BLUE ODYSSEY

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特別編 『アリスの大豪邸』 



第1部
http://plaza.rakuten.co.jp/blueodyssey2/diary/200912280000/

第2部 ACT.42
http://plaza.rakuten.co.jp/blueodyssey2/diary/201002070000/

第3部 ACT.115 黄色いワーゲン編
http://plaza.rakuten.co.jp/blueodyssey2/diary/201004200000/

第4部 ACT.136 お屋敷の中へ!
http://plaza.rakuten.co.jp/blueodyssey2/diary/201005110000/





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.1







『アリスの大豪邸』








これはワンダーランドでのお話です。



ある日の事でした。
アリスたちは近所の[『リサイクルショップ』へ買い物に行く事にしました。
本日はウサギさんがお休みなのでウサギさんの案内でリサイクルショップに行くのです。
やがて大きなリサイクルショップの店舗が見えてきました。

ミルキー「アリスタン、リサイクルショップはいいの?」

アリス「リサイクルショップは安く物が買えます。安い物は良いですね。」

ミルキー「安い物はいいの?」

アリス「高額な物を買ってもしかたありません。安い物でも充分使えますから。
高い物でも安い物でも使ってみるとけっきょく同じ事が多いです。」




お店には大きな看板が出ていました。


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リサイクルショップ『夢の国』




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ニセアリス「ヘン!何が”夢の国”だ?!」

無理矢理ついて来ていたニセアリスがはきすてるように言いました。

アリス「……………………。」

店内に入るといろんな物が置いてました。大型の商品も置かれています。
家具がいろいろ売っていました。食器棚にタンス。テーブルにイス。本棚。みんな”中古品”です。

アリス「まあ、家具がこんなにお安いなんて!」

アリスの顔がほころびました。
タンスは10000ゴールドぐらい。食器棚もそれぐらいです。
豪華な木製の装飾された食器棚でもそれぐらいの値段で買えるのです。
確かに傷や汚れがあり、新品のようにはいきませんが、それでも少しそれらをガマンすればお安いです。

アリス「いいですね。」

その中の一つが目に止まりました。

アリス「まあ!」

それは比較的小型のタンスです。比較的小形と言いましてもタンスですから大きな物です。大人の人間ほどの背丈と同じ高さがあります。
アリスは値札を見てみました。すると、「300ゴールド」と書かれていました。

アリス「まあ、このお値段は間違いでしょうか?」

ウサギ「これは、『ジャンク品』と書かれていますね。
傷が多いです。側面にも大きな傷があります。
あっ、『取っ手が付いてない』と書かれています。これは修理しなくてはなりません。」

アリス「でも、お安いですね。」

ミルキー「アリスタン、こんなに大きなタンスが本当に300ゴールドなの?」

ニセアリス「100ゴールド均一ショップでも300ゴールドの品は売っている。言ってみればそれと同じだな。」

ミルキー「本当に300ゴールドで買えるの?」

ウサギ「でも”運送”も考えなくてはなりません。運送代は8000ゴールドです。」

アリス「8000ゴールドですか?!」

ウサギ「まあ家具の輸送費はだいたい高いです。大きな物ですから。」

それでアリスはそのタンスを諦めることにしました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.2


ウサギ「でも、本当にいろんな物が売っていますねえ。」

ウサギさんは店内を見回しました。
「大型の室内用の電灯」「大型の室内用装飾品の数々」「大きなソファー」。どれも大きな物です。
大型の「クレーンゲーム機」も売っていました。
ゲームセンターに置いている物です。ミルキーが好きなマシンです。
それを見つけたミルキーがさっそく、

