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BLUE ODYSSEY
地球防衛少女ミポリン act.1~7
地球防衛少女ミポリン [act.1]
『地球防衛少女ミポリン』
Terrestrial Defence Girl Miporinn.
聖乙女宣言。
「乙女とは失われし純潔を守る少女。
清く正しく、気高く美しく!正義を守るために戦います!」
西暦2061年。
地球は謎の生命体「ゼウス」からの攻撃を受けた。
この生命体は強靭で堅牢な生命力を有した。
これに対向した人類にとっては、ゼウスはさながら”無敵の存在”のように見えた。
その姿はあたかも異形の地からやって来た”亡霊の戦車”だった。
この突然の攻撃に人類は震撼した。
ゼウスとの第一次接近遭遇の際に起こった戦闘で、地球上の大国1つが滅んだが、それと引き換えにゼウスを傷付かせて後退させる事に人類はからくも成功した。
ゼウスは飛来した時と同じく宇宙空間に去って行った。
しかし、その時、人類も深い痛手を負っていた……。
その後、一時の平穏を取り戻した地球人類は、このゼウスに対向しうる攻撃手段や兵器を模索したのであるが……、これといって効果的な攻撃手段は見つからなかった。
日本はこの事態に対して、ひそかに
ゼウス迎撃機関『テレストリアル・デフェンス・フォース』
を設立した。
これは極秘裏に地球を守る防衛の任務をつかさどる組織。
またこの機関では扱うもの全てが極秘事項とされた。
その機関の最高責任者、
『シュタインベルグ司令官』。
謎の多い男とされる。
若くて整った顔立ち。静けさと厳しさが常に漂う男。
いつも司令官用の帽子を深く被り、室内でもサングラスを決して外さない。
年齢不詳だが、どう見てもかなり若い人物のように見える。
髪はブロンド。
常に正確な判断が出来る男と周りから言われていた。
シュタインベルグ司令官「早く”ビクトリー・メイデン・ガール”を見つけるのだ。
我々が調査発掘の末に掘り当てた”太古の昔に造られたというあのマシン”。
そこに添えてあった文章に書かれていた”戦いの女神”の存在。
あのマシンと”戦いの女神”が揃えば、凄まじい力を発揮できると記されていた。
……伝承によると、”戦いの女神”に変身できるのは生粋の”乙女”でなくてはならない。
そしてその乙女とは気高き少女でなくてはいけない。」
猪木副指令「それを探すための最初の被験者になるのは”ハートフル学園”の女生徒達だ。
ここは全国各地から現代の”乙女”と思われる女生徒達が集められた学校だ。
きっとここで目的の少女が見つかる筈だ」
『猪木副司令官』
同じく、同組織の副司令。
シュタインベルグ司令官の良き相棒にして堅実な片腕。
よく冗談交じりに”相方”とも称される。
シュタインベルグ司令官とは、この組織の立ち上げ時から苦楽を共にしてきた仲だ。
スポーツマン風で若々しく見える。こちらも年齢不詳。
シュタインベルグ司令官「そう願いたいものだな……。
事は一刻を争う。
最初の”ゼウス”が再び戻って来る前に、その伝承に記されている乙女を発見しなくてはならない。」
猪木副指令「”伝承の乙女”か。
その仕事はすでに明美君とエリーゼ君に頼んである」
シュタインベルグ司令官「伝承では……、
『天空より恐ろしい力を持つ魔物が降臨した時、
戦いの女神が現れ、その動きを封じる。
その女神を現すには、”メタモルフォーゼ”により乙女を変身させる。』
とある。
我々はその女神を現すマシン”メタモルフォーゼ”を手に入れた。
そして研究の末、それを復元させる事に成功した。
後は”乙女”を探し出すだけなのだ。
そして、その乙女を表す記述として、伝承では
『乙女とは清く正しい者で無くてはならない。』
と記されている。
あのマシンが伝承通りの力をその者に与えるなら……、やはりそれは正しき心を持つ者でなくてはならない。
あのゼウスを倒せるとなると強大な力だ。
そんな物を由々しき者の手に委ねるわけにはいかない。」
猪木副指令「確かにそうだ。その点ではあの伝承に信憑性があると思える。
しばらくは”乙女探し”に全力をあげなくてはな……。
しかし……、
その乙女が期待通りの働きを本当にしてくれれば良いのだが……。
伝承と言うあやふやな物の存在を全て信じて良いのものだろうか?
