BLUE ODYSSEY

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『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.60




タッキー「すいません。まだカギがみつかりません。」

タッキーは来るなりみんなにそう言いました。

タッキー「なんでもあのセールスマンはもともとカギを受け取ってないし、カギが存在するかどうかも確認してなかったそうです。てっきりあるものだと思い込んでいたらしいです。元の持ち主は現在自宅にいるのかどうかわからない状態です。ほとんど連絡が取れません。ただセールスマンの問いかけに対して、”カギは紛失中である”との連絡が行ったようです。」

ウサギ「するとカギがいつ出て来るのかわからない状態ですね。」

タッキー「ええ、そうなんです。」

アリスはどうしようかと思いました。もしもかたづけが早く済めば、お屋敷に泊まることもできるかと思っていたのです。

ウサギ「では……………、とにかくみんなを休ませなくてはなりません。
いちいち家まで戻るのはなんですので、今晩は街で泊まりましょうか?」

アリス「え?でも宿に泊まるとなるとお金がかかってしまいます。」

ウサギ「”インターネットカフェ”で泊まりましょう。」

アリス「あそこでお泊まりできるのですか?」

ウサギ「できます。宿泊可能です。フルフラット席を頼むといいでしょう。寝そべる事ができます。」

しかしアリスはインターネットカフェの料金の高さを知っていました。

アリス「でも…………、」

ウサギ「料金のことなら心配いりません。”ナイトパック”があります。
格安の料金で泊まれますから。」

アリス「”ナイトパック”?」

ウサギ「”ナイトパック”と言いますのは”深夜に限ってインターネットカフェを格安で利用できる料金パック”の事です。通常料金と比べますとすごく安いです。深夜はお客さんの客足がどうしてもにぶるのでお店側がそういう料金を設定しています。」

アリス「おいくらぐらいですか?」

ウサギ「お店にもよりますが、一人で”ナイトパック”だと1300ゴールドぐらいでしょうか?」

アリス「でもこの人数ですとかなりの金額になりませんか?」

ウサギ「みんながまとめて入れる”大型のブース”に入れるか交渉してみます。一人一人ブースを借りるよりは安いです。」





こうして格安のインターネットカフェに行く事にしました。
ミルキーが喜んだのは言うまでもありません。

ミルキー「やっほーーーー!インターネットカフェだああああ!」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.61


ウサギ「では街に向かう前に掃除道具などの”荷物”はここに置いていきましょう。」

アリス「確かに荷物は置いていきたいですね。かさばりますし、重いですから。
でもいいんですか?ここに置いておくと盗まれませんか?」

ウサギ「実は”物置”を見つけました。あの中に隠しておきましょう。」

建物の裏手に回りますと目立たない所に”物置”が建てられていました。

ウサギ「残念ながらここもカギはありません。開いたままです。でもここに隠しておくといいでしょう。」

こうしてその中に掃除道具などを隠しました。





それから街に向けて出発しました。荷物がなくなったのでミルキーはモグモグの背中に乗ることができます。ミルキーがモグモグの背中に乗るとまるで遊園地の遊具に乗っているように見えます。
そして街に向かう途中、ミルキーは大はしゃぎでした。





ミルキー「やっほーーーーーーーー!!!」





アリスはインターネットカフェでかかるお金のことを心配しました。

午後6時頃、街へ着きました。

ウサギ「では午後8時頃からインターネットカフェに入りましょう!
その時間からでないと”ナイトパック”が適応されません。」

田舎にはご立派なインターネットカフェの建物がありました。
時間をつぶすことになり、インターネットカフェの建物を今は素通りします。それは実に大きな建物でした。

アリス「すごいですね。」

ウサギ「地方は土地が安いんです。だから都会に建てる時に比べて比較的安く大きな建物も建てられます。」

それにしても豪勢な建物です。

アリス「あの、やっぱりここ、高いんじゃありませんか?」

ウサギ「大丈夫です。田舎、いえ”地方”のインターネットカフェは安いんです。」

午後8時になる前に食事を取りに行きました。まとめて買うととても安い焼きぞばがありましたので、それを大きなパックで買って、みんなで分けて食べました。



そして午後8時になってインターネットカフェのお店に再び行きました。
正面玄関はガラス張りの自動ドア。カウンターには女の子の女性店員たちがいました。
そこで聞くと、さいわい大きなブースが開いているようでした。それで「大きな6人用ブース」を格安で借りました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.62


