BLUE ODYSSEY

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特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.20




アリス「そんな!」

ウサギ「だからお安いのです。
建物だけ買っても土地は別の人の物なので、この先どういう話になるかわかりませんから。」

アリス「……………………。」

ニセアリス「買ったらどうなる?建物は使えるんだろ?」

ウサギ「たとえばの話ですが…、
土地の所有者が”今後は自分で土地を使いたいので建物の取り壊しを要求してきたり”、
トラブルの話に発展する場合があります。
土地からの立ち退きを要求されてしまえばマズイことになるケースもあります。」

ニセアリス「立ち退かない!そして逆に高額な立ち退き料を相手からせしめる!」

ウサギ「いったんトラブルになれば解決までの間、まったく建物が使用できない場合も多いです。そしてそれは1年2年と長期になる場合もあります。」

アリス「そんな!じゃあ今回のお話はやっぱり”夢物語”だったんですか?」

ミルキー 「ええ?
大きなお家を買うことになってたんじゃないの?
買えないの?
ミルキータンのゲームセンターは?

ウエエエエエエ~~~~~ン!!ウエエエエエエ~~~~~ン!!」




ウサギ「ですが、今回運良くその土地のオーナーの方を見つける事ができました。
そしてその方に直接連絡を取ることが出来まして……、
お話によってはその土地を売ってもいいそうです。」

アリス「え?」

ミルキー「は?」

ニセアリス「いくらだ?」

ウサギ「200万ゴールドだそうです。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.21


ミルキー「あと、にっ、にひゃくまんゴールド?!!!」

ニセアリス「なんだって?あと200万ゴールドかかるだって?」

ウサギ「はい、つまり建物代金を込んで”全込みで400万ゴールド”ぽっきりです。」

アリス「……………………。」

ニセアリス「それでは話が違う!」

ウサギ「あのセールスマンの話をよくぎんみしてみますと……、どうもやはり建物だけを売るつもりのようです。」

ニセアリス「”ダマシ”だ!!」

ウサギ「この程度の事はよくある話です。
でもあの建物が200万ゴールドなら安いです。
他に問題がなければですが。」

アリス「まあ、まだ問題がある可能性が?」

ウサギ「問題があるから安いのかもしれません。」

アリスは慎重に考えました。けれどニセアリスは、

セアリス「しめて400万ゴールドか?!」

ニセアリスはまたウサギさんに手の平を差し出しました。

ニセアリス「ではあと388万ゴールド!」

ウサギ「ぐぐぐぐ!」


するとミルキーがアリスのスカートのすそをつかんでこう言いました。

ミルキー「アリスタン、”たからくじ”を買おうよ!当たったらあのお家が買えるよ!」

アリス「でもミルキーさん!宝くじはなかなか当たりませんよ。」

ミルキー「でも……。」

アリス「それに明日までには間に合いません。」

ミルキー「はああ~~~~~。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.22


ニセアリス「しかたないな。
”借金”してくる!」

それを聞いてアリスは驚きました。そして反対しました。

アリス「ダメです!
借金すると利子がすごくかかってしまいます!それにお金を返すのは大変な事なんです。」

ニセアリス「んなこと言ったって!そうするしか388万ゴールドは手に入らないジャン!
こんな安い物件を逃す手はない!」

アリスはもう一度ウサギさんに聞きました。

アリス「400万ゴールドって本当にお安いのですか?」

ウサギ「まあ、それにつきましては確かめたのですが……、
建物を売っていたあのセールスマンも、そして土地のオーナーも”全て込み”で合計400万ゴールドと言っています。他には現状ではお金はかかりません。
400万ゴールドなら確かに安い買い物ではあります。」