今でも、時々疑問に思う……。」
シュタインベルグ司令官「我々には今はそれしか頼る物が無いからな……………。」
その時、シュタインベルグ司令官の専用回線が鳴った。
オペレーター「エマージェンシー!エマージェンシー!
正体不明の何かが地球に接近しています。未確認の影が、宇宙望遠鏡によって、捉えられました。
現在木星の軌道を通過中。
このままの速度ですと、後7日で地球に到達します。」
シュタインベルグ司令官「ついに来たか!」
猪木副指令「ああ……。」
地球防衛少女ミポリン [act.2]
明美 「まったく。政府はロクな予算もよこしゃしないわね!」
『藤島明美』
テレストリアル・デフェンス・フォースの軍事作戦指揮官。
年齢26歳。美人だが怒ると強面に変貌する。
これでも軍全体の作戦指揮を牛耳る。
正義感高く、腹の底まで不純な物は一切無い。真っ直ぐな人間でなおかつ真面目。
しかし、普段は強度の毒舌の使い手の為、そんな風には見えない。
エリーゼ「ハートフル学園の全生徒のチェックは済んだの?」
明美 「まだよ!まだ!あ~~~~~~、イラつくわ!」
明美指揮官は分厚いファイルの束をデスクの上に叩きつけた。
ダン!
エリーゼ「まあ、なんてお行儀の悪いこと!」
『エリーゼ・ミラー』
テレストリアル・デフェンス・フォースの科学顧問。
明美とは仲が良い。エリーゼは頭もキレる為、実質的には明美の片腕として参謀の役目も果たしている。明るめの金髪で、超絶な程の美人。歳は明美と同じく26歳。
明美 「まあ、なんて分厚い紙の束かしら。これがお金の束ならありがたいんだけど」
エリーゼ「今どき、札束なんて持ち歩く人いないわ。」
そう言ってエリーゼはカードを指先に挟んで見せた。
明美 「でも、この”紙”のファイルは何よ?どうしてデータでくれないのよ?今どき、こんな物……」
エリーゼ「今どきだから、”紙”の束なのよ。データなら、ハッキングされたり、持ち出されたりする危険があっていろいろセキュリティー面での対策が大変でしょ。
だから”紙”なの。
大切に扱ってね。”アイズ・オンリー”の極秘文書よ」
明美 「紙だって持ち出すのは容易いですよ。
”アイズ・オンリー”?ああ、確かにファイルの上の『極秘文書』って横に”アイズ・オンリー”って書いてあるわね。
これってどういう意味?」
エリーゼ「”アイズ・オンリー”、つまり、”見るだけ”って事。
持ち出しも、コピーを取るのも禁止。
でも普通のコピー機じゃコピー出来ない特殊用紙とインクを使ってあるの。」
明美 「はいはい。わかりました。これがそんなたいそうな物だったとは…………。
これからは心を入れ替えて大事にします。」
この2人が実質テレストリアル・デフェンス・フォースの軍の指揮を取っていた。
その紙のファイルには女子学生の個人データが書かれていた。
彼女達の性格や特記事項に目を通して行く明美。
明美 「まずは、
『吉岡 かえで』ちゃん、15歳!
[性格]
純情・親思い。
[特記事項]
夜間の学校に通い、昼は働く。
これだけ見ると”乙女”だね。この子も…。
次もそう!
『笹山 洋子』 17歳
[性格]
平和主義者・勤勉。
[特記事項]
被災地でボランティア活動経験あり。
普段の生活→真面目・質素。
これも”乙女”だね。
あーーーーー!乙女ばっかりジャン!データで見ると!
本当にこれ一人一人テストしてくわけ?私達だけで?!」
エリーゼ「ええ、そうよ」
明美「こんな仕事はどこかの男性職員にでもやらせりゃいいのよ!
そうすりゃ、給料無しでも働くわよぉ~~~!
なんで、アタシ達がこの忙しいのに女子を調べなきゃならないのよ!」
エリーゼ「男性職員に任せるワケにはいかないでしょう。
それこそ誰もここへは来なくなるわよ。”伝承の乙女”でなくともね。
今回のプロジェクトは"乙女"を発見しなくては成り立たない仕事ですもの。
これはこのプロジェクトの一番重要なパートだわ。他人には絶対任せられない!」
明美 「あーーーーーーーーーーーーー!!
