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良いお正月をお迎えでしょうか。今年もどうぞよろしくお願い致します。
私はお正月というと祖父のことを思い出します。子どもの頃毎年祖父の家でお正月をすごしていたからです。
祖父は厳しい人でした。今どきの「優しいおじいちゃん」とは違い、おもちゃやお菓子をもらった記憶は全くありません。ただ年に一度だけ、お正月に孫たち全員に同じ額のお年玉をくれたのを覚えています。
戦地にいる間に、妻(私の祖母)を病気で亡くし、復員してからばらばらに預けられていた子どもたちを迎えに行き、生活に困窮する中、苦労して子どもたちを育て上げたそうです。そんな祖父の元に、孫たちは入学、卒業、就職、結婚、と何かあるたびに必ず挨拶に行きました。
お祝いをくれるわけでも、褒めてくれるわけでもありません。ただその時その時孫たちに言葉をかけてくれました。
大学に入った時には「学問を修めることで高飛車で偉そうな女になるな」と。
就職した時には「お前の歳で褒めてもらおうと思うな。叱ってくれる人の話を一所懸命に聞きなさい」と。
優しい言葉をかける人ではなかったけれど、そういう言葉のひとつひとつを思い出すたびに、厳しい祖父の不器用な愛情を今も感じます。30年も前のことです。言葉ってすごいなあ、と思います。そしてそんな祖父がいなければ(祖父だけではないですが)、今の自分はここにいないんだなあ、と思います。