ウサギ「一晩3000ゴールドだそうです。」

アリス「え?そうしますと5人分では?」

ウサギ「いえ、”5人分で3000ゴールド”です。」

アリス「そうなのですか?」

ウサギ「一人だと1300ゴールドですから、5人分3000ゴールドならお安いですね。
もちろん”フリードリンク”もついています。」

アリス「フリードリンクですか。」

ウサギ「ええ、それにマンガも読みほうだいです。」




ミルキー「うふぉほーーーーーい!!」




ミルキーは大喜びです。

こうしてみんなで借りたブースに行きました。
そこは畳2畳分より一回り小さいぐらいのスペースでした。
でもそこでは”ざこね”ができました。
由美はさっそく寝転びました。

由美「……………………。」

由美は言葉には出しませんでしたが、疲れていたようです。

ウサギ「毛布が無料貸し出しされます。私が借りてきます。」

アリス「あっ、わたしがします。」

アリスとウサギさんは5人分の毛布をブース内に運び込みました。

ウサギ「これで良しと。履き物も無料で借りてきましたから、いちいち靴をはかなくてもこのスリッパをはいてもいいです。
ではフリードリンクで好きな物を飲んでください。
あ、午前1時までは”ソフトクリームが無料です。」

ミルキー「ソフトクリーム無料?」

ミルキーが喜びました。さっそくみんなでソフトクリームを取りに行きました。
食器が置いてあり、ソフトクリーム用のガラスの器はじつにかわいいサイズでした。
それを使って自分でソフトクリームを入れるのです。

ミルキー「アリスタン、カップが小さいよ。もっと大きなのはないの?」

するとウサギさんがアリスに代わって答え、

ウサギ「インターネットカフェではそんなものです。」

アリス「そうなのですか?」



由美は器用に小さなカップに高くソフトクリームを盛りました。
まるでお店で出す”ジャンボソフトクリーム”です。40センチはあろうかという高さです。

ミルキー「わーー!由美タンすごい!」

ミルキーもマネしましたが、うまく作れません。ミルキーの山はせいぜい10センチです。
それをもってみんなでブースに帰りました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.63


ミルキー「さあ食べよう!」

ミルキーはごきげんでした。

ウサギさんもソフトクリームを少しと熱いコーヒーを入れてました。
どうやら冷たい物と熱い物を交互にいただくようです。

ミルキーはさっそくスプーンでソフトクリームを食べ始めました。
それはけっこうなお味でした。

アリス「ミルキーさん、冷たい物を飲んでお腹を壊すといけませんから。
一気に食べてはいけませんよ。」

でもミルキーはすでにパクパクやっていました。

そして食べ終わると”おかわり”を取りに行きました。でも連続で食べるとお腹を壊す恐れがあるのでアリスはミルキーにマンガなどの本をすすめました。

ミルキー「うわーーーーーーーーーーーーー!!!」
読みたいマンガがいっぱい置いてあるよ。」

ミルキーははしゃいでいました。

アリス「ミルキーさん、眠るためにブースを借りたのですから、あんまりご本ばかり読んでちゃダメですよ。」

ミルキーはアリスの注意が耳に入らないようです。借りたいマンガ本を一度に大量に持って来ました。

アリス「ミルキーさん、これ全部読むんですか?」

ミルキー「ルンルンルン~~♪」

まったく耳に入ってないようです。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.64


由美は疲れて眠るようです。その足元には「黄色いデッカイ塊」があり、こちらも眠るようでした。

ミルキーはすでにマンガを読むべくフルフラットの床に寝転がっています。

ミルキー「ルンルンルン~~♪」

ミルキーは気合い充分です。(笑)





アリスはまたしてもここにいないニセアリスの事を思い出しました。

アリス「ニセアリスさんはどうしましょう?今頃お家に帰ってきていると思います。」

ちょうどいつもならニセアリスが帰って来て夕食をガツガツやっている頃です。

ウサギ「う~~~~ん。メールを入れておきましょう。」

ウサギさんはインターネットカフェのパソコンからメールを打とうとしました。でもそう言ったものの、ウサギさんは腕を組んだままじっと考え込んでしまいました。

ウサギ「う~~~ん。」

ウサギさんは頭をボリボリかきました。

ウサギ「う~~~~ん。なんと打っていいか。書き出しがなあ。」

代わってアリスが書くことにしました。
メールボックスを開くとタッキーから連絡が来ていました。



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今日一日探しましたがカギは見つかりません。
明日からひき続き、カギの捜索を行います。