それぐらいわかってるんだけどねーーーー!!聞かなくても!!
でもね!
実質はその辺の中学や高校でやってる身体検査や心理テストとなんら変わんないと思いますよーーーーーー。」
エリーゼはジロリと明美を睨んだ。
明美 「ビクッ!」
エリーゼ「それとは違います!!
この仕事をそんな低レベルの検査と混同しないでね。」
明美 「はいはい。
でも……、あーーーーーーーー、むかつく!
そうは言っても、結局は”事務”みたいな仕事じゃないの、これ!」
エリーゼは明美のこんな独りよがりのうっぷん晴らしにも慣れている。
彼女はいらだつ明美をよそに、すまし顔でファイルに目を通し始めた。
エリーゼ「急ぎましょう。
これ以上計画の進行が遅れるととてもマズい事になるわよ。
シュタインベルグ司令官も最近お怒り気味なのよ」
明美 「でもさ!怒ってもどうしようもないジャン!
怒れば”乙女”が見つかるとでも思っているのかしら?!」
エリーゼ「はいはい、グチはそこまで!さあ、仕事を始めるわよ!」
エリーゼは真剣にファイルをめくる。
エリーゼ「この子はどう?
元セイカ女子短期大学予備校2年からハートフル学園に編入。
氏名 『逢坂 ミキ』 16歳
[性格]
温和。常に弱い者を助ける。
[特記事項]
成績優秀。
生活態度勤勉。
遊びをせず、勉学だけに打ち込む少女。
普段、自ら『乙女』と名乗っている。
ハンドルネームも”乙女”。
”乙女”についてのホームページを執筆・運営。
これ、いいんじゃない?」
明美 「そうね、プロフィールだけ見ると確かに”乙女”ね。
でも、いつもそうじゃない!プロフィールでは乙女に見えるのに、実際にあの”メタモルフォーゼ”にかけてみると……。」
エリーゼは明美の言う事を軽く聞き流し、極秘のファイルをパラパラとめくりながら、
エリーゼ「他にもいい人が何人か見つかったわ!!」
明美 「ああそう…。じゃあ”さっきのと”いっしょに集めて!5人ばかり。すぐテストするから!」
エリーゼ「はいはい」
地球防衛少女ミポリン [act.3]
テレストリアル・デフェンス・フォースは地下に広大な秘密基地を持っていた。
それは都心にあるビル群の真下に位置していた。点在する分岐の基地施設等を含めるとかなりの広範囲に展開していた。
そして、その地下にある研究室に清純そのものといった若い5人の少女が集められた。
もちろん、特別なヘルメットで目隠しをされたままこの基地に搬送され来たのだ。
少女達は、ここがどこか、いったい何をする所なのか、いっさい知らされていなかった。
『F-2355』
ここは”遺跡マシンの部屋”とあだ名された実験室。
正式名称は「メタモルフォーゼルーム」
地下に建造された空間の中でも一際大きな実験室だった。
長さ70メートル、幅40メートルの床面積に加えて、高さが60メートルほどもある長方形型の大きなスペース。
その最上部付近の側面の壁に研究者達が入る「モニタールーム」と呼ばれる部屋があった。
呼ばれて来た5人の少女達は、このモニタールームの横の控え室に入れられていた。
そしてその内の1人が、何かアイドル歌手が着るような服を着さされて、エレベーターで下に下された。
着いた先は、その実験室の一番底部。大きな船底型で、左右に高さ3メートルほどのスロープがせり上がっている場所だった。そのスロープの色は不気味な鈍い銅色。
少女にとって、ここはこれまでの人生で一度も見た事も聞いた事も無い場所だった。また、何に利用する所かも見当がつかなかった。
実は、先ほどの上部にあるモニタールームから見るとわかるのだが、この窪みは”人型”に掘られていた。
身長45メートルの巨人がいたとすると、ちょうどいい感じにこの窪みにすっぽりと収まる。
だが、その窪みの底の立たされているこの少女は、この位置からではスロープが大きすぎて、窪みが人型である事さえわからなかったのだ。
エリーゼが、よく響く少々耳障りなスピーカーで少女に呼びかけた。
