BLUE ODYSSEY

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第3話 消えたアンナ act.51~55



スポルティー・ファイブ 第3話 消えたアンナ [act.51]





豪 「ミサイルは全弾使い切りました!」

ザークから発射された弾がスポルティーファイブのシールドに命中した。

ドガドガドガドガ!!

神田 「うわあ、アンナちゃん!」

豪 「クリス君!」

クリス「わかってる!機体が傷付けば、ゲートを通り抜けられなくなる……。」

豪 「シールドはだんだん弱まってきました…。」

クリスはアンナに後どのくらいで計算が終了するのか聞きたかったが……、それは止めた。
アンナの集中力を欠いてしまいそうだったからである。






そこへアンナからクリスへ通信が入った。

アンナ「”空間プログラム弾”が必要です。
そこに計算式と空間座標を転送します。

でも、その前に今から指定する座標に向かって通常弾を発射してください。」

クリス「わかった!」

クリスはザークからのミサイルを避けつつ、アンナが指定した座標にライフルを向けた。
そこは何でも無いただの空間だったが、クリスは言われた通りにそこを射撃した。

ガガガガガガガガガガ!






ドガドガドガドガドガドガ!

その時、再び放たれた敵ミサイルがスポルティーファイブに命中。
機体の周りに張られていた防御シールドが大きく歪んだ。一瞬消えそうになるシールド。

神田 「そんな!」

すると……、
空間上に何かひずみのような物が現れて消えた。

クリス「あれは?」

アンナ「特異点の一つです。あそこからなら元の世界へ帰れます。」

クリス「よし、わかった。」

神田 「ホンマに大丈夫かいな?ひとつ間違ったら終わりやで。」

クリス「それしか帰る方法が無いんだ。
アンナ、分離して一機づつ飛び込んだ方がいいのか?」

アンナ 「小川さんが意識ありません。分離しない方がいいと思います。」

クリス「わかった。ではどうやって飛び込めばいい?具体的な方法を指示してくれ。」

アンナ「もう少しで、空間プログラム弾への数値入力が終わります。
しばらく待ってください。」



バババババババ!



なおも敵ミサイルがスポルティーファイブのシールドに命中する。

豪 「シールドはもうもたないかも?!」

神田 「早よしてや!アンナちゃ~~~~~~~ん!!」






スポルティー・ファイブ 第3話 消えたアンナ [act.52]