ウサギさんが腕を組んで言いました。

ウサギ「つまり、あのお屋敷が格安で売り出されたもっとも大きな理由は土地がらみの問題があったからです。建物だけ売られる事になったという。
もともと建物と土地の所収者は別々だったのでしょう。
だから”建物だけ”といった買い方をする人はあまりいないと思います。でも、現在我々の次点の方はいるようですが。
しかし、おそらく土地のオーナーと話をしたのは私だけです。
今日オーナーさんと話をした時、そう言っていましたから。
ですので、土地の話、つまりこのお買い得の話を知っているのは現在”我々だけ”なのです。」

ニセアリス「よおし!
借金してでも買うんだ!
いや、400万ゴールドが無理なら土地の方だけ買う!
そして建物の方を買ったヤツに”取り壊し”を迫ろう!
そうすれば建物も安くたたけるかもしれない!」

ウサギ「……………………。
そんな事しなくても総額400万ゴールドでは充分安いです。
400万ゴールド出して買った方がすんなりお話はすみます。
ややこしい問題をひきずる事もないでしょう。」

アリス「でも400万ゴールドという大金は………」

ウサギ「とにかく今日はもう遅いです。続きは明日考えましょう!」

ウサギさんがそう言いますし、もう夜遅い時間になってましたのでアリスはいったん眠る事にしました。




アリスはミルキーをベッドに寝かしつけに行きました。
ミルキーの寝床は現在ミルキー専用の子供用ハウスの中です。
ミルキーはベッドの中に入りました。そしてそのそばにはアリスがついていました。ミルキーが眠るまでいつもそばにいます。

ミルキー「ねえねえ、アリスタン、あのおうちは大きそうだねえ。」

アリス「そうですね。大きいでしょうね。」

ミルキー「あの中では”かけっこ”して遊べるね。」

アリス「そうですね。」

ミルキー「なんでもできるよね。モグモグでも走り回れるよね?」

その時、ミルキーのお家の中の入り口付近で黄色い”でっかい物””がモゾモゾと動きました。

アリス「そうですね。モグモグでも走り回れますね。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.23


ミルキー「ああ、大きなおうちに住みたいな。

ぐう……………………。」

ミルキーは眠ってしまいました。

アリス「……………………。」






そして、次の日になりました。

ニセアリスは珍しく朝から起きていました。
そしてすごく元気でした。

ニセアリス「さあ!金をかせぎに行くぞ!!!」

ウサギさんもすでに起きていて、朝からパソコンで何か調べていたようです。すでにすっかり頭はさえているようでした。そしてコーヒーカップに入れた温かいコーンスープをすすりながらパソコン画面を見ていました。

ウサギ「銀行は3時までです。
ですのであの物件を買うための入金のタイムリミットは”本日の午後3時まで”と考えるべきです。」

ニセアリス「なんだと?3時までだって?さすがにプロのアタシだってパチンコでそんな短時間にかせげない。」

アリス「……………………。」

ニセアリス「じゃあ、あとは”スピードクジ”しかないじゃないか?!!
12万ゴールド分スピードクジを買ってみるか?いちかばちかだ!」

アリス「やめてください!」

ウサギ「そうです!あわててお金をかせごうとするとよけいにお金を失う結果にもなりかねません。」

ニセアリス「でも3時までに388万ゴールドはキツい!」

ウサギさんは呆れて目をつむりました。

ウサギ「今、タッキーさんにも相談してますから。」

ニセアリス「なに?アイツにか?不動産売買で役に立つのか?」

ウサギ「すでにメールを打っています。」

しかしタッキーはこのアリスの家の中に置かれている小さなお家”黄金の家”の中に住んでいます。歩いてもこのテーブルから十数歩の距離です。
でもそこにはミッチーもいます。ウサギさんはやはりミッチーに長々とあいさつするのは苦手のようです。

ニセアリス「タッキーは金持ってる?」



ウサギ「 そおいう問題ではありません!