明美 「被験者NO.1 ”逢坂 ミキ”。
その窪地の中心部まで歩きなさい。」
少女は言われた通り、真ん中に向かって歩いた。
そこは”人型の真ん中”辺りで、そこから枝葉のように窪みが分岐しているのが見えた。
少女はそれが”腕・足・首”の分岐だとは気付かなかった。
ここは彼女にとってただただ恐ろしい場所にすぎなかった。
明美 「では、そこの床に寝なさい!」
床には黄色くペイントされた自分の身長とほぼ同じくらいの”少女”の形のシルエットが描かれてあった。それはなんとも不思議な感じがした。
「……………………。」
可哀想に彼女はこれから起こる事については何も聞かされていない。
その為、ブルブル震えていた。
明美 「なにしてるの?!後がつかえているのよ!早く床に寝なさい!」
明美が怒鳴った。
ワケも聞かされず、なにやら得体の知れない実験室に送り込まれ、恐怖感を隠し切れない。
「あの?えーーーと、これからここでいったい何をするのでしょうか?」
明美 「そこに寝るのよ!はやく!!」
有無を言わせぬ明美の声。
急かされて仕方なく床に寝る少女。全身の小刻みな痙攣が止まらない。
天井からは見た事も無い大きなマシンが垂れ下がっていた。
「あの機械は何ですか?」
少女はおそるおそる質問した。
それは巨大で複雑な機械の塊とそれに絡まる無数のコードから成り立っていた。建築現場にでもおいてありそうな雰囲気だった。
明美 「なんでもいいじゃない!!!」
明美は少女の質問を無視した。
明美とエリーゼは大型モニター画面の「チューニングメーター」という表示に目をやった。
明美 「まだ反応無しか………。」
エリーゼ「ピクリとも動かないわね。」
これは同調指数を指し示すメーター。これが100パーセントに達すれば、奇跡が起こると言われている。
それは”戦いの女神の降臨”を意味した。
エリーゼは今や表紙がしわくちゃになった紙のファイルを手にした。
そして、マイクに向かって喋り始めた。
エリーゼ「いいわね。今から私がする質問に正直に答えるのよ」
少女は首をコクコクと動かして返事をした。
それはまるでオオカミに囲まれた羊の姿だった………。
地球防衛少女ミポリン [act.4]
数日後……。
明美とエリーゼは基地内の明美のプライベートルームで昼食のお弁当を食べていた。
明美 「やっぱ、”弁当屋ミポリン”のお弁当は違うわねーーーーー!!
これを食べている時だけ、”生きてる”って事を実感するわーーー」
エリーゼ「まったくもう!貴方って人は!
でも、確かにここのお弁当はいつも美味しいわね。この値段で、よくやるわねーー。感心するわ。」
明美 「この弁当屋の娘は本当にお弁当に命をかけているからね」
そう言って明美は嬉しそうにお弁当をかみ締めた。
エリーゼ「ところで………、この間検査した子達……、どの子もチューニングメーターに思うような反応は出なかったわ。
それで、あの子達は皆帰したわ。」
明美 「それにしても、例え”戦いの女神化”が出来たとしても、あんなレモンちゃん達にいったい何が出来るって言うの!
例え”ビクトリー・メイデン・ガール”に選ばれたとしても、満足に銃も撃てないんじゃ話になんないわよ!!」
エリーゼ「仕方ないじゃない!彼女達は”ただの中学・高校生”なのよ。
パソコンのマウスは握れても、銃のグリップは握れないわ。
そんな事より、まず本物”ビクトリー・メイデン・ガール”の媒体”伝承の乙女”を見つけなくては。話はそれからよ。」
明美 「今日も5人試したけど、全てチューニング(同調)には失敗したわね。」
エリーゼ「これでこれまでの被験者は合計155名ね。
さすがに疲れたわ。
これでもうハートフル学園の全員をテストした事になるわ。
………計画は絶望的ね。」
明美 「あーーーーーーーーー、もう!
いないのよ!!”本当の乙女”なんて!!!
今どきの女の子なんて、乙女の”お”の字も”め”の字も持って無いわよ!!
だいたい今の若い子が本当に親を尊敬してると思う?
