、追い風まで吹き始めた。自然は私に味方している。仲間は散りぢりになっていて、周りには歩いているライダーばかりだが、誘惑は無い。この坂をもう一度味わうために、今日ここまで走ってきたのだ。

ゆっくりとしたペースで登ってゆく。頭の中は冷静で、前回泣きはじめた場所、Willの声で我に返った場所、DaveとIanが止まっていた場所、まるで昨日の事のように覚えている。しかし、頭と体はちぐはぐだった。体はもうやめてくれと信号を送り続けている。無視しようと色んな事を考えたり、思ったりしてきたが、段々霞みがかって、思考が止まりかけてきた。自分の中の天使と悪魔が戦う。それでも、ダメなものはダメなのだ。脚の力はゼロになってしまった。「あーあ」とは思ったが、全力を尽くした結果で、今の私の実力なのだ。前回より遥かに先、誰のサポートも無くここまでこれた事を誇りに思った。



再スタート。自転車の坂道発信は難儀である。一度転ぶ。脚は残っていなかったが、自分を笑う余裕はあった。大丈夫、あと少しだ。

雨に打たれ、凍え、いくつもの坂を登った156km、7時間45分は文字通りの「チャレンジ」であった。ゴール地点で最後のチェックを済ませ、記念品を受取り、熱い紅茶にサンドイッチで仲間と健闘を讃えあう。

また来年も参加したいと思った。

W.W.C





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最終更新日  Jan 25, 2006 04:05:19 AM コメント(8) | コメントを書く


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