まず今回の物件を買う事が本当に正しいかタッキーさんにも相談するのです。」

ニセアリス「”ハズレ”だったらまた売ればいいじゃん!」

ウサギ「そんなに簡単にはいきません!
家を売り買いすると言う事は大損をする事だってあるのです!」

ニセアリス「深く考えるな!”欠陥住宅”だったらアタシがうまく言って売りさばいてくるから!」

ウサギ「……………………。」

ウサギさんはあきれて目をつむりました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.24


そしてパソコンに目をやりました。

ウサギ「タッキーさんからメールが返って来ています。」

ニセアリス「なんて言って来たんだ?」

ニセアリスがそう言ったちょうどその時、タッキー本人が現れました。
”黄金の家”から出て、この朝のつどいが行われているテーブル席にやって来たのです。

タッキー「おはようございます。」

タッキーはていねいにウサギさんにあいさつしました。

ウサギ「おはようございます。モーニングコーヒーはいかがですか?」

タッキー「いただきます。」

タッキーはテーブルにつきました。そしてウサギさんがあらかじめテーブルの上に用意していたコーヒーにお湯をそそぎました。タッキーは朝、コーヒーを飲むのが大好きです。

タッキー「はあーーー、うまい!朝のコーヒーは格別ですね!」

タッキーが幸福そうな表情をしました。

ウサギ「そうですね。私もニンジンジュースやコーンポタージュスープの他にコーヒーも時々飲んだりしますが、朝の一杯は格別ですね!」

タッキーとウサギさんはゆったりとした朝のあいさつをかわしていました。
この2人(正確に言うと一人と一匹)は特に仲が良いです。お互い話が合うのです。

しかし今日のニセアリスはあわてていました。あのお屋敷の事が気がかりでならないようです。

ニセアリス「んなあいさつはいいから!早く”本題”だよ!」

タッキー「ではご要望があったのでさっそく本題の方に入りたいと思います。
実はあのお屋敷自体は特に怪しいものではありません。
以前はいろんなイベントに使われていた物です。”会館”のような感じと思っていただければいいです。」

ウサギ「ほう!」

タッキー「それにあれはせいぜい30年から40年前の建物です。アンティークなデザインですが、実は建てられてからそんなに年数は経っていません。100年とか200年経っている建物とは違って比較的新しい建築物です。」

ウサギ「そうですか!」

タッキー「ですのであの価格は経過年数から言えば確かにお買い得です。」

ニセアリス「アタシのにらんでいた通りだ!!」

タッキー「今回格安で売りに出されましたが、実はそれにはいろいろあったようです。
まず、元をたどりますとあの建物は”バブル期”に建てられた物です!」

ニセアリス「ファンタジー世界にも”バブル期”があったのかよ?!」

タッキー「はい、ありました。あれはバブル期に”はぶりがよいお客さん”を目当てに建てられたものです。
当時としてはお金がすごくかかっています。
経営していた頃は”ビアガーデン”やいろいろな”式典”を行ったり、それから”バイキングレストラン”などもしてもうけていたようです。
当時のことですから最盛期にはそうとうもうけたようですが、”バブル景気”はその内突然消えてしまったのです。そう、本当に”泡”のように。
景気は目に見えて悪くなり、人々はビアガーデンやバイキングレストランなどから遠のきました。それからというもの、あの建物は苦しい経営が続いたようです。」

ウサギさんはそれを聞いてうんうんとうなづいていました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.25


ウサギ「ああ、今思い出しました。
以前、”山奥の大きなお屋敷で豪勢なビヤガーデンやバイキングが連日開催されている”という、当時としては”VIP御用達のお店があった”と聞いた事があります。」

タッキー「それがあのお屋敷ですね。
しかし近年になるにしたがって”ライバル企業”の出現が多くなってきました。
あの建物は”田舎”に建てられていますが、大企業の方は金の力に物を言わせて”大きな駅の駅前”に営業用の建物を建てたのです。
それもアンティークな感じを捨て去り、最新型のデザインとしました。
結果的にあのお屋敷はお客さんをそれらの新規参入の企業に取られ、ついに今から約2年前に倒産してしまったのです。」