”親も親なら、子も子”というのが現代の家族の構図なのよ!
お金を得るためだけに社会に出て、そして出世欲に燃えて、
他人に嘘を付き、自分だけのし上がろうとする!
今はそんな社会になってるのよ。
そんな中で、1人だけマジメに乙女なんぞやってる少女がいると思う?」
エリーゼ「いないか……」
シュタインベルグ司令官「ゼウスの接近はすぐそこまで迫った。
”新自衛隊”が放った迎撃用の大型反応兵器は期待された効果が無かった
ようだ。
後は………、
”ビクトリー・メイデン・ガール”計画を急がねばなるまい」
猪木副指令「私はもっと早く見つかると思っていたよ。
”乙女”などその辺にいくらでもいるように見えた。
ずいぶん前に、エルサット聖歌女子高の特別講義に行ったが、あそこには乙女と思える少女がたくさんいた。
皆、目がキラキラと輝き、未来を夢見ているような女子学生ばかりだった。」
シュタインベルグ司令官「確かに、我々男性から見ると彼女らは”乙女”のイメージそのままなのかも知れない。
しかし、実際にはあの遺跡マシンの”メタモルフォーゼ”は彼女達を乙女とは認識しなかった。
我々男性の目はフシ穴かも知れん。本当の乙女を見分けられていないのではないか?
いや、それとも………、
あの機械が求めているのは純粋な乙女ではなく、もっと違う何かかも知れない。」
猪木副指令「とにかく、その件に件については、明美君とエリーゼ君の報告を待とう。
特にエリーゼ君は何かをつかんでいると思うから。」
地球防衛少女ミポリン [act.5]
明美は分厚い被験者ファイルで、軽く汗をかいた自分の顔を仰ぎ始めた。
明美 「今どき、純粋な”乙女”を探そうっていう方が
どだい”ムボーーーーーーーーーーーーーーーー”なのよ!!」
エリーゼ「ふぅ、
乙女さえ見つかれば……、あのゼウスに打ち勝つ可能性があると言うのに…………。」
明美 「でもさ、ホントに勝てんの?あの化け物に。
アタシはあの伝承を全て信じたってワケじゃないわ!
伝承って言ったって、全てがトロイの木馬のように真実じゃないと思うの。中には嘘やまやかしの物だってあるわ。
アタシ達はあのでっかいオーパーツ(その時代にはありえない物)を掘り当てた事に浮かれて、そう思い込んでいるだけじゃないの?
それに”乙女”なんて、いったいどこにいるのよ?
いまどき、”やまとなでしこ”みたいな人がいるってぇの?
その伝承が作られた時代には”わんさか”いたかもしんないけどさーーー。」
エリーゼ「いいえ、あのオーパーツを調べたけど……、確かに適切な媒体があれば効果が出るシステムになっていたわ。”理論的には”だけど。」
明美 「へーーーー!そうなの?!
科学者のアンタが言うんだから、その点はいいとして………。
じゃあさ?アタシはどう?
”清純にして正義感のある乙女”!
アタシなら言われている乙女のイメージにぴったり!
そう歳もくってないしさ!
どう?”乙女判定機”にかけてみない?!!」
エリーゼ「貴方は確かに”正義感だけは”ダントツで高いけど……、どっちかって言うと乙女と言うより……、北欧神話の”バルキリー”ね」
明美 「”正義感だけは”?」
エリーゼ「それに、なぜか伝承には
”乙女とは清く正しい者で無くてはならない。”
そして、
”それはまた美の女神・ビーナスのように美しい者。”
とされているのよ。」
明美 「だったら!!!それってモロアタシじゃん!」
エリーゼ「あら、そうかしら………………?」
明美 「あーーーーーーーーーーーー!!!!
それってどういう意味?!今の言葉訂正して!」
ビーーーーーーーーーーーーーーーー!!ビーーーーーーーーーーーーーーーー!!
基地内に警報が鳴り響いた。
オペレーター由紀「エマージェンシー!エマージェンシー!