ミルキー「ねえねえ、アリスタン、あれ買って!」

と、とても大きなクレーンゲームを指さしました。

アリス「こんな大きな物お家の中に入りません。」

ミルキー「これ買って!
うえ~~~~~~~~ん!!うえ~~~~~~~~ん!」

アリス「はあ~~~~~。」




とても大きな船が売っていました。もとは遊具か何かのようです。

ニセアリス「これを買うぞ!」

アリス「いけません!こんな大きな物置いておく所がありません。」

ニセアリスは店員に向かって

ニセアリス「このジャンク品を買うぞ!」と言いました。

アリスはそれをなんとか制止しました。

ニセアリス「なんでだよ?思いっきり安いじゃん!!たった3000ゴールドだよ!」

アリス「そういう問題ではありません。あんな大きな物置いておく所がありませんから。」

ニセアリス「安いからいいじゃん!」

アリス「ですから、あんな大きな物はお家には置いておけません!
お家はせまいのですよ!」

ニセアリス「じゃあ、”大きな家”を買おう!それならいいだろう?」

アリス「はあ?」

ニセアリス「おい、店員!」

ニセアリスは大きな声で店員を呼び付けました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.3


店員の猫「はいはい、なにかご用でしょうか?お客様。」

店員の猫が近づいてきました。大きな猫です。毛並みは三毛猫でした。
お店のロゴマークが入ったエプロンを着けていました。

ニセアリス「”デッカイ家”は売っているか?」

単刀直入にニセアリスが聞いたので、アリスは思わず恥ずかしくなりました。そんな物リサイクルショップでは売っているハズないと思ったからです。
ですが………、

店員の猫「まあ、入荷する事がないことはないですが……、」

ニセアリス「安かったら買うぞ!」

ニセアリスの返事にアリスは驚きました。

アリス「まあ!そんなお金いったいどこに?!」

店員の猫「わかりました。入荷しましたらご連絡いたします。」

ニセアリス「うむ、よろしく頼むぞ!
特に激安の”豪邸”を待っている!」






アリス「……………………。」

こうしてアリスたちみんなはお家に帰って来ました。
アリスはニセアリスがあんな事を言ったので不安でした。

アリス「ニセアリスさん、ちょっとお話が!」

ニセアリスはこの間お家の中に作った手作りの「インターネットカフェのブース」の中に逃げ込みました。そしてドアに鍵をかけました。それでもアリスはブースの外から呼びかけました。

アリス「ニセアリスさん!あんな事をお店に言っていいのですか?断って来てください!」

ニセアリス「ああ言っとけば、そのうち豪邸が買える!」

アリス「お金がありません。」

ニセアリス「なあに、ジャンクの豪邸は安い!きっと300ゴールドぐらいだ!!」

アリス「そんなので買えるハズありません!」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.4


ニセアリスはアリスの注意を聞こうともしません。実に軽いノリでした。

アリス「ふう。」






さて数日後……、
またアリスたちはリサイクルショップに行く事にしました。するとニセアリスも付いて行くと言い出しました。

ニセアリス「そろそろジャンクの”豪邸”が入荷している頃だ。」

アリス「……………………。」

するとウサギさんがアリスにだけ聞こえるように耳元でヒソヒソ話を始めました。

ウサギ「まあ、激安の大きな家が売られる事もあるにはありますが………、
そんなのはまれですね。
めったにありません。
かりに売られる事があったとしてもそれはとても古い家です。もうボロボロです。
住めた物じゃないでしょう。そんなのをニセアリスさんが買うと言うはずはありません。」

それを聞いてアリスは少し安心しました。





さて、ニセアリスをともなってリサイクルショップに向かうアリスたち。
今日もウサギさんやミルキーがいます。モグモグも付いて来ていました。

道脇に大きな木が立っていました。そして枝が横に伸び、大量の葉っぱをつけていました。その葉の影のため周囲は不気味なぐらい暗かったのです。その木の陰から黒い服を着た人物が突然出て来ました。全身黒いべールをかぶるように着ていました。顔はベールの奥にあって見えませんでした。その人物はアリスたちの前におどり出ました。

ニセアリス「なんだ?」

セールスマン「私は怪しい者じゃありません。”セールスマン”です。」

ニセアリス「”セールスマン”だとう?なんだ、やっぱり怪しいじゃないか?何を売っているんだ?
おおかた”光ケーブルを使った電話回線”なんかを高値で売りつけるのだろう?」