                     タッキー

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ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.65


ウサギ「タッキーさんからは連絡が来てましたか。
なるほど。」

アリス「まだカギはみつからないみたいですね。」

ウサギ「もうしわけないですが、明日も”外側だけ”の掃除になりそうです。」


次にニセアリスにメールを送らなくてはならないのですが、
アリスがそのメールを打ちました。





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ニセアリスさんへ、

申し訳ありませんが、今日はみんなは用事があるためお家に帰れません。
お一人で夕食を召しあがっていてください。
本日はお夕食は作ってないので冷蔵庫にある昨日の残りのカレーか、買い置きしてあるレトルト食品でお願いします。
お菓子などは買い置きしています。

よろしくお願いします。

                            アリス


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するとメールがすぐに帰って来ました。どうやらニセアリスはお家に帰って来ていたようです。



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チミたちがどういう人間かわかった。


          ニセアリス



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アリスはすぐにまたメールを打ちました。



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本日はとても大事な用事があったんです。
だからお家に帰れませんでした。


                         アリス


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するとまた返答が来ました。(ここからはメールを会話形式で表示します。

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ニセアリス「だから、”何の用事”だよ?」

アリス「ですから”大事な用事”です。」

ニセアリス「だから何の?」

アリス「ですから、”大事な用事があった”と言っているではありませんか?!」

ニセアリス「アタシには言えないってか?」

アリス「そうは言ってませんが…………、今は”大事な用事”と言っています。」

ニセアリス「あーーーーーーーーーーーーーーそうか!

わかった!チミたちはやっぱりそういう人間だったんだ!!
ああ、わかったよ。今やっとわかった。」


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ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.66


ウサギ「やはりこんな展開になりましたか?」

ウサギさんは腕を組みながらしみじみと答えました。ウンウンとうなづいていました。
なかば「あきらめ」のようなものが感じられました。

アリス「まっ、まあ、こんな人ですから。
でもいずれはニセアリスさんもつれてこないと……。」

ウサギ「うう………。」

アリス「ニセアリスさんだけいつまでもほっておくというのはよくありません。」

ウサギさんは考えました。
そして………、

ウサギ「しかたないですね。では今度つれて来ましょう!」

アリスはその言葉を聞いてなんだかホッとしました。

アリス「ではとりあえず、今日のところはそう言ってメールしておきます。」




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では今度またニセアリスさんも私たちといっしょに行きましょう。




アリス


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しかし、それ以後ニセアリスからの返答は途絶えました。

アリス「……………………。」

ウサギ「……………………。」

アリス「ふう、」

ウサギ「では今日のところはこれで。」

こうしてニセアリスへの連絡はいったん終了しました。
アリスは胸をなで下ろしました。そしてウサギさんは疲れて横になりました。

由美は疲れてぐっすり眠っていました。そしてその足はモグモグの翼の下に突っ込まれていました。まるで”電気あんか”代わりです。モグモグの羽毛はそうとう温そうです。
モグモグも疲れてぐっすり眠っていました。モグモグは今日はコンバイン並みの働きをし、それが元で疲れに疲れていました。本来モグモグは”ヒヨコ”なので警戒心が強いのですが、今日は「天敵のニセアリス」がいないのと、アリスやウサギさんがそばにいるので安心してぐっすり眠っていました。
由美も警戒心が強い女の子でしたが、やはり「みんながいっしょにいる事」と同じく警戒心が強いモグモグに足を当てて寝ていたのでなにかあればすぐにモグモグが飛び起きるのがわかっていましたので今日はぐっすり眠れていました。

アリスもそうとう疲れていました。もうアリスも眠りたかったのです。
しかしアリスには「ミルキーを寝かしつける」という大事な仕事が残っていました。




ミルキー「ルンルンルン~~~♪」




ミルキーは寝転んでマンガを読んでいました。ぜんぜん疲れていません。ミルキーの足は楽しそうに前後にゆれていました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.67


アリス「ミルキーさん!」

ミルキー「ルンルンルン~~~♪」

アリス「そろそろ眠りましょうか?」

アリスは眠くてしかたありませんでした。でもミルキーは目が覚めているようでした。

アリス「ミルキーさん、そろそろ眠りましょうか?」

ミルキー「いやあ!ミルキータン、マンガ読む!」

アリス「そんなことしていると、明日のお掃除が眠くなりますよ!」

ミルキー「ミルキータン、がんばっておそうじするからいい!」

アリス「そう言っててもきっと明日になれば眠くて眠くてしかたなくなりますよ。」

ミルキー「大丈夫だもん!」

アリス「ミルキーさん!さあ、もういいかげんに眠りましょう!

