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ネアンデルタール人は私たち現生人類に最も近い近縁種。でも遺骨から得られたミトコンドリアDNAの解析結果から、現生人類の直系先祖ではなく別系統の人類であることが明らかになった。しかもこのネアンデルタール人と現生人類は、しばらく共存していた時期があるのだそうだ。
現生人類に比べてネアンデルタール人は身体が大きく、体力があり、活動範囲も広かった。でも約2万数千年前に滅んでしまった。体力的に優位にあったネアンデルタール人がなぜ滅んだのか?番組ではいくつかの説の中から2つの理由を挙げていた。
一つは「飛び道具」の存在。体力で勝るネアンデルタール人は、その体力に物を言わせて大きな獲物を槍などで捕獲する狩りの名手だったそうだ。一方体力で劣る現生人類は大きな獲物を獲ることはできず、小さい動物、すばしっこい動物、しかも少し離れた場所にいる動物も狙わなければ生きていけなかった。
そこでその不利な条件を打開するために「飛び道具」を考えついた。遠くからも獲物を捕えることのできる「投てき道具」だ。精度を高めるために工夫に工夫を重ねた形跡が残っているそうだ。
食糧の少ない氷河期に入って、この「飛び道具」が威力を発揮する。大きな動物が急激に数を減らしネアンデルタール人が食糧を確保できなくなる中、現生人類は「飛び道具」を使って獲物をとることで生き残ることができたのだそうだ。
もう一つの理由は「大きな集団」の形成。ネアンデルタール人に比べて個々の体力で劣る現生人類は、ネアンデルタール人が作っていた集団よりも大きな集団社会を作り、情報を交換していたそうだ。その集団の中で「道具を生みだす能力」は飛躍的に上がったという。一人一人の能力が劣っているがゆえに、集団となって厳しい環境を生き抜く知恵を共有していたのだと思う。
ネアンデルタール人と現生人類の関係はとても面白い。体力的な不利こそが、工夫を生み、生き残りを可能にしたのだとしたら、人類の歴史は「ピンチをチャンスに変えた種族の歴史」なのかもしれない。