セールスマン「いえいえ、私の売りますのはそんな物ではありません。
”豪邸”を買いませんか?それもとびきり安い”激安豪邸”です。」

アリス「え?豪邸?」

するとニセアリスはニンマリと微笑みました。

ニセアリス「くくく!」

そしてセールスマンに近づき、その首に腕を回しました。

ニセアリス「チミはあのリサイクルショップのセールスマンかね?」

セールスマン「は?」

ニセアリス「アタシが注文しておいた激安豪邸が入荷したのでその連絡に来たのだろう?」

セールスマン「は?
ああ!そうです!その通りです!」

でもアリスは信じられませんでした。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.5


ニセアリス「あはははは!
アタシの言った通りだろう?これで豪邸が買える!」

アリス「でも…………、いったいおいくらなんですか?」

セールスマン「お値段の方は相談させていただきます。まずはカタログをごらんください。」

ニセアリスはセールスマンの手からもぎ取るようにそのカタログを受け取りました。
そこには物件の写真がたくさん載っていました。それを見てみますとなかなか良い感じの物件でした。
アンティークな感じのあるとても大きな家です。昔風のお屋敷です。いえ、「お城」のような感じにも見えます。

ニセアリス「うひょ~~~~~~~!!!」

アリス「写真では綺麗に見えるものです。」

ウサギ「そうそう、その通りですよ!写真は現物より綺麗に映るものです!」

セールスマン「……………………。」

そう言いながらもアリス自身もけっこう綺麗な家だとは思っていました。

ニセアリス「くくく!」

セールスマン「どうしますか?買われますか?ここまで安いとすぐ買い手は付きますよ!」

ニセアリス「いくら?」

セールスマン「そうですね。”条件付き”なら大変お安くしておきますよ。」

ニセアリス「どんな条件?」

セールスマン「あっ、もうしわけありません。少しお待ちください!ただいま私の携帯に連絡が来たようです。
実はあなた方よりも少し前にもう一方、別のお客様にお声をかけていたのですが……、
どうやらその方から連絡が来たようです。
その方も購入を少し迷っておられました。それで返事は”後でする”ことになっていたのです。
でも、決断されたようですね。」

ウサギ「すると、その方が買うと言えば、そちらの方が優先となるのですか?」

セールスマン「まあ、そういう事ですね。」




ニセアリス「 ようし買ったあああああああああああああ!




セールスマン「ええ?」





アリス「 ニセアリスさん!





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.6


ニセアリス「アンだよ?」

アリス「じっさいに見に行っていないのに買わないでください!」

ニセアリス「まごまごしていると売り切れる!」

アリス「でも!」

セールスマン「ではよろしいのですね?ご購入ということで。」

アリス「すみませんが…、それは……、」




ニセアリス「 購入ということでいいぞ!




セールスマン「では書類にサインを!」

ニセアリスはすばやくペンを受け取り、セールスマンが差し出した書類にサインをしました。

アリス「あああああ!!」

アリスは大変驚きました。

セールスマン「まいどありがとうございます!
ではカタログはお渡ししておきます!
後日、こちらからご連絡して実際に物件を案内させていただきます!」

ニセアリス「うむ!たのんだぞ!」

セールスマン「お支払いはその時お願いします。」

ニセアリス「わかった!」

アリス「えーーーーー?そんな!」

セールスマンは大きな木の木陰の中に入って行きました。

アリス「待ってください!」

そう言ってアリスも木陰に入りました。でも……、アリスはセールスマンの姿を発見する事はできませんでした。

アリス「……………………。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.7


不思議な事にセールスマンの姿を木の陰の中で見失いました。

アリス「……………………。」

アリスはこれはたいへんな事をしたと思いました。

アリス「ニセアリスさん!どういうことですか?あんなサインをして!」

そしてさっそくニセアリスを問いつめました。しかしニセアリスは、

ニセアリス「さあ、”家具”を買いに行こう!豪邸に家具を入れないと!
いっぱい入るぞ!」

ウサギさんもぼうぜんんとした感じでした。

ウサギ「……………………。」

ニセアリスはリサイクルショップに意気揚々と向かいました。
ミルキーはあまり事態が飲み込めていなくて、

ミルキー「ねえねえ、アリスタン!”ごうてい”って買えたの?」

と聞いて来ました。

アリス「……………………。」





アリスはニセアリスをリサイクルショップまで迎えに行き、今日はそのままお家に帰りました。
もちろんニセアリスが書類にかってにサインしてしまったのが心配で、買い物どころではありませんでした。

