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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2018.07.08
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​ 著者は、慶応大学経済学部の田中准教授と
 国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口助教。
 参考文献には、 荻上チキ 氏や 中川淳一郎 氏等の、お馴染みの著作も見られるが、
 分析には、19,992人へのアンケート調査結果が用いられている。

 これまで様々なメディアを通じて知らされてきた、
 私たちの記憶に、今なお鮮明に残る数々の「炎上」事件について、

 「研究」と銘打つに相応しい一冊となっている。

   ***

  以上の結果から、炎上に積極的に参加している人は、
  年収が多く、ラジオやソーシャルメディアをよく利用し、
  掲示板に書き込む、インターネット上でいやな思いをしたことがあり、
  非難しあっても良いと考えている、
  若い子持ちの男性であるといった人物像が浮かび上がってくる。(p.112)

これが、19,992人へのアンケート結果から導き出された
「炎上」という事象に、直接かつ積極的に関わっている人たちの特性である。
著者は、これまで漠然と抱かれていたイメージと食い違う部分もあると指摘する。
そして、「炎上」という現象に関する、著者の結論は次の通り。


  すなわち炎上事件で書き込みをする人はごく少数である。
  過去1年に炎上事件への書き込んだことのある人は、
  インターネットユーザーの0.5%程度にとどまる。
  個別事件単位になると書き込む人は0.00X%のオーダーとなり、
  人数で見ると、数千人である。

  直接に当事者を攻撃してアカウント閉鎖などに追い込む人は
  数人~数十人のオーダーにとどまる。
  炎上事件が起こると、ネット中が批判のあらしになり、
  全ユーザーから攻められているような気持になるが、
  実際に騒いでいるのはごく少数である。(p.145)

つまり、「炎上」は大多数の人々の意見を集約、反映した現象などでは決してなく、
ごく限られた数の人たちが発生させた一現象に過ぎないということである。

  問題なのは、そのようなわずかな人が、
  多くの人の情報発信を委縮させるほどの、
  あるいはネット上の意見分布を左右するほどの
  大きな力を持ってしまったということである。(p.152)

ごく限られた人たちの主張が、世間を揺るがすほどに大きく響き渡ってしまう。
この現実を、私たちはしっかりと受け止める必要がある。
そして、インターネットとは、そもそもどのような空間であったのかという
次の事実についても、知識としてしっかりと持ち合わせておく必要がある。

  すべての人に最強の発信力を与えれば濫用の恐れが出てくる。
  しかし、当初のインターネットは学術ネットワークだったため、
  濫用は抑制されていた。(中略)
  すべての人が最強の発信力を持ってもそれが濫用されなかったのは、
  そこが学術ネットワークだったからである。(中略)
  同じように学術ネットワークの外側の多くの人が最強の情報発信力を手にすれば、
  少数ではあってもそれを濫用する特異な人が現れるのは避けられない。
  炎上の真の原因はここにある。
  すなわち、この学術的な、あまりに学術的なネットワークが、
  少数ではあるが特異な人もいる世界全体への適用に耐えなかったこと、
  ここに炎上問題の本当の原因がある。(p.179)

これを受け、著者が提唱するのは、「受信と発信の分離」である。
そのSNSの具体例として、「サロン型SNS」を挙げている。
これについて、その賛否は意見が分かれるところであると思うが、
「発信の制限」については、今後考えていかざるを得ない問題となるだろう。





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Last updated  2018.07.08 21:40:42コメント(0) | コメントを書く
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