第十三話【三途の川にて】


(;_;)泣ケタ…

第十三話【三途の川にて】




親族の多い私には、"第二の"母やらオバちゃんやらおばあちゃんやらがたくさんいます。
今日はその中のひとり、ミカばあちゃんの体験した話。

もう15年程前の冬の晩。
ミカばあちゃんは救急車でERに運ばれました。息子が釣ってきたフグを自宅で料って食べ、
見事 毒に当たったのです。症状は非常に重く、フグの毒ということで私達親族も助からない
だろうと思っていました。

が、皆の予想に反して、あっという間に退院してしまいました。(1週間も入院してなかったと
思います)

救急車で搬入されたとき、ミカばあちゃんは確かに意識がなく息絶え絶えでほとんど死にかけ
だったはず。人並みはずれて体が丈夫ってわけでもないし。しかし、まあ、死ななかったし
よかったじゃん、なんてみんな深く考えないでいたんです。

うちのばあちゃんとミカばあちゃんは従姉妹です。それからしばらく、ある日縁側で二人が
おしゃべりしていた時、ミカばあちゃんがポツポツと話し始めました。

「眠っとった時ね、見たんよ、夢を。
 あたしは暗い暗いどっかを歩きよって、不安で怖くてたまらんかった。
 そしたら行く先にポカッと明かりが見えた。いっしょけんめい歩いたよ。
 近づいてみたら、黒い川が流れとって、その向こうが明るいお花畑でね。
 そりゃあ楽しそうなし心地良さそうなし、あたし、迷わず渡ろうとした。
 そしたら川の向こう岸にイサムちゃんが立っとって、あたしに言うたんよ。

 『みっちゃーん こっち 来たらいかん』

 『あんたは まだ 来たらいかんよー』

 『早よ お帰り』

 じゃけん、イサムちゃんの言う通り、来た道戻ったんよ。そしたら、目が覚めて、
 病院のベッドの上に、寝とったんよ」

イサムちゃんとは、20年ちかくも前に亡くなった私の祖父。うちのばあちゃんの夫です。
ああ、じいちゃんがミカばあちゃんを助けてくれたんだと、そうやって見守ってくれて
いるんだと、みんなで話をしました。


※文中の「私」(語り手)は、bittersweetだったりババだったりT子だったりします。
 私や周囲の不思議体験をごっちゃに紹介しているので。ご了承ください。

更新:なぜひとは三途の川を見るのか?================================================

死の淵から舞い戻った人の経験談って、東西宗教の別を問わず似通っているんですって。
つまり「自分は暗い空間に立っている」「行く手に(三途の)(黒い)川」「川の向こうに
明るい花畑/楽しそうな空間」「歌声/美しい音楽が聞こえる」「遠い昔に亡くなった
家族や友人の姿」「ここを渡るな、引き返せという声がする」といったシチュエーション。

で、数年前にこの不思議な一致を科学的に解き明かそうと研究した科学者グループがいて、
実験経過は端折りますが、結論として

1)脳のある一定の箇所に微細な電流を流したところ被験者達は一様に似た映像(明るい場所・
 花畑)を見る、美しい音楽を聞く
2)それらはいわゆる"極楽像"であり、そもそも極楽(パラダイス)のイメージは文化あるいは宗教に
 よってそれほど異なるものでない

ゆえに三途の川のイメージは非常に似通っているんだということです。
フムフム(. . )3 。。。非常に説得性がありますねえ。

が、それでも私は、それ(科学的に数値で証明されるもの)だけじゃないもの、つまりうまく
言葉では説明できないけれど、だからこそこの21世紀の時代にも一種の畏敬の念をもって
語られる種のものを信じたいという思いがあります。






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