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おじいちゃんの思いで



ポクポクポクポク・・・・

「何妙法蓮華依拠・・・」

忘れられない人、それは私にちょっかいばかりかけていたおじいちゃんでした。

幼いころから父が単身赴任をしていて、私はおじいちゃんと接する機会がおおかったのですが。

その思いでは、どれもムカつくことばかりでした。

・・1984年夏・・

私がおじいちゃんに、似顔絵をわたしたとき。

私「はい、おじいちゃん。」

おじいちゃん「なんじゃ?わしゃもっといい男じゃろうが!こんなものはへたくそだ!。」

私は泣いて部屋を飛び出しました。

・・1995年春・・

私も高校生になって。

私は制服を家族に見せた。

おじいちゃん「なんじゃ?似合わんな~。」

私も少しは反抗した。

・・2003年春・・

そして、去年。

私が、彼のとデートをしに行くことになった。

私「それじゃぁ、行ってくるね。」

母「ちゃんと、ご挨拶するのよ。」

私「わかってるよ~。」

おじいちゃん「お?デートかお前?彼氏できたか?」

おじいちゃん「お前のようなやつを好きになるなんて、よっぽど物好きじゃな、っはっは、写真見せてみろ、はっは、どうせぶさいくなんだろ?」

おじいちゃん「笑ってやるから見せてみろ。」

私「じゃぁ、行ってくるね。」

おじいちゃんは悲しそうに苦笑いした。

年頃になったのかウザくなったのか、いつの間にか私はおじいちゃんと口をきかなくなっていました。

そして・・

・・2003年秋・・

私が相手をしなくなったせいか、おじいちゃんは一人でいる時間が多くなった。

・・
「すべての行事を滞りなく終了いたしました。」

母「本当にありがとうございました。」

みんなお辞儀をする。

みんなが立ち上がる。

母「さて、親戚の方にお茶ださないと。」

兄も母につづく。

私は途中にあるおじいちゃんの部屋の前で足をとめ、部屋をのぞいた。

ゆっくり、おじいちゃんの部屋にはいった。

おじいちゃんがいない以外なにも変わっていない。

ふとタンスの上に目をやると、木の箱がそっとおいてあった。

ふたをゆっくりとあけると私が幼いころ書いたあの時の似顔絵が大切ににいれられていた。

絵を手にとった。

外はとてもきれいな夕焼けだった。

私はもう一度箱に目をやった。

ピンク色のリボンがはいっていた。

ふいにずっと忘れていた思いでがよみがえってきた。

・・1983年夏・・

兄が誕生日に自転車を買ってもらった。

私「私もほしいぃ~。」

私は泣きじゃくった。

母「これは、おじいちゃんがお兄ちゃんの誕生日プレゼントにかってきてくれたの。」

母「なつきの誕生日まだでしょ、いいかげんにしなさい。」

それでも私はだだをこねた。

おじいちゃん「なつき!」

おじいちゃんが急に玄関から叫んだ。

私が目をやると、うしろから黄色いピカピカの自転車を出してきた。

涙がすぐ笑顔にかわった。

おじいちゃんが、自転車のベルを鳴らす。

おじいちゃん「ほら、どうだ?」

ベルのよこに、ピンク色のリボンがついていた。

母も私もおじいちゃんもみんな笑った。

・・
私はいつもおじいちゃんが座っていたほうに目をやった。

おじいちゃんが一瞬見えた気がしたけどすぐに消えた。

部屋がとてもキレイな夕焼け色になっている。

キレイな夕焼け色の部屋がゆがんできた。

私の目からでた、大きな涙がおじいちゃんの似顔絵にぽつぽつとおちた。

似顔絵のおじいちゃんはすごく楽しそうに笑っている。

私はなんでもっと優しくしてあげなかったんだろうと後悔して、泣いた。

私は立ち上がっておじいちゃんの部屋を出た。

そして、仏壇の前にすわった。

さっきまで大勢の人がいたのが、うそのように静かだ。

私はまだ止まらない涙をふきもせずに、いった。

私「これ、おじいちゃんが見たがってた私の彼氏。」

そっとおじいちゃんの前に写真を差し出した。

私「ほら、笑っていいよ、ぶさいくでしょ、こいつ。」

おじいちゃんの遺影の写真はとてもいい笑顔をしていた。

外はすっかり暗くなっていた。

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