大気圏突入を果たした”ゼウス”が、洋上からこの都市に向かって接近中。
速度、時速130キロメートル!」
明美 「仕事だわ!」
エリーゼ「そうみたいね」
シュタインベルグ司令官「敵がその姿を現した!」
基地内の大型スクリーンに生命体ゼウスの姿が映った。
それは人型とヒトデ型を合わせたような形態。
体表はシャチのそれに似て、真っ黒でぶ厚い表皮を持つ。
地球上のどんな生物にも似ていないその姿は、まさに化け物のイメージそのものだった。
明美とエリーゼは作戦本部に上がる為、高速エレベーターに飛び乗った。
明美は手持ちのノートパソコンを開いて、着くまでの間、そこから作戦指揮を取り始めた。
明美 「迎撃戦闘機は通常装備のAタイプを出して。まずはそれで軽く時間稼ぎをしてちょうだい!よろしく!
でも、あまり敵に接近しすぎないようにね。すぐにやられるわよ!」
パイロットリーダー「ラジャー!」
民間の洋上空港に隠されていた迎撃戦闘機が飛び立った。その数実に30機。
エリーゼ「新自衛隊の反応兵器が役に立たなかった相手に、それは無駄かもよ」
明美 「やってみなくちゃわからんでしょうが!!!
新自衛隊が攻撃したのは宇宙空間。大気のある場所とは違うのよ。今とは条件が違うわ!
それに見た目効いていなくても、案外最初のパンチってのは効いてる事もあるのよ。
ボクシングの試合でも、相手が倒れるかフラつくまで、それはわからないでしょ?
あと、一回攻撃すれば勝てるかも知れないわよ!」
エリーゼ「……まあ、ここは貴方の判断に任せた方がよさそうね。」
明美 「まずは通常弾を使ってみて!」
パイロットリーダー「ラジャー!こちら迎撃機、ターゲットを目視で確認!ターゲットロックオン。空対空ミサイル発射!」
無数のミサイルが白い軌跡を残しながら、一直線にターゲット目掛けて飛んで行った。
明美 「行けえーーーーーーーーーーー!!!」
しかしミサイルはゼウスの巨体に命中したものの………。
爆発の煙が引いても生命体の体にはあまり深い傷は付いていなかった。
エリーゼ「”効いてる”……とは言いがたいわね。」
明美 「まだまだこれからよ!続いて500キロ爆弾を投下!」
パイロット「ラジャー!爆弾投下!」
かなりの数の爆弾が生命体に命中!
海面上に一瞬クレーターが出来、その後大きな水柱が生命体を包んだ。
しかし……、その水しぶきの中から再び現れた生命体はまだ元気な様子だった。
エリーゼ「これも、効果が薄いわね。ついに敵は上陸したようだわ。」
明美 「次!戦闘ヘリコプター前へ!」
明美が叫ぶ。
大型のミサイルを腹に1本抱きかかえた戦闘ヘリが生命体に迫り、ミサイルを放った。
今度もかなり大きな爆発がした。
辺りには爆発による不気味な黒煙の雲が天高く上がる。
しかし………………。
生命体はその新しく出来たクレーターの中から這い出して来た。
少しヨロヨロとしているが…………、まだ進撃の手は緩めない。
その後生命体は都市のビルを破壊して歩いた。まるで雪かき車が通るように、辺りのビルを次々と崩して行く。
その頃、明美とエリーゼはやっと作戦室に着いた。
地球防衛少女ミポリン [act.6]
シュタインベルグ司令官「通常攻撃は効かないようだな…。
エリーゼ君!
”ビクトリー・メイデン・ガール”の方はどうなっている?」
エリーゼ「それが……、まだこれといった被験者が見つかっていません。」
シュタインベルグ司令官「なんだって?まだ見つからないのか?とにかく少しでも使える可能性のある被験者を出撃させてみろ!」
エリーゼ「いえ、それが……、1人も適合者は見つかっていなんです!」
猪木副指令「1人もだと?!”ハートフル学園”には155名の”乙女”を集めた筈だが…。
1人も見つからなかったと言うのか?」
エリーゼ「はい。ほとんどの人はチューニングメーターに何の反応も示しませんでした。
反応が出た人でも、0.1パーセント程度の同調しか得られません。
もちろん”メタモルフォーゼ”には何の変化も見られませんでした」
シュタインベルグ司令官「……失敗か?!」
猪木副指令「じゃあ、あれだけの予算を投じたのは何だったのだ?!!
毎回、国防予算の半分をつぎ込んでいるんだぞ!