ウサギ「じゃあ、2年前にあの建物は閉鎖されたのですね?」

タッキー「そうです。」

ニセアリス「それにしちゃ草ぼうぼうだ!」

タッキー「だいたいあんな感じですよ、倒産物件と言いますのは。
最後はボロボロの状態になって倒産するのです。
ですから倒産前からあのように”荒れる”兆候があったのでしょう。
それに倒産にいたるまでにいろいろあったのだろうと思います。元は土地と建物は一帯だったのかもしれませんが、現在それが”バラバラの所有者の物である”ということは特に不思議でもなんでもありません。」

ウサギ「う~~~~ん。
では”総額400万ゴールド”という値段についてはどうでしょうか?」

タッキー「それについてはなんとも言えませんね。
本来、土地と建物がバラバラに売りに出されたのでは値打ちはあまりないですが……、今回は土地も買えるということで、そう考えますと確かにお買い得ですね。」

ニセアリス「そうか!!」

タッキー「ですがあの建物を現代風の営業用にするには”大改装”を必要とします。
それにあの場所は”立地条件”がやや悪いです。商売には向きません。
もちろんお金のかけかたしだいですが。」

ウサギ「では、単に”あのお屋敷に住む場合”はどうでしょうか?」

タッキー「それにつきましては、もともとそれ用の建物ではありませんのでなんとも言えませんが、”広さ、大きさ”から考えますと格安、いや”激安”だと思います。いろいろ問題はあるでしょうが。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.26


話が盛り上がって来ました。それを離れたところから聞いていたアリスも、テーブル席の方にやって来て座りました。

アリス「タッキーさん、先ほど言われたその”問題”と言いますのは?」

タッキー「たとえば”建物自体が傷んでいる”場合もあります。その場合は修理費用はバカになりません。あれだけ大きな建物ですから。」

ニセアリス「アタシが自分で修理する!」

タッキー「”雨もり”しているとかなりダメです。あれは建物に対してそうとうなダメージがあります。
それに雨もりはプロでも修理が難しいです。完全に雨もりを止める事が出来ない場合もあるんです。」

アリス「そうですか。」

タッキー「また、そもそも営業用の建物に生活用の物が全てそろっているかどうかはわかりません。たとえば”お風呂”とか”洗濯場”とか。」

アリス「まあ!”お風呂”や”洗濯場”がないんですか?」

タッキー「洗濯場ぐらいはあるかも知れませんが……、
あのような営業では洗濯はどうしても必要になってきますから。
たとえば従業員のコスチュームやテーブルクロス。
ですが”お風呂”はあるかどうかわかりません。
あそこは宿泊にはあまり力を入れてなかったようですから。」

アリス「まあ!」

ウサギ「あの建物の中へは入れないのです。だから中を見てません。
どのような部屋の構成になっているのかわからないのです。」

するとタッキーは、

タッキー「私も以前”家”を探した事がありますので、その中の選択肢の一つに中古物件がありました。ですのでその時の資料をお見せしましょう!
他の物件の物ですが参考になると思います。」

タッキーはいったん席を離れ、その後データーを持って戻って来ました。
そしてテーブルに置かれたモニターでその中身をみんなに見せようとしました。
その時、ミルキーとモグモグも起きだしてテーブル席の方にやって来ました。由美もちょうど起きて来ました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.27


ミルキーはテーブルのところにあるイスをよじ登ってその上にあがりました。
そして顔だけテーブルの上に突き出しました。
するとテーブルの上にはなんとおいしそうなドーナツが置かれているではありませんか。
ドーナツがてさげのカゴにたくさん入れられていました。きっとアリスが作ったドーナツに違いありません。さっそくミルキーはテーブルの上に身を乗り出して、ドーナツの入ったカゴに手を伸ばしました。