振り返りますと、みなぐっすりと眠っていました。
ウサギさん、由美、モグモグは疲れた感じで寝ていました。

アリス「……………………。
ミルキーさん!」

アリスはミルキーの持っている雑誌に手をかけました。

ミルキー「いやいや!」

アリス「ミルキーさん!言う事を聞いてください。」

ミルキーはマンガをはなしません。
アリスはため息が出ました。

ミルキー「ルンルンルン~~~♪」

ミルキーさん!もういいかげんにしましょう!

ミルキー「いやあ、これ読むの!」

アリスは困りました。しかたないので自分だけうたた寝をすることにしました。アリスはミルキーのすぐ横で横になりました。
インターネットカフェのフルフラットの席はレザーのようなカバーがしていました。そこは意外に寝心地が良くて、アリスはすぐに眠たくなりました。それにここは温かでした。暖房が効いていました。

アリス「ミルキーさん!!」

アリスはミルキーの背中に手を置きました。
ミルキーはマンガを見て笑っていました。それがミルキーの背中に置いた手を通してアリスにも感じられました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.68


いつの間にかアリスは眠りに落ちました。




アリス「……………………。」





アリス「……………………。」





気が付くとアリスは「お屋敷の中」にいました。
外は雨が降っているようでした。けっこうなどしゃぶりです。
でもお屋敷の中は大丈夫でした。
明々と灯りがともっていました。
2階への階段がある部分は「吹き抜け」になっており、その広々とした空間が素敵でした。
アリスは2階から1階を見下ろし、その吹き抜けの空間を満喫しました。

アリス「いいですねえ。」

ふと見ると1階の床に”何か”があります。それはミルキーが倒れているのでした。

アリス「は?!」

アリスは驚いて階段を駆け下りました。
そしてミルキーに駆け寄り、その身体を抱き起こしました。

アリス「ミルキーさん!」

ミルキーはぐったりしていました。











アリス「……………………。」

アリスは目を覚ました。どうやら夢を見ていたようです。
ミルキーが隣で寝ていました。
ミルキーはうつぶせになっていました。
辺りは明るく、照明の光がランランと輝いていました。
アリスはミルキーを抱き起こしました。

アリス「ミルキーさん、うつぶせに眠ると息ができなくなりますよ!」

ミルキーはぐったりしていました。

アリス「どうしました?!ミルキーさん!」

ミルキー「ぐうぐう……。」

ミルキーはただ寝ているだけでした。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.69


ウサギさんがムクリと起きました。

ウサギ「むっ?!もう朝か?!」

そしてブースを出てフリードリンクのコーナーへコーヒーを取りに行きました。

それからブースに戻って来てグイッとコーヒーを飲みました。

ウサギ「は~~~!目が覚める!」

ウサギさんはカッと目を見開きました。

ウサギ「さあ、みなさん!起きてください!
ぐずぐずしていると『ナイトパック』の時間が終わってしまいます。
さあ、無料のモーニングを注文しましょう!」

しかし由美は寝ぼけまなこでした。

由美「……………………。」

モグモグもまだ半分寝ていました。

モグモグ「……………………。」

当然ミルキーも寝ていました。

ミルキー「ぐうぐう…………。」

ウサギ「今、朝の7時20分か?!ギリギリですね!
ただちに無料モーニングを注文しなくては!」

ウサギさんはパソコンを使って5人分のモーニングを注文しました。

ウサギ「5人分のモーニングが出来上がるのに約10分。そこから15分で食べて、10分で出る準備を整えて、午前7時55分にはここを出られるようにしましょう!
でないと料金がかさんできます。」

それを聞いてアリスの目はさえました。どうやらその時間までに出ないと料金が加算されるようです。

ウサギ「モーニングが到着したらすぐに食べなくてはなりません。
いまの内に洗面が必要な方はすぐに行って来てください。
ぐずぐずできません。」

なんだかあわただしいです。

由美「インターネットカフェってこんなにあわただしかったのでしょうか?」

ウサギ「インターネットカフェとはあわただしいものです!」

ウサギさんはひとり元気でした。

ウサギ「さあ、みなさん!今日もがんばりましょう!」






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