BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.70


そこへモーニングが運ばれて来ました。
きれいなメイド服姿のお姉さんたちが元気なあいさつと共に持って来てくれました。
ウサギさんはそれをブースの入り口で5人分受け取ってみんなにくばりました。
無料モーニングにはトーストとゆで卵、サラダが入っていました。
それに揚げたてのポテトも入っています。

ウサギ「さあ、飲み物の方は各自自分で好きな物をいれてください。」

なかなか美味しそうです。いつもなら一番喜ぶはずのミルキーは…………、完全に寝ていました。

ミルキー「ぐうぐう…………。」

アリス「ミルキーさん!ミルキーさん!お食事が来ましたよ!
さあ、起きてください。」

ミルキー「ぐうぐう…………。」

ウサギ「さあみなさん、食べてください。時間がありません。」

ウサギさんはなれている感じで、さっさとトーストにジャムとバターを塗って食べ始めました。

由美はそのスピードについて行けません。
それに昨日の疲れで、半分かたまっていました。なかなか手がトーストのところまで行きません。

モグモグは寝ぼけており、くちばしでトーストを突いてみましたが…………、ただ突くだけで食べていませんでした。

アリスはモーニングを食べずに、ただミルキーを起こそうとだけしていました。


ウサギさんだけがモーニングを食べていました。
そして、時計を見て……………、

ウサギ「うわあ、もう時間がない!みなさんここを出ましょう!」

と、言いました。
けっきょくモーニングを完食したのはウサギさんだけでした。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.71


このままここに居続ければ、「ナイトパックの適応が切れ、さらにお金がかかる」ということなのでみんなしかたなく荷物をまとめてカウンターのところまで行きました。ウサギさん以外はとても眠そうです。
アリスはグデッとなっているミルキーを抱きかかえて行きました。





ウサギさんはカウンターでお会計を済ませました。

ウサギ「ホッ、良かった。3000ゴールドですみました。」

このごじせいではホテルに泊まっても「一人5000ゴールド」程度かかります。それを考えれば確かにお安いです。





ウサギさんは向こうに行く前にお弁当を買っていく事を提案しました。アリスはそれに賛成しました。
街でお弁当を買い、その後みんなは目的のお屋敷目指して歩きました。





かなり歩いてやっと目的のお屋敷前の門の所までやってきました。

アリス「……………………。」

ミルキーを抱き抱えたままのアリスは疲れていました。

アリス「ふう。」

ミルキーはまだぐっすり眠っていました。
由美はやっと目が覚め始めたところでした。そしてモグモグはまだ半分夢の中です。





お屋敷の門を抜けて、建物の玄関まで少し歩きます。そしてやっと到着しました。

アリス「ふう。」

ウサギ「みなさん、よくがんばりました。
今日カギがみつかるといいのですが。」

今日もこれから一日労働ですが、働いた後にはやはり「心と体を休める場所」がいります。

アリス「本当ですね。カギが見つかるとうれしいです。」




ウサギさんは昨日隠していた掃除道具を出して来ました。

ウサギ「さあ、昨日の続きです。」

モグモグは昨日は大変な仕事量をこなしました。しかし今日はまだ夢の世界にいます。
アリスは寝ぼけているモグモグに無理強いさせずに、代わりに自分たちが草刈りをする事にしました。
ミルキーはと言いますと、玄関の一段高くなっている所に毛布をしいてその上に寝かせました。




…………大変でした。
刈っても刈っても草はあります。

アリス「おとぎばなしのようにはいきませんねえ。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.72


とにかく草刈りは大変でした。
アリスはこんなにも大変だとは思っていませんでした。

この日は由美もスピードがまったく上がりません。
眠いのと昨日の疲れが取れてないのが原因です。
結局まともに草刈りをしていたのはウサギさんぐらいでした。

アリス「ふう………。」





そしてお昼頃になりました。
みんなでお弁当を食べるために玄関前に集まりました。

アリスは疲れていました。昨日ミルキーを寝かしつけようとしていた為にあんまり寝ていないのです。ミルキーはけっきょく遅くまで夜更かししたようです。
そのためアリスは寝不足です。身体のだるさを感じていました。

お弁当を広げてアリスは箸の動きが止まりました。

アリス「……………………。」

由美はすでに箸を握ったまま寝ていました。
モグモグもお弁当箱にくちばしを突っ込んでそのまま寝ていました。

モグモグ「……………………。」

ミルキーは寝かされていた場所から起きてきません。
なのでウサギさんは一人でお弁当を食べていました。
ウサギさんは広いお庭とその向こう側に見えている景色を楽しんでいました。

