巨頭星団クラブ

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2004年03月24日
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以前、「自然保護に対する反論」というタイトルで、自然保護という言葉の響きに傲慢な人間の特権意識を感じてしまうという内容の日記を書いたことがあります。

私も、もし自分の安全が保証されているのであれば、野生で暮らしている動物を間近に見て、好奇心を満足させたいところですが、一方、好奇心だけでそんなことをしてもいいのだろうか?という疑念もあります。

New Scientistの記事によりますと、このような人間の行動が野生動物に多大なるストレスを与えていて、下手をすると生存に対する脅威になっているかもしれないという報告があります。
例えばホエール・ウォッチングですが、ここ10数年の間に爆発的にツアーが増えていて、下手をすると鯨やいるかなどの対象となる動物より、人間の方が多いのではないかという状態です。

ニュージーランドのオークランド大学の研究チームが、沿岸に生息するバンドウイルカの群れを、1996年から継続して観察したところによると、イルカ見物の観光船がそばにいると、イルカたちは逆上した状態となることが報告されています。
それも近くに存在する船の数によって変動を受け、1隻のボートだけだと時間にして68%は平静でいるのに対し、3隻に増えると0.5%しか平穏でいられる時間がなくなってしまうそうです。つまり99.5%の時間は不安に駆られているということになります。

このようなイルカの変化は「個体数維持に関する深刻な問題」であると海洋生物学の専門家は考えています。スコットランドのモーレイ湾に棲むイルカも、イルカウォッチング船のために同様の反応を強いられており、日中は常に落ち着かず、夜にしか本来の活動ができない状態に陥っているのです。

一方、陸上に棲むホッキョクグマも同じような迷惑を蒙っています。1980年代から、ホッキョクグマ見物の特殊な観光船が、10月から11月にかけてカナダのマニトバへ押し寄せます。ホッキョクグマにとってこの時期は、ハドソン湾が凍り付き、アザラシの狩に出かける前の休息時期であり、待機期間なのです。


動物がこのような状態になるとどのような犠牲を強いられるかというと、心拍数や代謝量が上がり、緊急時に蓄えておかなければならない脂肪などのエネルギーを無駄に消費してしまう結果となり、ひいては個体そのものの寿命を縮めてしまうことになりかねません。
ホッキョクグマは多産系でもありませんし、過酷な環境の中で子育てをする、繁殖力という観点では弱者なのです。

このような状況に追い込まれているのは、他にもペンギンやディンゴ、そしてアフリカの草原で生活している動物など、人間がエコツーリズムを楽しむ現場のいたるところにいるのです。
一つ悩ましい問題は、このような自然資源の豊富な国々は経済的に貧困な国が多く、エコツーリズムのもたらす経済的効果に頼らなければならないということです。自然を破壊せずに自然から利益が上がる、と当初はいい事づくめのように思われていた自然観光も、当の動物にとっては、迷惑以外のなにものでもないようです。

かくいう私も大自然に棲む動物たちを紹介するテレビ番組を好んで見たりします。以前から、これだけの近距離で撮影されている動物たちはいったいどう思っているのだろうかと考えたこともありますが、事態は私が思っているより深刻なようです。
もう少し動物たちの生態や生理に気を配り、強いストレスを与えないようにしてエコツーリズムを楽しむ方法はないのでしょうか?
動物は、決して観光にきた人間に愛想を振り撒いているのではなく、平和を乱す闖入者としか見ていないのです。
例えば、異星から宇宙人が地球ツアーと称して、我々の普段の生活を覗きに大挙押しかけてきたらどうでしょうか?四六時中観察されて、生活などできたもんじゃないですよね。





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最終更新日  2004年03月24日 21時21分29秒
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