カシャ、カシャ、カシャ、カシャ……。

アンナ「終わりました。」

神田 「よっしゃーーーーーーーーーー!さすが俺のアンナちゃんや!」

豪 「おっ、”俺の”?」

クリス「豪君!空間プログラム弾の発射を頼む!」

豪 「わかった。」

アンナ「照準計算終了!」

豪 「サンキュー!発射準備完了だ!」

クリス「よし、発射する!」

クリスはトリガーボタンを押した。
ライフルの射撃が行われ、さっきの空間の色が少し変化し始めた。

神田 「なんだ……?」

クリス「反応があった!」

アンナ「スポルティーファイブのシールドに少し変更を試みます。
機体をそのまま目標の座標に向かって飛ばせてください。」

それだけ言うとアンナはまた凄いスピードでキーボードを叩いた。

神田 「すっげーーーーーーーー!やっぱ”俺の彼女”のアンナちゃんや!」

豪 「”彼女”?」

アンナ「完了しました。シールドを展開したまま進入してください。」

クリス「よし!行くぞ!」

クリスは委員長の健康状態のモニターに目をやるが……、やはり意識は無いようである。

クリス「突入する。皆、不慮の事態に備えてくれ。」

神田・豪・アンナ 「了解!」

目の前に不気味に波打つ空間が迫った。
それはまるで渦潮の波に見える。
その空間の歪にクリス達は突っ込んで行った……。












 その頃、レッドノアはアンナが探索したという街から、少し離れた空間上に浮かんで待機していた。
郷田指令はキャプテンシートに深く腰を落としたままだった。

郷田指令「……反応は無いか?」

オペレーター「何もありません。」

郷田指令「矢樹博士!大丈夫なのだろうか?」

矢樹は街並を見下ろすフカン映像に見入っていた。

矢樹 「待つしかあるまい。
彼らが戻って来る時には、おそらくレイド出現時のように空間の歪みが起こる筈だ。」

郷田指令「オペレーター!わずかな歪も見逃すな!」

オペレーター「はい!」

矢樹 「結局…、向こうの世界には通信は届かなかった。
後はアンナがデータを元に脱出させてくれる事を祈るのみだ。」

郷田指令「いったいどれくらいの成功率があるのだ?その脱出方法には?」

矢樹はいつものマッドサイエンティストの表情になり、小さく笑った。

矢樹 「フッ、聞かない方がいいだろう……。」

郷田指令「なに?!」







スポルティー・ファイブ 第3話 消えたアンナ [act.53]


その時、急に時空レーダーに反応があった。

オペレーター「何かの歪みの反応が空間上に現れました!」

さっと矢樹の顔色が変わる。

矢樹 「どこだ?!」

オペレーター「すぐ近くです。映像モニターに回します。」

さっき、矢樹が見つめていたこの街のフカン映像が拡大された。
空間に水面の波紋のような歪が現れた。そしてそれは薄いブルーから淡い紫色へと変化した。

郷田指令「スポルティーファイブが帰って来たか?」

オペレーター「何か出て来ます。レイドでしょうか?」

矢樹 「その可能性もある。注意しろ!」

そこから出て来たのは……、やはりレイドだった。

郷田指令「何?!」

矢樹 「攻撃準備だ!」

オペレーター「わかりました!」





ザーク向かってミサイルを発射するレッドノア。

郷田指令「外れたミサイルは空中で直ちに爆破するんだ。
街の上での戦闘だぞ!注意しろ!
オペレーター!街に避難勧告を!」

オペレーター「はい!」

ナターシャ「郷田指令!もう一箇所、空間に歪の反応があります!」

郷田指令「なに?」

オペレーター「ザークがそっちの方を向いています。」

矢樹 「今だ!ザークを集中攻撃するんだ!」

郷田指令「機銃は使うなよ。ミサイルだけだそ!」

矢樹 「そんな事を言っていては手遅れになるぞ。」






その時、歪んだ空間から何かが現れた。

ナターシャ「スポルティーファイブだわ!」

郷田指令「よし!」

矢樹はすぐにスポルティーファイブに通信したが応答は無かった。
スポルティーファイブの機体は動きが鈍かった。

ザークはそのスポルティーファイブ目掛けて突進した。そして攻撃を始めた。

矢樹 「スポルティーファイブ!応答しろ!ザークが向かっているぞ!」

郷田指令「パイロットの意識は?」

ナターシャ「不明です。まだモニターには何の反応もありません。」

郷田指令「レッドノア緊急加速!スポルティーファイブとザークの間に割って入れ!」

命令を受けて、緊急発進するレッドノア。

矢樹 「間に合わない。」






スポルティー・ファイブ 第3話 消えたアンナ [act.54]


その時、スポルティーファイブは動き始めた。
素早くライフルを構える。
そしてクリスからレッドノアに通信が入った。

クリス 「空間プログラム弾の発射許可を願います。」

郷田指令「無事だったか!よし、すぐに発射しろ!」

ちょうど正面に突っ込んで来たザークに向かって空間プログラム弾が発射された。

弾は命中!