ウサギ「フッフッフッフ~~~~ン♪」

お昼のポカポカとした陽気がしてきて、ウサギさんはごきげんの様子でした。
一方その陽気のせいでついにアリスも居眠りを始めました。

気が付いてみればウサギさん以外は全員寝ていました。

結局1時間ほど休憩してからウサギさんはまた草刈りを始めました。
ウサギさんはみんなを無理に起こしたりせず、自分ひとりで草を刈っていました。





アリスは夢を見ました。

アリスはあのお屋敷にいました。
お屋敷は草もなく大変綺麗でした。
それでアリスは玄関前の一段高くなった部分をほうきではいていました。

アリス「♪~~」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.73


するとそこに元気なミルキーが出て来ました。

ミルキー「アリスタン、ここきれいになったね。」

そういえばアリスはここは以前草でおおわれていたのではないかと考えました。
ですが、なぜか思い出そうとしてもその時のことはぜんぜん思い出せません。

アリスが軽くほうきではきますと、玄関先は見違えるように綺麗になりました。

アリスはミルキーと共に玄関から建物内に入ろうとしました。
そして玄関の扉を開けました。
玄関は広々としていました。普通の家と違ってとても広いです。
ミルキーはその玄関の中で走り回りました。腕を大きく水平に広げて飛行機のマネをしています。



ミルキー「キーーーーーーン!」



そこはミルキーが走り回るのに十分な広さがありました。

玄関にはいろんな物が置かれていました。大きな来客用の靴箱はもちろん、大きな花ビン。
それに照明器具、小さなカウンター。天井にはシャンデリアがありました。
そして床には”じゅうたん”が敷きつめられていました。
ミルキーはそこに寝転がりました。
アリスはそこは掃除したかどうか思い出せないので、びっくりしました。

アリス「ミルキーさん!そんな所に寝転がってはいけません。」

でもミルキーは広いじゅうたんの上でゴロンゴロンしていました。










アリス「……………………。」

アリスは目を覚ましました。

アリス「は?」

回りを見ますと、由美、モグモグが寝ていました。そしてミルキーも。
遠くの方には一人もくもくと草抜きをしているウサギさんの姿も見えました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.74


アリス「まあ、大変!」

アリスはウサギさんにだけ仕事をさせてしまったと思いました。
それであわててウサギさんの元に行きました。

ウサギさんは庭でもくもくと草刈りを続けていたようです。根っこから引き抜かれた雑草が山のようにつまれていました。ウサギさんはずいぶんがんばったようです。
でもウサギさんは元気でした。

ウサギ「もう午後5時です。そろそろ夕食を食べに街に戻りましょう。」

ウサギさんはそう言いました。

アリス「まあ、すると建物の中にはまだ入れないのですか?カギの方は……?」

ウサギ「もうしわけないです。それがまだなんです。」

アリス「そうですか。」

ウサギ「今日もまたインターネットカフェに泊まりましょう。」

アリス「でもいいんですか?お金の方が………。」

ウサギ「どうもインターネットカフェは今日からセール期間中に入るようです。
少しお安くなります。」

アリスはそれはよかったと思いました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.75


こうしてみんなは街へ向かうことにしました。
ミルキーがまだ寝ていましたので、アリスはミルキーを抱き抱えて行かなくてはなりませんでした。
ミルキーはあれからまったく目を覚ましません。アリスはぐったりしたままのミルキーのことをひどく心配していました。





こうして歩きに歩いてやっとみんなは街に帰ってきました。

ウサギ「インターネットカフェに着く前にどこかのお店に入って食べた方がいいです。
まだナイトパックに入る時間帯ではありませんから。その時間までどこかで時間をつぶさなくてはなりません。」

こうしてみんなは安いファミリーレストランに入って食事を取り、その後、ナイトパックが適応される時間までねばりました。






午後8時になって、みんなはインターネットカフェに向かいました。
インターネットカフェに着いてウサギさんはまたしても大きなブースを借りました。

ウサギ「本日も”大きなブース”が空いていてよかったですね。」

アリス「いつも空いているわけではないのですね?」

ウサギ「そうです。いつも空いているわけではないです。
それにホテルとは違って予約を入れておくこともできません。
もっとも一日分の料金を払えば予約もできますが。
ですがナイトパック以外でインターネットカフェを利用するのはすごく高くつくことになるのです。」