アリス「……………………。」

ですがニセアリスはまったくこたえておらず、のん気なものでした。

ニセアリス「かーーーーー!豪邸に住める!」

それをミルキーは指をくわえて見ていました。

ニセアリス「こんなちっぽけな家とはおさらばだ!」

ミルキー「このお家は小さいの?」

アリスたちが今住んでいるお家、ここはもともとウサギさんが持っているお家でした。それも「不思議なお家」です。内装を作りかけで止めた感じで、中はがらんどうです。そのため中はけっこうな面積があるように感じます。
でもそこに[タッキーの黄金の家]や[手作りのインターネットカフェのブース]や[ミルキーのための子供用ハウス]などが置かれてあり、けっこうせまくなってきていました。

ニセアリス「新しい家では大の字になって眠れる!」

そう言ってニセアリスはミルキーに一冊の”本”を渡しました。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.8


その本の中には大豪邸と呼べるような大きな家の写真がたくさん載っていました。

ミルキー「はああああああ!!!!」

ミルキーはそれらを見て思わず声を上げました。

ミルキー「うわわわわわ!これはいいよ!」

その本はそういった豪邸の記事を集めた本でした。
一度は誰でも住んでみたくなるようなそんな大豪邸の写真がたくさん載っていました。
それは広々としてとても感じの良い家でした。

ミルキー「ミルキータンもこんなお家に住んでみたい!」

ニセアリス「大豪邸はすでに買った。もうすぐ住める!」

ミルキー「うわああーい!」

アリス「ミルキーさん!!」

ミルキー「なあに?」

アリス「ミルキーさん、もっと注意を払わないと!
中古のお家というのは簡単に買えるものではありません、いろいろ難しいのです。」

ウサギ「そうです。まず”雨もり”しているのはダメですね。」

ミルキー「雨もり?」

ウサギ「ええ、そうです。中古物件には”雨もり”をしている物があるんです。
そいう物件の物はすでに柱だとか内部の一部が腐っている可能性があります。」

ミルキー「うう!」

アリス「それに古いお家は”断熱材”が入っていない場合があります。」

ミルキー「だんねつざい?」

ウサギ「断熱材を使ってない場合は家の中はすごく寒いです。」

ニセアリス「んなちっぽけな事、気にしててもしかたない!
広い家はいいぞ!部屋が何室も取れる!」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.9


ニセアリス「食事部屋、寝室、テレビルーム、トレーニングルーム。
お茶室、テレビゲームの部屋!なんでも部屋が取れる。
自宅にゲームセンターを作る事も可能だ!」

ミルキー「わわわ!自分のお家があのゲームセンターみたいになるの?」

ニセアリス「なる!
自宅にいならがにしてゲームセンターに行ける!大きな機械でもなんなく家の中に入る!」

ミルキー「わわわわわ!!」

アリス「ミルキーさん」

ミルキーの頭の中にはもうゲームセンターのような部屋のことでいっぱいでした。
そこには何台ものクレーンゲーム機がならび、ミルキーは心ゆくまでそこで遊べるのでした。

ミルキー「ミルキータン、大きな家に住みたい!」

ニセアリス「うしゃしゃしゃしゃーーーーー!」

アリス「ニセアリスさん!ミルキーさんに変な事教えないでください!」

ニセアリス「別に変なことじゃない!夢を持つのは良いことだ。
大きな家はいいぞ!家の中でかくれんぼしても見つかる事は無い!」

ミルキー「わあ!」

ニセアリス「家の中で”かけっこ”もできる!」

ミルキー「わあ!」

ニセアリス「広々としてくつろげる!大の字になって眠れる!”昼寝”には最高だな!」

アリス「昼寝の為に大きな家を買うなんて!」





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