すると………、
ドーナツの入ったカゴは移動しました。ミルキーの方から逃げて行くのです。

ミルキー「あーーーー!」

もう一度、身を乗り出して思いっきりカゴに向かって手を伸ばしましたが、やはりカゴはミルキーの方から遠ざかりました。

ズルズルズル…………、

ニセアリスがこっそりカゴに手を伸ばしていて、自分の方にカゴを引き寄せたのでした。

ミルキー「むかあ!」

ニセアリス「きひひひひひひ!」

そしてニセアリスは一人でドーナツを食べ始めました。




ニセアリス「ガツガツガツ!ムシャムシャムシャムシャ!」




アリス「ニセアリスさん!」

ニセアリスはアリスに注意されました。







さあタッキーの方の準備が出来たようです。”物件写真”をモニターに映し出しました。
アリスやウサギさんはモニターをのぞき込みました。ミルキーや由美もです。

アリス「まあひどい!」

それは建物内を映した写真でしたが、それを見ると中はボロボロでした。

タッキー「これは”元ホテル”だった建物です。天井の一部が崩れています。そこからハトが侵入し、建物内にフンをバラまいています。」

ウサギ「うわあ!ひどいなあ。」

建物の床は全てハトのフンで足場もありませんでした。

タッキー「このように建物の一部が壊れますとそこから鳥等が侵入して”住みか”としてしまうこともあります。その他壁が崩れでも同じです。動物の住みかとなってしまう事があるのです。」

アリスはそのような事があるなんてこれまで想像もしてみませんでした。
目の前の画像を見ると胸がつまる思いがします。
家具などのタンスが置かれていましたがその上にもびっしりフンが着いていました。

アリス「……………………。」

タッキー「では次の物件をお見せしましょう!こちらは築50年の大きな民家です。」

ニセアリス「うわあああ!!!まるでボロ屋じゃん!」

アリス「ニセアリスさん!そのような言い方をしてはいけません。」

ミルキーもそれを見ました。

ミルキー「わあああ!アリスタン、こんなの住めないよ!」

それはミルキーからしてみれば”お家”のイメージからかけ離れたものだったのでしょう。
でもアリスはミルキーに注意しました。

アリス「ミルキーさん、外観で判断してはいけません。”住めば都”のようになります。」

しかしそういうアリスも古い家がこれほど傷む物だとは知りませんでした。その家の屋根はゆがみ、壁にはカビが発生していました。塀は崩れていました。雨どいのパイプは割れていました。アリスも内心ショックを受けました。

タッキー「このように建物の中に大量のゴミが残された建物もあります。」

建物の中には産業廃棄物とでも言えるようないろいろなゴミが散乱していました。
数々のガラスビン。大きなタル。そして紙くず。あるいは木材。
そして壊れた木製のイス。
向こう側の壁が見えないぐらい建物内にゴミが残されていました。
アリスはもう言葉もありませんでした。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.28


アリス「……………………。」

タッキー「このように物件には問題がある場合もあります。」

アリス「注意しなくてはなりませんね。」

タッキー「そうですね。購入時にはそれらに充分注意を払わなくてはなりません。
そして多くの場合、買ってしまったら最後、自己責任においてそれらの問題を自分の手でなんとかしなくてはならないのです。」

アリスはお家を買う厳しさを初めて知りました。
アリスが黙ってしまいましたので、それを見たタッキーが

タッキー「本来400万ゴールド出しても都会では小さな家しか買えません。
庭も小さいです。でも田舎だと広いです!
あの建物はかつては”田舎”に建てられたので敷地は広いと思いますよ。」