ブースに着いてみんなはその中に腰を下ろしました。
モグモグは目を細めました。そして「はぁ~」と息を吐きました。
モグモグは疲れているようです。環境の変化にまだなれていない感じでした。なんといってもモグモグはまだ”ヒヨコ”なのです。
今日は半分寝ぼけながらも作業をしていましたが、その作業スピードはコンバインのようにはいきませんでした。どちらかと言いますと「眠たくてまったく作業にならなかった」のです。

由美も疲れた感じでした。”寝不足”のようです。
由美も今日一日がんばっていましたが、半分眠たかったためか、作業は苦しそうにしていました。ブースに着くなり、由美は横になりました。そして目を閉じました。

由美「……………………。」

ウサギさんは元気でした。
ウサギさんはインターネットカフェになれているようです。
タオルを片腕にかけて、歯ブラシを持って洗面台の方に行きました。

アリスは疲れていました。”気疲れ”です。
今日の日中はミルキーが一度も目を覚ましませんでした。
それでアリスはお医者さまのところに一度ミルキーを診せに行こうと考え始めました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.76


インターネットカフェの店内には音楽が流れていました。
するとミルキーの小さな耳がまるでその音楽を聴くようにピクッと動きました。
そしてなんとミルキーが目を覚ましたのです。
起きるなりミルキーは、

ミルキー「はわわわわわわ~~~~!!!」

と感激の声を発し、元気に両手のこぶしをにぎりめました。そしてそのこぶしをプルプルと震わせました。その目は大きく見開かれていました。

アリス「ミルキーさん!!」

ミルキー「”インターネットカフェ”だよ!”インターネットカフェ”だよ!」

アリスはミルキーがあまりにも急に元気になったので驚いていました。

ミルキー「今日はここに泊まるの?泊まるの?」

アリス「そんなことよりミルキーさん、一度お医者さまのところに行きませんか?」

ミルキー「どうして?ミルキータン元気だよ。」

アリス「え?」

ミルキー「うわあーーーーい!ミルキータン、またマンガ見るよ!」

そう言ってブースから出て行きました。
アリスはしばらくその場であぜんとしていましたが、
ミルキーが一人でブースから出て行ってしまったのですぐに我に返り、あわててミルキーの後を追いかけました。

ミルキーはマンガが並んでいるコーナーを目をランランと輝かせながら歩いていました。
首をフリフリ、たくさんのマンガの中から自分の気に入ったものを選ぼうとしていました。
そしてマンガ本を何冊もつかみました。

アリス「ミルキーさん!いままでぐったりして寝ていたんですよ!大丈夫なんですか?」

ミルキー「え?ミルキータン、そんなこと知らないよ。
ねえねえ、アリスタン、あそこの高い所のマンガ取って!」

アリスの心配をよそにミルキーは元気でした。
ミルキーはただ疲れて寝ていただけかもしれません。

アリス「……………………。」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.77


ミルキーは何冊ものマンガ本をその腕の中いっぱいに抱き抱えました。

ミルキー「ルンルンルン!」

そしてマンガ本の重さでフラつきながらブースに帰ろうとしました。

アリス「あの、ミルキーさん、ここへは”眠り”に来たんですよ。
”マンガを読むため”に来たんじゃありません。」

するとミルキーは「大丈夫だよ。少し読んだら眠るから。」

アリス「……………………。」

アリスはしかたなくミルキーの後をついて行きました。
ブースに着いて、ミルキーはその中にマンガ本を置きました。



ドサッ!



すでに由美とモグモグは疲れて寝ていました。
由美の寝顔は疲れている感じがありありと出ています。

由美「……………………。」

モグモグも疲れ切った表情の寝顔でした。

そしてまだウサギさんは帰って来ていないようです。

ミルキー「つぎはジュースを取りに行くの!!」

ミルキーは楽しそうにそう言いました。

アリス「あの……、」

ミルキーはブースを飛び出してフリードリンクのコーナーに向かいました。

ミルキー「ランランラン!」

ミルキー一人を行かせることはやはり危ないのでアリスはついて行くことにしました。

アリス「あの、ミルキーさん、待ってください!」

アリスがブースを出ようとしたちょうどその時、ウサギさんが帰って来ました。

ウサギ「フッフフン~~~~~♪」

ウサギさんは上機嫌でした。そしてアリスにこう言いました。

ウサギ「ここには”シャワールーム”があるんです。
みさなんも浴びてきてはいかがですか?無料ですよ。
タオルなどの無料貸し出しもあります。」

アリスはひとまずミルキーにつきそいに行く事を告げてその場を離れました。





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.78


アリスは走ってフリードリンクのコーナーに行きました。
ミルキーが心配でした。
そこに行くとミルキーが一人でいました。ミルキーは子供用イスを使って、その上に登りドリンクを入れていました。ミルキーの身長ではフリードリンクの位置まで届かないのです。その為に子供用イスを使ってその上に登って飲み物を入れるのでした。