特にあの”遺跡マシン”の復元にはかなりの手間と予算を注いだというのに!」
シュタインベルグ司令官「”ビクトリー・メイデン・ガール”がいないのであれば……、全てが無駄に終わったと言う事だ。」
猪木副官「伝承は伝承に過ぎなかった!!
我々にも責任が無いとは言い切れない!我々は伝承を信じすぎた!!
確かに、”純真な心を持つ乙女が世界を救う”とはいかにも綺麗なお話だ。
だが、やはりそれは空想や小説の中だけのおとぎ話に過ぎん!」
シュタインベルグ司令官「そんな事はない。
伝承の検証は確かだった。
伝承を信じたからこそ、あの遺跡マシン”メタモルフォーゼ”を見つける事が出来たのだ。
ただ我々には……、”伝承の乙女”の発見が間に合わなかったという事だ。」
猪木副指令「やはり”乙女”とは、あの古き良き時代にのみ存在したものだよ。今の時代にそれを求めるのは困難だったのだ!」
スクリーンの向こうでは、かなりのビルが破壊されていた。生命体ゼウスは圧倒的なパワーを見せつけ、都市を蹂躙していく。
明美 「かなり破壊されてるわね。放って置いたら、その内この都市も消えて無くなるわ!」
オペレーター 由紀「司令官!間もなくこの真上付近も戦闘区域になります!」
明美 「逃げ遅れた人達を避難施設やシェルターに誘導するのよ!」
こうして、都市に放送が流され、逃げ遅れた人達が地下のシェルターへと急いだ。
シュタインベルグ司令官「もう、どうする事もできんな。ヤツを止めようがない。
都市はガレキとなり、火災がいたる所で発生している。」
明美はモニターに向かって叫ぶ。
明美 「避難誘導を急いで!最優先で!」
シュタインベルグ司令官「もはや有効な攻撃手段は無いか………。」
地球防衛少女ミポリン [act.7]
と、そこへ、作戦室の扉が開いて、弁当屋の娘「美穂」が現れた。
シーパンにエプロン姿、頭にはスカーフを巻き、長い髪は束ねて後に流していた。
顔は綺麗だが、仕事着のエプロンを身にまとったその姿は”田舎娘”といった感じがありありと出ていた。
そのエプロンの胸元のポケットには、明るい感じで「弁当屋ミポリン」と大きくロゴが入っていた。
美穂 「お待たせしましたぁーーーー、皆さん!
”弁当屋ミポリン”、頼まれたお弁当を配達にあがりましたぁーーーー!
今日はちょっと遅れてしまって申し訳ありません!」
エリーゼとシュタインベルグ司令官は”ほかほか弁当ミポリン”の看板娘の進入に驚く。
なんと言っても彼女は平時の時の口調そのままなのだ。
エリーゼ「あら、美穂さん…………………。よく来てくれたわね。また配達?熱心ね。
でも今は”作戦中”よ!どうして作戦中なのに基地に入れたの?」
美穂 「あっ!エリーゼお姉様v こんにちは!
いえ、いつもいる検問の人達は出払ったみたいです。
誰もいませんでした。
なので、そのまま入ってきちゃいましたぁーーーーーーーーー!!」
明美は顔を片手で覆う。
明美 「あちゃーーーーー!何してるんだよ?!警備の連中は?!」
美穂 「入り口辺りの建物が崩れてましたけど。
その他にも街のあちこちが崩れててーーーー、今日はそれで遅くなったんですーーーー。」
明美 「アンタ、あのガレキの都市の中を、たかだかお弁当届けるためによく来るなあ……。」
美穂 「ええ、まあ、それが私のお仕事ですから。
それより、ご注文の品持って参りましたぁーーーー!!!!
