世界で一番愛する人と国際結婚

遠距離婚約




私はUpsetすると、黙りこくってしまう癖がある。
飛行場に向かう車の中で、私は終始無言だった。

『君がどうして怒っているか、僕は想像がつくよ。』

ブランは静かに言った。


ああ、私ときたら、なんて子供なのだろう。こんなことをして、
ブランがプロポーズしてくるわけがないのに。逆効果なのに。


そう思っても、精神年齢12歳くらいになってしまった私は、
ひたすら黙りこくる。

そうなると、何かきっかけがないと普段の自分に戻れない。


ハワイを発つ時に見た、ブランの困った顔が印象的だった。



だが、ブランは変わらず私に連絡を取り続けてきた。
そしてハワイでのデートから更に2ヵ月後、2004年の12月、
友人とカリブ海を旅行した後、私は一人で彼の住むカリフォルニアに
再度立ち寄った。



南カリフォルニアではめずらしく、毎日雨だった。

遠くの空に僅かな白い雲が見え、光がところどころ射してはいたが、
おおかたグレーの雲が立ち込め、しとしと細い雨が降っていた。
彼の郊外のおうちから、霧雨の降る中、私達は車で街に出た。



マリナ・デルレイに向かうフリーウェイの上で、突然プロポーズされた。

ロマンチックでも何でもないシチュエーションだったが、
運転をしながらブランは私を見て言った。


「Will you marry me?」


一瞬、霧が晴れて青空が見えた。


私は空耳かと思ったが、Sure Yes ともつかない言葉で、「しゅやーす」、
とか何とかいって運転中の彼の首に巻きついた。彼は嬉しそうに笑った。


プロポーズしようとはずっと考えていたらしいが、彼も、まさかあの
シチュエーションで言ってしまうとは、自分でも思っていなかったらしい。
ふと急に言いたくなって、言ってしまったらしい。



ブランと別れて日本に帰る飛行機の中で、ちっとも寂しくなかったのは、
あの時が初めてだった。うきうきした。プロポーズ効果恐るべし。


嘘でしょう?
こんな素敵な人を私の夫と呼べるなんて。自分の人生で一番好きに
なった男性、自分の望みうる最高の男性を夫と呼べるのだと実感した。
ああ、神様ありがとうございます。


あの後、マリナデルレイのホテルで今後のことを話し合った。
彼の仕事次第で、1週間お休みが取れる時に来日する。
たぶん春くらいには休みが取れる。
その時に日本で式を挙げようということになった。
日本で結婚したほうが、婚約者VISAより簡単だよと彼は言った。


でも、これって、婚約?


私は帰国後、アメリカ人の知り合いに確認してみた。


「彼にwill you marry me と言われたんだけど、
これって婚約?」


「それで、あなたはYesと言ったの。」


「うん、まあ。」


「Congratulations!彼がプロポーズして、あなたがOKしたのだから
貴方達、婚約したのよ。」


と大興奮で言われた。


そうか、そうか。婚約したのね、私達。


彼女に言われて初めて実感した。


ブランは電話で、今度会った時指輪を買いに行こうね、と言ってきた。


私は、”恐る恐る”仲のいい友人達に話した。次に両親に話した。


つづく

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