アリス「ミルキーさん、イスの上に登る時は注意してください。おっこちないように。」

ミルキーは飲み物を入れたドリンク持ったまま、イスから下りました。それは不安定で危なげでした。アリスはミルキーが落ちないか心配しました。ミルキーは飲み物を床に置いたトレーに入れました。

アリス「さあ、ミルキーさん、ブースに帰りましょう!」

ミルキー「アリスタン、あの”コーラ”も入れて。」

ミルキーはコーラも飲みたいようでした。
アリスは背の低いミルキーに代わってコーラを入れてあげました。

アリス「さあ、ミルキーさん、これで帰りましょうか?」

ミルキー「アリスタン、あっちのジュースも取って。」

アリス「はいはい。」

ミルキーのトレーにはすでに4つのグラスがありました。それでもアリスは飲み物をいれてあげました。

アリス「さあ、ミルキーさん、いいかげんブースに帰りましょうか?」

ミルキー「アリスタン、あっちの”ウーロン茶”も取って。」

アリス「……………………。
ミルキーさん、飲める分だけにしてください。」

ミルキー「ミルキータン、全部飲むよ。」

アリス「そんなにがぶ飲みしてはいけません。」

ミルキー「飲むの!」

アリスはミルキーひとりでジュースを取りに来ては困るのでけっきょくグラスに半分づつミルキーの欲しがっていた飲み物をいれました。
トレーの中はグラスでいっぱいになりました。




それを持ってブースに帰るとウサギさんはすでにリラックスムードでした。
肩にバスタオルをかけてパソコンの前にいました。そして

ウサギ「フッフフ~~~ン♪!」

上機嫌でした。

ブースに着くとさっそくミルキーは寝そべりました。




ドサッ!




そしてマンガを読み始めました。

ミルキー「アリスタン、飲み物そこにおいといて」

アリス「ミルキーさん、けっしてガブ飲みしてはいけませんよ。」

そう言ってアリスはミルキーのすぐ近くにトレーを置きました。
ミルキーはジュースをストローで飲みながらマンガのページをめくります。
足をブラブラさせていました。とても楽しそうです。

ミルキー「ルンルンルン!」

アリス「ミルキーさん、今日は眠らなくてはいけませんよ。マンガも少し読んでから寝てください。」

少しだけふきげんにミルキーは答えました。

ミルキー「わかってるよ、アリスタン!何度も言わなくても!」





ここで特別編 『アリスの大豪邸』 第2部 ACT.79


何度も同じことを言われたのでミルキーはふきげんでした。

アリス「……………………。」

とにかくミルキーはマンガの中の世界に入って行きました。

ミルキー「ルンルンルン!」



一方ウサギさんの方はカタカタとキーボードを打っています。
そのスピードは速く波に乗っています。
ウサギさんは何かの文章を打っているようでした。
それでアリスもニセアリスにメールを打たなければならない事を思い出しました。

アリス「ウサギさん、あのうニセアリスさんにメールを打たないといけないのではありませんか?」

すると、ウサギさんは言われて初めてその事を思い出したようでブルブル震え始めました。
ウサギさんは楽しいムードがいっぺんに吹き飛んだようすです。

アリス「ニセアリスさんをほったらかしにしていますので、また今日もメールを打たないと。」

ウサギさんは青ざめていました。

ウサギ「うう!」

ウサギさんはメールボックスを見たくないようでした。
それでアリスが代わって見ることにしました。

するとニセアリスかららしいメールが来ていました。
件名は何も書かれていません。

ウサギ「は?」

アリスはそれを開きました。





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オ~~~マ~~~エ~~~ラ~~~~~~!!





覚えて~~~~い~~~~~ろ!





うらむ~~~~~~~~ぞおおおお~~~~~~~!





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子供が書くようなメールで、アリスはぜんぜん平気でしたが、ウサギさんはやはり青ざめていました。

ウサギ「どうしましょう?やはりこれでもあの方をつれてくるしかありませんか?」







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