そう言ってアリスをなぐさめました。

ミルキー「ねえねえアリスタン、”田舎”に住もうよ!」

ミルキーが急にそんな事を言いました。

ウサギ「ところで”かつては田舎”とはどういうことでしょうか?
あのお屋敷のある所は周りに何もなかったようですが?」

タッキー「しかし実は建物の裏手にあります道を2キロほど行きますと、けっこうお店が建っている場所に出ます。」

アリス「え?」

ウサギ「え?」

タッキー「あの辺の裏手は最近ではけっこう開けているのです。」

ウサギ「へーーーー!!!」

タッキー「これは入手した地図の画像です。あの付近の裏手、つまり小山の裏手方面です。」

そこには街の風景が写された写真がありました。

ウサギ「食料品が買える”大型スーパー”がありますね。」

タッキー「もっと足を伸ばしますと………、
いえ、はっきり言って車がありますと、ほら、5分ほど行った所に……、」

ウサギ「大型の店舗がいくつもありますね!」

ミルキー「わーーーー!ゲームセンターもあるよ!」

由美「100ゴールド均一ショップもあります!」

ニセアリス「ファミリーレストランもある!」

アリス「中古の本屋もありますね!」

ニセアリス「食い放題の寿司屋がある!」

ミルキー「おもちゃ屋さんもあるよ!」

ニセアリス「ファーストフード店がある!」

ニセアリス「ラーメン屋がある!」

ニセアリス「コロッケ屋がある!」

ニセアリス「手作りパンのお店がある!」

ニセアリス「もんじゃ焼きのお店がある!」

アリス「ニセアリスさん、先ほどから食べ物関係のものばかり見ていらっしゃるようですが?」

ニセアリス「しめしめ!こんなに開けた場所だったとは!あのセールスマンはきっとその事実を知らない!」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 ACT.29


ウサギ「確かにこの事を知らなければあの建物が200万ゴールドの値段というのもうなづけます。
ですが、やはり建物の内部がどうなっているのか見てみないといけませんね。」

アリス「もし天井に大穴が開いていたら……、」

アリスは想像しました。買った家の中に入ると荒れ放題なのです。
でもミルキーはこう言いました。

ミルキー「おうちの中があんなふうになっていても大丈夫。ミルキータンはまた”ミルキータンのお家”(子供用のハウス)の中で住むから!」

そう言ってニコニコしていました。

アリス「……………………。」

アリスはだんだん不安な気持ちになってきました。ミルキーはまだ子供なのでわかっていないからそう言うのです。
そしてすでに今の時刻は午前9時になっていました。

ウサギ「ではあのセールスマンにちょっと連絡を取ってみましょう!
午後3時までに入金しなくてはいけないのか確認しなくてはなりません。」

ウサギさんは電話をかけました。

ウサギ「ああ、どうも、ウサギのウイリアムです。
さっそくですがあの物件の件なのですが……、


フム。


フム。


なるほど、そうですか、やっぱり!」

ニセアリス「ダメなのか?」

ウサギさんは受話器を片手で押さえ、

ウサギ「やはり次のお客さんが”欲しい”と言っているそうです。
昨日次のお客さんから電話がかかってきたらしいです。」

ニセアリス「チッ!買うと言っているのか?!」

ウサギ「はい。どうしても欲しいと言っているそうです。やはりあの価格では当然でしょう!」

ウサギさんは一度電話に戻りました。そして……、

ウサギ「わかりました。ではまたご連絡します。」

そう言って電話を切りました。

ウサギ「やはり3時までに入金しないといけません。
次のお客様はすでにお金を振り込んだ状態で待っているらしいのです。
我々がキャンセルしますと、すぐに次のお客さんが購入する事になっています。
ですからぜったいに3時までに入金しなくてはなりません。」

ニセアリス「なんだって?!」

ウサギ「セールスマンに確認しましたが、銀行が閉まる時間までに入金しないと我々の購入権利はなくなるそうです!」

ニセアリス「こうしちゃいられん!アタシは金をかせぎに行っている!
あと388万ゴールドかせがにゃならん!」

アリスはため息をつきました。






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