えーーーと、
エリーゼお姉様は”ベジタブル弁当”ご飯少な目。
明美さんは”ボリュームトンカツ弁当の特盛、アンドめんたいこトッピング”。
猪木さんは”日替わり幕の内弁当、アンド海苔のトッピング”。
シュタインベルグさんは”期間限定豪華デラックスすきやき弁当・卵付き”ですね。
後はオペレーターの方々の”とんかつアンドハンバーグ弁当”と。
それと、パイロットのラルフさんは……………、”ミポリン特製愛情弁当”ですね!」
明美 「げっ!」
作戦室にいた者達は、この”1人だけテンションの違う少女美穂”についていけない。
明美は冷めた目付きになりながら言った。
明美 「”ミポリン特製愛情弁当”って………、アンタがラルフの兄ちゃんの為に作ったお弁当なの?」
エリーゼ「ちょっと明美!今はそんな事聞いてる場合じゃないでしょ!!!」
美穂 「いえ、あのう……。
うちのお店で出すお弁当はいつも私が作ってますよ。
全ての物を作ってるわけじゃないですが、お弁当の容器におかずを詰めるのは主に私の役目です。
やだあ、明美さん!
”ミポリン特製愛情弁当”って、ただの商品名ですよ。
私がプライベートで作ってあげたお弁当じゃないですよ!」
明美は”さらに”冷めた目付きになりながらこう言った。
「ふぅーーーーーー!安心した!
ラルフのヤロウが恋をするなんざ10早い。
ところで”ミポリン特製愛情弁当”っていったいどんな弁当なの?
やけに暑苦しい名前じゃないか?
で、気になるそのお弁当の中身は?」
美穂 「えーーーーーと、オムライスです。
んでもって、そこにケチャップで”LOVE・LOVE”と書いてあるんです。」
明美 「”LOVE・LOVE”?!!!
プーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
くくく!あははははは!!!
で、ラルフの兄ちゃんは毎日をそれを頼んでるの?」
美穂 「ええ、ここのところ毎日ですね!
でも最近私は配達で忙しいので、”LOVE・LOVE”と書くのはいつもうちのお母さんがやってます。」
ポン!
明美は美穂の肩に手を置きながら言った。
明美 「それでいい。
あそこまで血気盛んな若者には”オバちゃんの手作り弁当”で充分だよ。
あっ、ラルフの兄ちゃんにはその事は口が裂けても言うなよ。売り上げに影響するぞ!」
エリーゼ「明美!もうそれぐらいにしたら!早くこの民間人の女の子を帰してあげなさいよ!
今は作戦進行中よ!作戦中は民間人はここに入れてはいけない規則でしょ!」
明美 「帰すたって、いったいどこに帰すのよ?!」
明美は大スクリーンを指差した。
エリーゼ「外へ出るのはもう危険だわ!
じゃあ、この基地内のシェルターに入ってもらいましょう。」
画面ではあの生命体が大型ビルを破壊して、隣の駅ビルに向かって歩き始めた所だった。
辺りの火災は酷くなる一方だ。
美穂 「きゃーーーーー!!!すごい!
なんですか、あの怪獣は?!初めて見ました!
こんなのがノッシノッシと歩く時代になったんですねぇ。
すごい3DCGですねぇ!」
明美 「”本物”だよ。」
美穂 「え?」
明美 「本物だっつってんの!」
美穂は唇に指をそえながら、まじまじと大型スクリーンを見る。
美穂 「へーーーーーーーーーーーーーーーー!!
するとーーーーー、
世界のどこかでは今こんな事が起こっているんですねぇーーーー。」
明美 「”世界のどこかぁ”?」
美穂 「この間外国で起こった洪水や地震の自然災害も怖かったですねぇ。
ニュースで観ました。
日本もそうなると大変ですねぇーーーーー。」
明美は無言で、生命体の足元で潰れたお城を指差した。
美穂 「うわーーーーーー!日本の大阪城そっくりのお城ですねぇ。いったいあそこはどこの国ですか?」
明美 「まだわかんないの?この”世間知らず少女・周り見えてへん少女”が!!」
美穂 「まーーーーーー!失礼な言い方ですね!
でも、わかりません!
今、私、学校行ってないし、仕事忙しいから、社会の出来事にウトいんです。
学校は行きたいと思ってるんですけど、家計が苦しいので行けないんですよーーーー!
それに仕事や家事で忙しいしーーーーー!うちはお母さんと2人暮らしですからーーー。」
明美 「いいか!弁当屋アルバイトの”ミポリン”!よくお聞き!
そんな話をしてるんじゃないわ!
あれは”大阪城”!!!
んでもって、この映像は、このすぐ真上の地上で起こっている出来事よ!!」
美穂 「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー???!!!」
美穂の大きな瞳がさらに大きく開かれた。
続きます。
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