爆発が起こり、ザークは苦しそうにもがきながら歪んだ空間に吸い込まれて行った。

矢樹 「クリス!その場を離れろ!巻き込まれるぞ!」

クリスはスロットルレバーを引き、後部のブースターを全力噴射した。
そのおかげでスポルティーファイブはその地点から離脱に成功した。

オペレーター「ザーク消滅しました!反応が消えました。」

郷田指令「やったぞ!」

オペレーションルームは歓喜に包まれた。











神田 「フーーーーー!それにしても間一髪やったな!巻き込まれたら大変やったで。」

豪 「レイドもなかなかやりますね。向こうの世界からこっちまで追って来るとは。」

クリス「ああ、そうだね。レイドもそれは自由に出来るらしい。」







クリスはアンナに呼びかけた。

クリス「アンナ、大丈夫か?」

アンナ「ええ。」

アンナは元気そうだった。その瞳にはいつもの生気が戻っていた。
クリスは今度は委員長のモニターに目をやる。そちらはまだ気絶していた。






スポルティー・ファイブ 第3話 消えたアンナ [act.55]


その時、郷田指令から通信が入った。

郷田指令「皆、大丈夫か?!小川君はどうした?」

クリス「気絶しています。でもおそらく無事です。アンナの救出にも成功しました。」

モニターに映ったアンナの映像を見て、矢樹は腕を組んで満足そうに微笑んだ。

矢樹 「よくやった!」

郷田指令「ではスポルティーファイブの諸君、直ちに帰艦せよ。君達を待っている!」

クリス「了解!」










着艦後、委員長は直ちにメディカルセンターに運ばれた。
疲労が激しいと診断されたアンナもそこにあるベッドに寝かされた。
委員長はまだ意識が戻らない。

入った病室では他の患者はおらず、アンナと委員長だけが寝ていた。
神田はそこに空きのベットがあるのを見て、

神田 「なんや俺も疲労が激しいで。いっしょにここに寝たいんだが?」

と、言った。

豪 「ここは女性用の部屋です。」

そこへ若い美人のナースが現れた。

神田 「(どひょーーーーーーー!!!!こっ、こんなかわいい女の子がここにいたとは!!!)

すいません、”看護婦”さん、俺もここのベッドで寝たいんですが?」

ナース「はあ?どこがお悪いのですか?」

神田 「”過労”です。」

豪 「プーーーーーーーーーーーー!」

神田 「なんや?!何を噴出しよるんや!」

神田はいつものように騒ぎ始めた。
クリスはそれは放っておいて、アンナに話かけた。

クリス「君が無事で良かった。」

アンナは一度目蓋を閉じて、それに答えた。

アンナ「ありがとう、来てくれて。命を助けられたわ。」

クリス「いや、そんな。でも、君が行方不明になったらまた助けに行くよ。」

アンナは少し微笑んだように見えた。



そして……、



アンナ「私がこの世界に持って無いのは”家族”だけ。」

クリス「ああ、向こうの世界にいたあの人は君のお母さんかも知れないね。」

アンナ「会いたい。いつか会って話がしたい。」

クリス「きっと会えるよ。
向こうの世界にも”アンナ”がいてお母さんをもっていた。
と、いう事はこっちに世界のどこかに君のお母さんがいるかも知れないって事だよね?
またいっしょに探そう。手伝うよ。」

アンナ「ええ。でも、まずは少しづつ自分で探す事にするわ。もう皆に迷惑かけられないから。」

クリス「そうか。でも、迷惑ならいつかけていいんだよ。」

またアンナが少し微笑んだように見えた。



アンナ「向こうの世界へ戻りたい。」

クリス「あんな危険な目にあっても?」

アンナ「ええ。」

クリス「でも、もう勝手に1人で行っては駄目だよ。」








神田が豪に追われてクリスとアンナの間に割って入って来た。

神田 「アンナちゃん、俺も疲労気味だよね?!隣のベッド使っていいよね?」

豪 「駄目です!さあ、自室に戻りましょう!」

神田 「扱いが違うぞ!どうして俺には誰も優しくしてくれないんだ?!!!」






神田があまりに騒ぐので、クリスは寝ている委員長の方を見た。
でも彼女はまだ意識が無いのか、クリスの方に背中を向けて寝ていた。


















THE END


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